トマト(とまと)の育て方・栽培方法

トマト(とまと)の育て方・栽培方法

1.トマトの特徴と栽培時期


トマトの育て方手順に沿って、畑やプランターでトマトを栽培してみましょう!
トマトはプランターでも育てられるので、家庭菜園で栽培人気NO1の野菜です。

トマトの栽培データ
■トマトの栽培難易度:難しい
■分類:ナス科トマト属
■原産地:南米ペルー
■主な旬:7月~8月
■栽培時期:春まき・春植え
種まき:2月~4月、植え付け:4月~5月、収穫時期:7月~8月
■連作障害:あり(4~5年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:25~30℃
■生育適温:25~30℃

トマトの苗や種が買えるお店

トマトの苗や種を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
小玉トマト、中玉トマト、大玉トマトなど色々な品種が購入できます。

トマトの特徴

トマトの育て方

トマトは、南米ペルーのアンデス高原地帯が原産で、ナス科に分類されています。
トマトが日本に渡来したのは江戸時代で、明治初期に食用として用いられ、その後品種改良が進んで昭和初期から広く栽培されるようになりました。
トマトは品種がとても多く、色や形も様々で、枝付きで販売されているミニトマトや高糖度のフルーツトマトなども販売されています。

トマトは、生食用のほかサラダ、炒め物、煮物料理などによく使われ、ジュースやソースなど加工用としても利用されています。
トマトは栄養価の高い緑黄色野菜で、果肉の赤い色はリコピンによるもので、抗酸化力があり、ガンや生活習慣病の予防に有効であるとされています。また、β-カロテンやビタミンC、クエン酸、リンゴ酸なども豊富で、機能性食品としても注目されています。

トマトは、果実の大きさによって、大玉トマト・中玉トマト・ミニトマトに分類されています。大玉トマトは果実の重さが200g以上で、ミニトマトは果実の重さが10~30g程度のものをいいます。
トマトは、果実が大きいほど栽培難度が高くなります。栽培初心者であればミニトマトがおすすめで、苗を購入して植え付けると育苗の手間が省けてプランターで栽培することもできます。品種によって甘味の強いものや酸味の強いものなど様々ですので、自分好みの品種を育てることができます。

トマトの栄養素

トマトには、β-カロテン、ビタミンC、カリウムなどの栄養が豊富に含まれています。トマトの赤い色素のリコピンは、β-カロテンよりも抗酸化作用が高いと言われ、ガンや動脈硬化、高血圧の予防、生活習慣病の改善のほか、疲労回復や美肌作りにも効果があるとされています。

トマトの主な品種

トマトには、多くの品種があります。
『ホーム桃太郎』『桃太郎ゴールド』『麗夏』『おどりこ』『フルティカ』『アイコ』『レッドルビー』『オレンジキャロル』など。

トマトの栽培ポイント

・日当たりと水はけの良い場所で栽培する。
・ナス科野菜を4~5年間栽培していない場所を選ぶ。
・苗は寒さに弱いので、遅霜の心配がない頃に植え付ける。
・わき芽を定期的に摘み取り、果実に養分をまわす。

トマトの栽培時期

栽培時期は、品種や地域により異なりますので、種袋やホームセンターなどで確認するようにします。
中間地(関東地域)
種まき:2月下旬~4月下旬、植え付け:4月下旬~5月中旬、収穫:7月上旬~8月下旬

トマトの連作障害

トマトは連作障害を起こすので、ナス、ピーマン、ジャガイモなどのナス科野菜の連作を避け、4~5年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
同じ場所に同じ野菜を栽培すると、土壌中の微生物に偏りが出て、トマトの生育に悪影響を及ぼします。収穫量が極端に減少することもあるため、連作障害には注意が必要です。
プランター栽培では、常に新しい用土を使うことをおすすめします。

トマトの好適土壌pH

トマトの好適土壌pHは、6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。

2.トマトの栽培方法(畑・プランター)

トマトの種まき

トマトは種から育てることができますが、育苗に2か月ほどかかり温度管理も難しいので苗を購入して植え付けると手間が省けます。また、接ぎ木苗を使用すると、病害虫に対するリスクも減ります。
ポット苗は、4月中旬頃に販売されます。苗を購入する際は、病害虫の被害がなく、葉の色が濃い緑色で節間が詰まっていて双葉があり、一番花または蕾がついているものを選びます。
市販の苗は3号ポット(直径9㎝)ですが、苗がまだ小さい時は4号ポット(直径12㎝)に植え替えて一番花が咲き始めるまで育てます。

