ホウレンソウ(ほうれん草)の育て方・栽培方法

ホウレンソウ(ほうれん草)の育て方・栽培方法

1.ホウレンソウの特徴と栽培時期


ホウレンソウの育て方手順に沿って、畑やプランターでホウレンソウを栽培してみましょう!
ホウレンソウは簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。

ホウレンソウ(ほうれん草)の栽培データ
■ホウレンソウの栽培難易度:簡単
■分類: アカザ科ホウレンソウ属
■原産地:中央アジア
■主な旬:5月、10月~12月
■栽培時期:春まき・秋まき
春まき栽培:種まき3月~4月、収穫5月
秋まき栽培:種まき9月~10月、収穫10月~12月
■連作障害:あり(1~2年あける)
■好適土壌pH:6.5~7.0
■発芽適温:15~20℃
■生育適温:15~20℃

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ホウレンソウの特徴

ほうれん草のバター炒め

ホウレンソウは、中央アジアが原産地で、科目はアカザ科ホウレンソウ属です。
ホウレンソウは、江戸時代に中国から東洋種が渡来し、現在は東洋種と西洋種の長所を生かした交配種が多く栽培されています。

ホウレンソウがおいしくなる時期は冬で、「寒締めほうれん草」は冬の冷温にさらして収穫することで知られています。冬は日数をかけてゆっくり成長するため栄養分が増加し、ビタミンCは約3倍も多くなります。

ホウレンソウは、代表的な緑黄色野菜で、野菜の中でも特に栄養価が高く、ビタミンC、カルシウム、鉄分などが豊富です。おひたし、炒め物、汁の実などの和食のほか、バターなどとも相性が良いので様々な料理に使えることも魅力です。
また、サラダホウレンソウは生食に最適で、美容と健康に良い野菜として人気が高まっています。

ホウレンソウには、東洋種と西洋種のほか、両者を交配した品種が多くあります。
春まきは西洋種、秋まきには東洋種がおすすめで、交配種なら春でも秋でも育てられます。
ホウレンソウは、収穫までの期間が短く、栽培も簡単なので、初心者に育てやすい野菜です。

ホウレンソウの栄養素

ホウレンソウは、βカロテン、ビタミンB2、ビタミンC、ミネラル、カルシウム、鉄分、葉酸などが多く含まれています。
βカロテンは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を保護します。ビタミンCは風邪の予防に効果があります。ほかにも整腸作用や便秘の改善、造血作用、止血作用もあり、生活習慣病の予防や高血圧の人にもおすすめの野菜です。
ホウレンソウには、人体に有害なシュウ酸などのアク成分が含まれていますが、ゆでると減少させることができるので心配ありません。

ホウレンソウの主な品種

ホウレンソウには多くの種類があり、交配種が多く栽培されています。春まきは、とう立ちしにくい品種(晩抽性品種)がおすすめです。
春まき品種:『アクティブ』『晩抽パルク』『おかめ』『サマ―スカイ R7』『ノーベル』『サンピア』『プリウス』『晩抽サラダあかり』など。
秋まき品種:『アトラス』『強力オーライ』『次郎丸』『豊葉』『日本』『早生サラダあかり』など。

ホウレンソウの栽培ポイント

・日当たりと水はけが良い場所で栽培する。
・酸性土壌に特に弱いので苦土石灰を施す。
・春まきはとう立ちしにくい品種を選ぶ。
・夜間の照明や街灯が一晩中あたる場所は避ける。

ホウレンソウの栽培時期

ほうれん草栽培

ホウレンソウの栽培時期は、地域や品種により異なりますので、種袋やホームセンターなどで確認するようにします。
中間地(関東地域)
春まき栽培:種まき3月中旬~4月中旬、収穫5月上旬~5月下旬
秋まき栽培:種まき9月上旬~10月下旬、収穫10月上旬~12月下旬

