ジャガイモ(じゃがいも)の育て方・栽培方法

ジャガイモ(じゃがいも)の育て方・栽培方法

1.ジャガイモ栽培の特徴と時期


ジャガイモの育て方手順に沿って、畑やプランターでジャガイモを栽培してみましょう!
ジャガイモは簡単に育てられるので、家庭菜園初心者にもオススメの野菜です。

ジャガイモ(じゃがいも)の栽培データ
■ジャガイモの栽培難易度:簡単
■分類:ナス科ナス属
■原産地:南米アンデス高地
■主な旬:5月~6月、11月~12月
■栽培時期:春植え・秋植え
春植え栽培:植え付け2月~3月、収穫時期:5月~6月
秋植え栽培:植え付け8月~9月、収穫時期:11月~12月
■連作障害:あり(2~3年あける)
■好適土壌pH:5.0~6.0
■発芽適温:15~20℃
■生育適温:15~24℃

ジャガイモの種イモが買えるお店

ジャガイモの種イモを買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
栗のような甘さのジャガイモや煮くずれしないジャガイモなど、色々な品種のジャガイモを購入することができます。

ジャガイモの特徴

ジャガイモは、南米アンデス山脈の高地原産で、日本には約400年前にオランダ人によってインドネシアのジャカルタから長崎に伝わったとされています。
ジャガイモの品種は、「男爵いも」と「メークイン」が有名で、北海道だけで国内の70%以上が生産されています。

ジャガイモは、和食、洋食を問わずいろんな料理に使われる野菜で、ビタミンCやカリウムなどが多く含まれています。ジャガイモのビタミンCは加熱しても損失が少ないという特徴があります。
一方、ジャガイモの発芽した部分や皮が緑色になった部分には、「ソラニン」という有害物質が含まれているので、食べないように注意が必要です。

ジャガイモは、関東以西の中間地や暖地では春と秋の年2回収穫ができ、初心者にも育てやすく家庭菜園で人気の高い野菜です。
ジャガイモを初めて栽培する場合は、管理しやすい春植えがおすすめです。

ジャガイモの栄養素

ジャガイモには、ビタミンC、ビタミンB1、カリウム、食物繊維などが多く含まれています。ビタミンCは免疫力を高めて風邪の予防や疲労回復の効果があり、カリウムは体内の塩分を調節して高血圧予防に効果があるとされています。

ジャガイモの種まき

ジャガイモの主な品種

ジャガイモは、春植え向きの品種と、秋植え向きの品種があります。
春植え:『男爵イモ』『メークイン』『キタアカリ』『とうや』『インカのめざめ』『レッドムーン』『十勝こがね』など。
秋植え:『ニシユタカ』『デジマ』『アンデス赤』『セトユタカ』『さんじゅう丸』など。

ジャガイモの栽培ポイント

・日当たりと水はけのよい場所で栽培する。
・ナス科野菜の連作を避け、同じ場所は2~3年の期間を空ける。
・種イモは、検定済みのものを購入する。
・秋植え栽培は、植え付け適期を守る。

ジャガイモの栽培時期

中間地(関東地域)での栽培時期は、以下のとおりです。
栽培時期は、品種や地域によって異なりますので、ホームセンターなどで確認するようにします。
春植え栽培:植え付け2月下旬~3月下旬、収穫5月下旬~6月中旬
秋植え栽培:植え付け8月下旬~9月上旬、収穫11月下旬~12月上旬

ジャガイモの連作障害

ジャガイモは連作障害を起こすため、同じナス科(トマト、ナス、ピーマン、シシトウなど)の野菜を栽培した土壌では2~3年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出て生育に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
プランター栽培では、常に新しい土を使うことをおすすめします。

ジャガイモの好適土壌pH

ジャガイモの好適土壌pHは、5.0~6.0とされています。ジャガイモは弱酸性を好むため、土壌pHが6.0以上の場合は苦土石灰をまく必要はありません。

2.ジャガイモの栽培方法(畑・プランター)

肥料

ジャガイモは、種イモを植え付けて栽培します。
種イモは、ホームセンターや園芸店などで種苗検定済みのものを購入します。スーパーで売られている食用のジャガイモや自家栽培のジャガイモを植えても病害などでうまく育ちません。

種イモの芽出し

ジャガイモの種イモは、「芽出し」をしてから植え付けます。
芽出しは必ずしも必要ではありませんが、芽出しをすると発芽がそろって生育がよくなります。
芽出し作業は簡単で、植え付けの2~3週間前から、毎日朝から夕方まで日の当たる場所に種イモを置いて日光に当て、夕方以降は室内に取り込みます。これを2週間くらい行うと、種イモから芽が出てきます。