畑栽培の場合

トマトの栽培は、しっかりと土づくりを行うことが基本です。

土づくり

日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付けの2週間前までに苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
植え付けの1週間前になったら、畝を立てる場所の中央にクワを使って深さ20~30㎝、幅15㎝ほどの溝を掘り、完熟堆肥3~4㎏/㎡、化成肥料100g/㎡を均等に施して掘り上げた土を埋め戻し、その上に幅60㎝、高さ10~15㎝の畝を作ります。

種まき

トマトを種から育てる場合は、育苗に2か月ほど要するので、ポットに種をまきます。
3号ポット(直径9㎝)に培養土を入れ、指先で深さ1㎝ほどの窪みを3箇所作り、1粒ずつ種をまきます。
周りの土を薄く被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させてたっぷりと水やりをします。
発芽したら本葉2~4枚の頃に生育の弱いものを間引いて1ポット1本にし、本葉5~6枚になったら植え付けます。

植え付け

ポット苗の植え付けは、遅霜の心配がない頃に行います。
苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに深植えにならないように植え付けます。株間は45~50㎝程度にします。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と根鉢を密着させ、たっぷりと水をあげます。
なお、植え付けに、ポットをバケツの水につけて土を湿らせてから植えると根張りがよくなります。苗を植え付けたら、最後にたっぷりと水やりをします。
また、トマトの花は一定方向に付くため、花の向きを通路側に向けて植えると収穫が楽になります。

プランター栽培の場合

プランターは大型サイズで1~2株、10号鉢(直径30㎝)で1株が栽培目安となります。種から育てることができますが、市販の苗を利用すると育苗の手間が省けます。

用土

トマトは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。
排水性を良くするため、鉢底石をプランターの底に敷き詰めて、上部から3㎝下のところまで培養土を入れます。

種まき

種から苗を育てる場合は、ポットまきがおすすめです。
ポットまきの手順は、畑栽培と同じように行います。

植え付け

ポット苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに深植えにならないように植え付けます。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と密着させ、たっぷりと水をあげます。
プランターや鉢は、日当たりと風通しの良い場所で管理します。

3.トマトの栽培手入れ

水やり

収穫までの主な作業は、水やり、支柱立て、人工授粉、追肥、わき芽かき、摘芯などです。

水やり

畑栽培では、苗が根付いた後は自然の降雨で足りるので基本的に水やりの必要はありません。雨が降らないようであれば水やりをします。
プランター栽培では、土の表面が乾いたら株元にたっぷりと水やりをします。
頻繁に水をあげすぎると根が過湿状態になり、根腐れを起こすので水のやりすぎに気を付けます。
水の与えすぎや夜間の水やりは「徒長」の原因になるので注意し、水やりは朝の時間帯に行います。

支柱立て

苗の植え付け直後は、苗を安定させるために約30㎝の仮支柱を立てます。
根を傷めないように、株元から少し離して斜めに浅く差し込みます。本葉10枚の頃に仮支柱を取り外して本支柱に交換します。
大玉トマトの場合は、長さ1.8~2mの支柱を用意し、株元から10㎝以上離した場所に立てます。主茎が伸びてきたら、ヒモを使って支柱へ誘引し、支柱と茎を8の字形に緩く結びます。

人工授粉

トマトは、一番先に咲いた花(一番花)を確実に着果させると、その後の果実がつきやすくなります。
通常は風や虫によって自然受粉されますが、人工授粉を行うと安心です。
人工授粉には、手で花を揺する方法、綿棒で花粉をつける方法、トマトトーンなどのホルモン剤を使う方法などがあります。
人工授粉は、花が咲いた日の午前中に行います。

追肥

トマトの追肥は、第1段目と第3段目の果実がピンポン球くらいの大きさになったときの2回施し、以後は株の草勢を見ながら適宜施します。
畑栽培は、畝の通路側に浅く溝を掘り、化成肥料30g/㎡をまいて軽く土と混ぜ合わせて土を寄せます。
プランター栽培は、化成肥料10g程度をプランターの縁にまき、土と軽く混ぜ合わせます。