ホウレンソウの連作障害

ホウレンソウは連作障害を起こすため、同じ場所で栽培する場合は1~2年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出て、ホウレンソウの成長に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
プランター栽培では、常に新しい用土を使うことをおすすめします。

ホウレンソウの好適土壌pH

ホウレンソウの好適土壌pHは、6.5~7.0です。
ホウレンソウは、酸性土壌に特に弱いため、畑栽培では苦土石灰を多めにまいて土づくりをします。

2.ホウレンソウの栽培方法(畑・プランター)

肥料

ホウレンソウの栽培は、畑やプランターに直まきをします。

畑栽培の場合

畑栽培は、しっかりと土づくりを行い、畝(うね)を作ります。

土づくり

日当たりと水はけの良い場所を選び、種まきの2週間前までに苦土石灰150~200g/㎡を畑全面に撒いて良く耕します。
種まきの1週間前に、完熟堆肥2㎏/㎡、化成肥料100g/㎡を施し、幅60㎝、高さ10~15㎝程度の畝を作ります。
発芽に支障が出ないように畝の表面をていねいに均しておきます。

種まき

ホウレンソウは、間引きをしながら育てるので、すじまきが一般的です。
畝の表面に支柱などを押し当てて、深さ1㎝程度のまき溝を作り、1㎝間隔で種が重ならないように均一にまいていきます。
種をまいたら、溝の両側の土を厚さ1㎝ほど被せ、表面を軽く手で押さえて種と土を密着させ、たっぷりと水やりをします。

間引き

1回目の間引きは、本葉1~2枚の時に行い、株間を3㎝程度にします。2回目は、本葉3~4枚の時に株間5~6㎝にし、2回目の間引き後に化成肥料を追肥します。
ホウレンソウの間引きは、根の衝突や密集を防ぎ、病害虫の被害を減らすために行います。株間が狭いと日当たりや風通しが悪く、肥料も行き渡らなくなります。
間引いた葉は、お浸しなどで食べられますので捨てないで利用します。

プランター栽培の場合

プランターは標準サイズで深さ20㎝程度、鉢植えの場合は10号(直径30㎝)以上を用意します。

用土

ホウレンソウは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。排水性を良くするために鉢底石を敷き詰めて、野菜用培養土を8分目くらい入れます。

種まき

ホウレンソウは、間引きをしながら育てるので、すじまきが一般的です。
用土の表面に棒などを押し当てて、深さ1㎝程度のまき溝を作り、1㎝間隔で種が重ならないように均一にまいていきます。
種をまいたら、溝の両側の土を厚さ1㎝ほど被せ、表面を軽く手で押さえて種と土を密着させ、たっぷりと水やりをします。

間引き

1回目の間引きは、本葉1~2枚の時に行い、株間を3㎝程度にします。2回目は、本葉4~5枚の時に株間5~6㎝にし、2回目の間引き後に化成肥料を追肥します。
プランターは、日当たりと風通しの良い場所で管理します。
夜間の照明や街灯が一晩中あたる場所は、日が長くなったと認識して「とう立ち」することがあるので、夜は光が当たらない場所に移動します。

3.ほうれん草の栽培手入れ

水やり

収穫までの主な作業は、水やり、追肥、除草などです。

水やり

畑栽培は、土が乾いた時にたっぷりと水やりをします。
プランター栽培は、土が乾燥しやすいので、土の表面が乾いたら底穴から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。

追肥

ホウレンソウの追肥は、2回目の間引き後(種まきから約1か月後)に施します。追肥の際は、肥料が葉にかからないように注意します。
畑栽培では、化成肥料20〜30g/㎡を条間にまき、土と軽く混ぜ合わせて株元に土を寄せます。
プランター栽培は、化成肥料10g程度を条間にまいて土と軽く混ぜ合わせます。

除草

ホウレンソウの栽培期間中は、除草も重要です。雑草を放置すると病気や害虫の被害を受けやすくなります。除草は適度に行っていくのが無難で、数日おきに行えば手間もさほどかかりません。