種イモの準備

1個30~40gの小ぶりの種イモは、切らずに丸ごと植え付けます。
約50g以上の大きい種イモは、1片に芽が2〜3個つくように縦に切り分け、2日ほど風通しのよい日陰で乾かします。切った種イモをすぐに植え付ける場合は、切り口に草木灰か専用処理剤をまぶしてから植え付けます。
なお、秋植え栽培の場合は、切った種イモは腐りやすいので、小さめの種イモを丸ごと植え付けるようにします。

畑栽培の場合

畑栽培は、しっかりと土づくりを行い、畝(うね)を作って栽培します。

土づくり

ジャガイモは、日当たりと水はけの良い場所で栽培します。
植え付けの1週間前に完熟堆肥2㎏/㎡、化成肥料100g/㎡を施してよく耕し、幅60~70㎝、高さ10~15㎝の畝を作ります。
ジャガイモは弱酸性を好むため、土壌pHが6.0以上の場合は苦土石灰をまく必要はありません。

植え付け

植え付け当日に、畝の中央に幅15㎝、深さ15㎝ほどの溝を掘ります。
種イモは、切り口を下にして溝の底に30㎝間隔で置いていきます。
植え付けが終わったら、掘り上げた土を溝に埋め戻して平らにならしておきます。植えた場所が分かるように、支柱などを立てておきます。
種イモは水を多く与えすぎると腐敗するので、植え付け後の水やりは必要ありません。

プランター栽培の場合

プランターは65㎝標準タイプ(深さ30㎝以上)で2株、10号鉢(直径30㎝)で1株が目安となります。

用土

ジャガイモは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。市販の野菜用培養土やジャガイモ専用培養土を利用すると、土づくりの手間が省けます。鉢底石をプランターの底に敷き詰めて、容器の半分くらいまで土を入れます。

植え付け

種イモの準備は、畑栽培と同じようにします。
植え付けの際は、種イモの切り口を下にして置き、土を5㎝ほど被せて手で軽く押さえておきます。その後、容器の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。
プランターや鉢は、日当たりと風通しのよい場所で管理します。

3.ジャガイモの栽培手入れ

水やり

収穫までの主な作業は、水やり、芽かき、追肥、土寄せなどです。

ジャガイモの水やり

畑栽培は、晴れた日に種イモを植え付けますが、水を多く与えると種イモが腐ってしまうので水やりは不要です。植え付け後は自然の降雨で足りますが、雨が降らない日が続き、土が乾燥していれば水やりをします。
プランター栽培は、植え付け時に容器の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。その後は、土が乾いてからたっぷりと水やりをします。

ジャガイモの芽かき

植え付けから1か月ほどで、種イモ1個から5~6本の芽が伸びてきます。全部の芽を伸ばすとイモが小さくなるので、発芽して10~15㎝になったら、茎が太くて生育のよいものを残して1株の芽が1~2本になるようにかき取ります。芽かきは、残す芽の根元を手で押さえながら引き抜くか、株元近くをハサミで切り取ります。
プランター栽培の場合も畑栽培と同じように芽かきを行い、1株の芽が1~2本になるようにします。

ジャガイモの追肥・土寄せ

ジャガイモは、追肥と土寄せを行うことでイモが肥大します。また、イモが地上に露出して直射日光にあたると「ソラニン」という有毒物質が作られるため、追肥後にしっかりと土寄せをします。

畑栽培、プランター栽培とも、芽かきが終わった頃に1回目の追肥を行い、つぼみが見えてきた頃に2回目の追肥を行います。
また、ジャガイモの生長に合わせて株元に土寄せや増し土を行い、ジャガイモが地上に露出しないように管理します。
畑栽培は、化成肥料30g/㎡を株間にまき、クワで軽く耕して株元に土寄せをします。2回目の追肥は同量を株間にまき、クワで軽く耕して株元に多めに土寄せをします。
プランター栽培は、1株当たり化成肥料10gを株の周囲にまき、新しい培養土を5㎝ほど足します。2回目の追肥は同量を株の周囲にまき、新しい培養土をプランターの9分目まで足します。

4.ジャガイモの収穫時期

ジャガイモの収穫

ジャガイモは、春植え栽培は5月下旬~6月中旬、秋植え栽培は11月下旬~12月上旬に収穫することができます。
気温が高くなって、茎や葉が枯れてきたら、試し掘りをします。イモが大きくなっていたら、晴天が2~3日以上続いて土壌が乾燥している日に収穫をします。
土が過湿状態のときに収穫するとイモが腐りやすくなるので、晴天の日に収穫するようにします。また、イモがまだ小さいときは、土をかけて戻しておきます。