わき芽かき

トマトは、苗が成長してくると、葉の付け根からわき芽が出てきますので、小さいうちに摘み取ってしまいます。手でつまんで横に傾けると簡単に折ることができます。
わき芽を取ることで、果実に栄養がまわり、日当たりや風通しもよくなって病害虫も発生しにくくなります。
わき芽は成長が早いので、わき芽かきは週1回のペースで行います。切り口の傷から病気が入りやすいので、わき芽かきは晴れた日の午前中に行います。
大玉トマトの場合は1本仕立てにするので、わき芽はすべてかきとります。中玉やミニトマトは、過繁茂にならない適度にかきとります。

摘芯・摘果

トマトが支柱の高さまで成長したら、それ以上伸びないように5段目の花房の上にある芯を止めます。花房の上の葉2枚を残して、その上の茎を摘み取ります。
また、大玉トマトの場合は、実を大きくするために1房につく実を4~5個ぐらいに制限し、小さい実や不良果は摘果します。

雨よけ栽培

トマトは過湿に弱く、極端な乾燥と過湿が続くと変形果や裂果の原因となるため、出来るだけ雨に当たらないように工夫します。雨に当たると、病気になりやすく、実が割れてしまう原因となります。
畑栽培では、梅雨に入る前に雨よけを設置し、苗や株が土壌病原菌に侵されないようにします。長めの支柱とビニールを使った手作りの簡易的な雨よけでも大丈夫です。

4.トマトの収穫時期

トマトの収穫

トマトは、関東などの中間地では、7月上旬~8月下旬頃まで収穫を楽しむことができます。
花が咲いた後、55日~60日後に真っ赤な実を付けます。トマトのガクの部分が反り返って、ヘタ部分まで赤くなったものは甘味も強くなっていますので、収穫していきましょう。
トマトを収穫は、朝の時間帯に行います。昼間は光合成を行い、夜間に養分を実に蓄えていくので、朝に収穫したトマトが一番美味しいです。

トマトの生育障害

トマトは強い光を好むので、光が十分に当らないと茎の徒長や果実の空洞化などの生育障害が起こり、十分な実を収穫できなくなります。

尻腐れ病

トマトの実のお尻部分が黒褐色になる病気で、原因は土壌のカルシウム不足、過度の乾燥、窒素の過多などです。過度の乾燥や窒素が多いと、カルシウムの吸収が妨げられるので注意します。花が咲いている時に使える「尻腐れ予防スプレー」などもあります。

空洞果

トマトのゼリー部分の発育が悪くなって空洞が生ずる症状で、高温または低温による受粉不良が主な原因です。ホルモン剤(トマトトーン)の過剰散布でも起こります。日照不足や窒素肥料の過多に注意し、ホルモン処理は適正に行うようにします。

筋腐れ果

トマトの実に縦に筋が入ったように着色不良を起こす症状で、主な原因は日照不足と窒素過多による過繁茂などです。
日当たりと風通しの良い場所を選び、水はけを良くし、窒素肥料の与え過ぎに注意します。筋腐れに強い品種を選ぶことも予防対策の一つです。

割果・裂果

トマトの実に亀裂が入った状態で、土壌の水分量の急激な変化によって引き起こされます。特に、夏の乾燥期に急な雨があると水分の吸収量が高まり、外皮が耐えきれずにトマトに亀裂が入ってしまいます。簡易的な雨よけ屋根や遮光シートを施し、強い日差しが当たらないようにします。
裂果に強い『アイコ』『麗夏』などの品種もあります。

5.トマトに発生しやすい病気

トマトの病気と害虫

トマトは病気にかかりやすいので、病害に強い品種や接ぎ木苗を使用すると病気の発生予防になります。

青枯病(あおがれびょう)

青枯病は、根から侵入した病原菌が茎の導管内で増殖するため、水分や栄養分の上昇が遮断されてしまい、元気だったトマトの株が急に萎れて数日で枯れてしまいます。
梅雨明けから夏にかけて水はけの悪い場所で発病しやすいので、畝を高くして排水を良くします。青枯病は薬剤による防除ができないので、連作を避け、水のやりすぎや窒素肥料の与え過ぎに注意します。発病したトマトの株は、根ごと抜き取って撤去処分します。

疫病(えきびょう)