防寒対策

ホウレンソウは寒さに強い野菜ですが、秋まき栽培では、畑の北側にササ竹などを立てると風よけや霜よけになります。12月以降は不織布などのべたがけを行い、簡単な防寒対策をします。

4.ホウレンソウの収穫時期

ほうれん草の収穫

ホウレンソウの収穫は、地域や品種によって異なりますが、春まきの場合は30~40日、秋まきの場合は30~50日が目安です。
草丈が20~25㎝、本葉10枚程度になったら、株の根元をハサミで切って収穫します。このとき、葉が散らばらないように、根を少しつけて地際から切り取ります。

また、株ごと抜き取って収穫することもできます。収穫後に不要な根を切り取り、傷んだ葉を取り除きます。
収穫は、朝か夕方の気温の低い時間帯に行います。
ホウレンソウは、一度にたくさん種をまくと収穫が大変です。種まき時期をずらしながら栽培することで、必要な分を長く収穫できます。

5.ホウレンソウに発生しやすい病気

ほうれん草の病気

ホウレンソウは、多湿環境で病害虫の発生が多くなります。

べと病

べと病は、糸状菌(カビ)による病気で、ホウレンソウの葉の表面に境目がはっきりしない黄色い小斑点ができ、病気が進行すると葉の大部分が変色して次第に枯れてきます。
梅雨や秋の長雨など、曇りや雨が多く、多湿な状態が続くと発生しやすくなります。
発生後の防除は手遅れなので、連作や密植を避け、水はけと風通しを良くし、窒素過多にも注意します。発病した株は、胞子が飛び散って感染源となるため、早めにホウレンソウの株ごと抜き取って処分します。

炭疽病(たんそびょう)

炭疽病は、糸状菌(カビ)による病気で、ホウレンソウの葉に水がしみたような円形の小斑点が生じるのが特徴で、やがて拡大して葉に穴があいて枯れてしまいます。
梅雨や秋雨の時期に発生するので、水はけを良くし、連作や密植を避けます。肥料過多にも注意し、発病したホウレンソウの葉や株は、早めに撤去処分します。

モザイク病

モザイク病は、ウイルスによる病気で、主にアブラムシがウイルスを媒介します。葉に濃淡のモザイク模様が現れ、葉の萎縮や縮れが起きます。
発病すると治療薬はないため、防虫ネットを張ってアブラムシの飛来を防止します。
感染したホウレンソウの株は、ほかの株へ伝染しないように撤去処分し、作業に使ったハサミなども消毒します。

6.ホウレンソウに発生しやすい害虫

ホウレンソウは、アブラムシやハスモンヨトウなどに注意します、

アブラムシ

アブラムシは、ほとんどの野菜に発生する体長2~4㎜ほどの害虫で、ホウレンソウの葉や茎の汁を吸収し、モザイク病などのウイルスを媒介します。
アブラムシは、回復手立てのないウイルス病を媒介するので、アブラムシが通れないくらいの目の細かい防虫ネットをかけて飛来を防止します。
自然派薬剤には、『ベニカマイルドスプレー』『アーリーセーフ』などがあります。

ハスモンヨトウ

ハスモンヨトウは、8月~10月に発生し、雌の成虫が夜間に飛来し、葉裏におよそ400個の卵を一つの塊で産み付けます。ふ化した幼虫は、集団で葉裏から表皮を残して食害するため、ホウレンソウの葉がかすり状に白くなって目立つようになります。葉裏の幼虫や卵塊を見つけたら葉ごと取り除いて潰します。
幼虫は、昼間は土の中に隠れ、夜になると出てきて葉を食害します。昼間は根元近くの土の中に潜んでいるため、見つけたら潰して処分します。
発生初期の自然派薬剤には、『ゼンターリ顆粒水和剤』などがあります。

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