畑の場合は、イモを切断しないように注意して、株から少し離れたところにスコップを入れて、株全体を掘り起こします。収穫の際は、地中にイモが残っている場合があるので取り残しがないか確認します。
プランター栽培の場合は、株元の部分を持って真っすぐに引き抜きます。
掘り出した直後のイモは、皮がまだ軟らかいので土をつけたまま1~2時間ほど乾かします。

ジャガイモの保存方法

収穫したジャガイモは、少し乾燥させてから土を軽く落とし、風通しのよい日陰の場所にならべて3~5日ほど乾燥させます。乾燥を終えたら、傷んでいるジャガイモは取り除き、ダンボールや保存袋に入れて風通しの良い場所で保存します。
収穫したジャガイモは呼吸をしているので、密閉しないで日光にあたらないようにすることが重要です。

ジャガイモの生育障害

収穫したジャガイモが、変形や変色していることがあります。畑が乾燥状態の時に急な大雨が降るとイモの肥大が一気に進み、ジャガイモの皮の生長が追いつかなくなります。
窒素肥料や水のやりすぎによって生育不良を引き起こす場合もあります。ジャガイモは栽培しやすい野菜ですが、窒素過多に注意し、水はけのよい環境で栽培するようにします。

5.ジャガイモに発生しやすい病気

家庭菜園

ジャガイモに発生しやすい病気をご紹介します。

そうか病

そうか病は、土壌中に生息する細菌によって起こる病気です。イモの表皮に直径5~10㎜のかさぶた状の病斑ができ、へこみや周囲が盛り上がったような病斑が現れます。土壌pHが6.5以上のアルカリ性土壌で多発します。
ナス科作物の連作を避け、健全な種イモを使用し、アルカリ性土壌での栽培を避けるようにします。

粉状そうか病

粉状そうか病はカビによる病気で、イモの表面に隆起したカサブタ状の病斑ができます。そうか病と同じようにかさぶた状の病斑ができますが、病斑部はへこみがなく剝がれたり割れたりします。ナス科作物の連作を避け、健全な種イモを使用するようにします。

疫病(えきびょう)

疫病は、土壌中に生息するカビによる病気で、泥はねなどで感染してジャガイモの葉や茎に発生して株を枯らします。葉には、水が浸みたような暗褐色の病斑ができます。
健全な種イモを使用し、水はけと風通しをよくして、窒素肥料の過多に注意します。発病した部分はすべて取り除いて、畑の外に撤去処分します。

モザイク病

ウイルスによる病気でいちばん多いのがモザイク病です。ウイルスを持ったアブラムシが葉を吸汁することで、健康な葉も感染してしまいます。葉脈が透けるようになり、モザイク状の病斑が葉に現われます。
生育不良になり、収穫量も減ってしまうので、発症したジャガイモの葉や株はすぐに撤去処分します。過湿状態で育てることもアブラムシ発生の要因です。

6.ジャガイモに発生しやすい害虫

ジャガイモには、「アブラムシ」や「テントウムシダマシ」が発生しやすいので注意します。

アブラムシ

アブラムシは、体長1~4㎜ほどの害虫で、茎や葉に集団で寄生し、口針を刺しこんで植物の汁を吸収します。モザイク病やウイルス病に感染した植物を吸汁した際に体内にウイルスを取り込み、健康な植物にウイルスを媒介します。
窒素肥料のやりすぎに注意します。被害を最小限に食い止めるためには、早めに薬剤で対処することも大切です。

ニジュウヤホシテントウ

ニジュウヤホシテントウは、見た目がテントウムシに似ているので、テントウムシダマシとも呼ばれています。
主にナス科の野菜に寄生し、成虫も幼虫も葉を好んで食害します。肥料分が多いと産卵されやすいので、窒素肥料の過多に注意します。
寄生されると一気に繁殖してしまうので、葉裏をよく確認して幼虫や卵を見つけて捕殺します。
発生初期の薬剤には、『ベニカベジフルスプレー』『スミチオン乳剤』『ベニカ水溶剤』などがあります。自然派薬剤はありません。

オオタバコガ

オオタバコガは蛾の仲間で、成虫が飛来して葉に卵を産み付けます。幼虫が葉を食害するため、葉に穴があいて生育不良になります。
防虫ネットで覆い、成虫の侵入と産卵を防止します。ジャガイモの葉裏をよく観察して、早期のうちに卵や幼虫を捕殺することも大切です。

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