疫病は、土中に生息するカビ(糸状菌)による伝染性の病気で、雨の多い梅雨時に発生しやすく、降雨や水やり時の泥はねなどで菌がトマトの葉や茎、果実に侵入して暗褐色の病斑ができ、やがて腐敗して株全体が枯れてしまいます。
連作を避け、水はけを良くし、窒素肥料の与え過ぎに注意します。雨除け栽培やマルチングで泥はねを防ぐことも有効です。発病した葉や茎は取り除いて、畑の外で処分します。
自然派薬剤には『サンボルドー』、化学合成薬剤には『ダコニール1000』などがあります。ジャガイモと共通して感染するため、近くにジャガイモがある場合は同時に散布します。

黄化葉巻病(おうかはまきびょう)

黄化葉巻病は、ウイルスによる伝染性の病気で、トマトの葉が巻き出して萎縮し、葉の色が黄色くなっていきます。花が咲いても実が着かないことが多く、収量が減ってしまいます。原因は、タバココナジラミがウイルスを媒介し感染させます。
黄化葉巻病はウイルス病ですので、薬剤で治療することはできません。発病した場合は、病気が広がる前に早めに株ごと抜き取って撤去処分します。

萎凋病(いちょうびょう)

萎凋病は、糸状菌(カビ)による病気で、高温期に発病しやすく、トマトの根から侵入した病原菌が茎の中を伝わって下の葉から徐々に萎れて枯れていき、最終的に株全体が萎れて枯れてしまう病気です。
発病後の治療法はできないので、連作を避け、水はけを良くし、接ぎ木苗を利用するなどして病気を予防します。病気に侵されたトマトの株は根から掘り上げて撤去処分し、感染を防ぎます。

灰色かび病

灰色かび病は、カビ(糸状菌)による病気で、トマトの果実、花、茎、葉などのあらゆる組織に発病し、特に果実の被害が大きくなります。果実ではヘタの部分に水が浸みたような病斑ができ、灰色のカビが生えて腐敗します。
低温多湿の梅雨時に発病しやすので、窒素肥料の過多に注意し、株間を十分にあけて風通しを良くし、カビに侵された葉や受粉の終わった花柄をこまめに取り除きます。発病したトマトの葉や果実は、すぐに取り除いて畑の外で処分します。自然派薬剤には『家庭園芸用 カリグリーン』、化学合成薬剤には『STダコニール1000』などがあります。

葉かび病

葉かび病は、トマトやミニトマトのみに発生する病気で、葉の表面に淡い黄色の斑紋ができ、その後、葉の裏側に褐色のカビが生え、やがて葉が枯れてしまいます。発生適温は20~25℃で、病原菌が風などで飛ばされて被害が拡大します。多湿条件で発病しやすいため、過繁茂に注意します。自然派薬剤には『家庭園芸用 カリグリーン』、化学合成薬剤には『STダコニール1000』などがあります。

6.トマトに発生しやすい害虫

トマトに発生しやすい害虫についてご紹介します。

アブラムシ

アブラムシは、ほとんどの野菜に発生する体長1~4㎜ほどの害虫で、口針を刺しこんでトマトの葉や茎の汁を吸収し生育を阻害するほか、モザイク病などのウイルスを媒介します。アブラムシが嫌がるシルバーマルチやキラキラテープなどで飛来を防止します。
繁殖力が非常に旺盛なため、見つけたらすぐに捕殺するか、『ベニカマイルドスプレー』『アーリーセーフ』などの殺虫剤を株全体に散布して駆除します。

タバココナジラミ

タバココナジラミは体長1㎜ほどの小さな白い虫で、葉の裏側に生息して吸汁し、トマトの生育を妨げます。雨が少ない乾燥した年に発生しやすく、ウイルス病を媒介し、黄化葉巻病などを伝染させます。甘露と呼ばれる排出物で葉や果実がベトベトになり、カビが生じてすす病を発症させます。
発生した場合は、『アーリーセーフ』などをトマトの葉の表と裏に散布します。

オオタバコガ

オオタバコガは蛾の仲間で、ナス科野菜でよく知られた害虫で、幼虫がトマトの新芽や蕾、果実に潜り込んで内部を食害します。見つけたら捕殺し、発生初期に専用の殺虫剤を葉や花に散布します。内部に潜り込んだ幼虫は農薬がかかりにくいので、防虫ネットで覆って成虫の産卵を防止します。自然派薬剤には、『STゼンターリ顆粒水和剤』などがあります。

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