コンパニオンプランツ(効果・植え方・組み合わせ)

コンパニオンプランツ(効果・植え方・組み合わせ)

1.コンパニオンプランツとは

コンパニオンプランツとは

コンパニオンプランツとは、お互いに協力し合いながら成長する野菜や植物の組み合わせのことです。これらの植物同士が共存することで、互いの利益を最大化し、害虫の被害を最小限に抑え、食味を向上させる効果があります。これは無農薬でおいしい野菜を栽培するために役立つ手法です。

コンパニオンプランツの植え付け方法は「混植」で、異なる科の野菜を組み合わせて近くに寄せて植えることが基本です。同じ科の野菜を一緒に植えることは避けます。たとえば、トマト、ジャガイモ、ナスなどは同じナス科に属するため、同じ場所に一緒に植えないようにします。同じ養分を欲しがりケンカになり、病害虫も共有しやすくなってしまいます。
近くに植える場合は、相性の良い野菜を株間に植えると影響を抑えられます。

コンパニオンプランツはプランターでも効果的に利用できますので、適したコンパニオンプランツを見つけ、健康で美味しい野菜を育てましょう。

2.コンパニオンプランツの代表科目

コンパニオンプランツ

コンパニオンプランツとして利用される代表的なものには、ネギ属、マメ科、キク科、およびハーブ類があります。それぞれの特徴を見てみましょう。

①ネギ属

ネギ属はウリ科の野菜との相性が非常に良いことで知られています。ネギ属は根の周りに付く拮抗菌が出す物質により、混植された野菜や果物の病害を防ぐ働きをします。さらに、ネギ属はナス科の野菜とも相性が良いことが知られています。

②マメ科

マメ科の特徴は、根に共生する根粒菌の存在です。根粒菌は、空気中の窒素を固定して供給し、同時に菌根菌は、根から吸収できないミネラルを土壌から分解して供給します。この特性により、マメ科と他の野菜を混植することで、生育がよくなります。

さらに、根の周囲に存在する微生物の増加により、土壌病害の発生が抑制されます。マメ科はナス科の野菜と混植すると、野菜の成長を助け、土壌の健康を維持するのに役立ちます。

③キク科

キク科は、アブラナ科の野菜畑に生息するモンシロチョウやヨトウガ、コナガなどの害虫に対して忌避効果があることで知られています。これらの害虫はキク科の野菜を避ける傾向があります。そのため、アブラナ科の野菜とキク科の野菜を一緒に混植することで、害虫を寄せ付けず、野菜を保護することができます。キク科の野菜は、独特の香りや味が害虫を寄せ付けない忌避効果を持っています。

④ハーブ類

ハーブ類、例えばカモミール、ローズマリー、ミント、タイム、オレガノ、セージなどはコンパニオンプランツとして利用されます。これらのハーブ類には特有の香りと味があり、害虫を寄せ付けない忌避効果があります。ハーブ類を混植することで、野菜畑の生態系が豊かになり、健康で美味しい収穫をサポートします。ハーブ類は特にトマト、ナス、キャベツなどの野菜との組み合わせで効果的です。

3.コンパニオンプランツに期待できる効果

コンパニオンプランツ(小松菜と春菊)

コンパニオンプランツに期待できる効果はたくさんありますので、その中でも代表的な効果を順番に見ていきましょう。

①害虫を遠ざける効果

コンパニオンプランツは、害虫を寄せ付けず、野菜を保護するのに役立ちます。たとえば、ネギ、ニラ、ラッキョウなどのアリウム科植物は、害虫を遠ざけ、野菜を守る効果があります。ウリ科野菜のキュウリ、スイカ、カボチャなどの株元にネギを植えることで、ネギの独特の臭いがウリハムシを寄せつけず、被害を防ぎます。ネギ類やセロリ、パセリなどの臭いの強い植物は、害虫対策に効果的です。ハーブ類も害虫を遠ざける効果が期待できます。

②益虫を集める効果

ハーブ類は、花が咲くと、野菜の受粉に必要なハチやアブなどの益虫を引き寄せるため、野菜が育ちやすくなります。 マリーゴールド、カモミール、ナスタチウム、ボリジなどがコンパニオンプランツとして利用されています。

③病気から守る効果

マリーゴールドには、野菜の根を侵すセンチュウを減少させる効果があります。具体的には、トマト、ナス、ダイコン、マメ類などの様々な野菜とマリーゴールドをコンパニオンプランツとして一緒に植えることで、これらの野菜を病気から守ることができます。

また、ネギ類にも優れた効果があります。例えば、ネギはナスの青枯れ病やキュウリのつる割れ病を防ぐのに役立ちます。具体的な方法として、ナスの苗の根土にネギの苗を添え、ナスとネギの根が絡み合って育つように一緒に植えると効果的です。

ニラもネギ族で、スイカやメロンのつる割れ病や立枯病を予防します。

ネギ類は、根に共存する微生物が土壌の病原菌を減らし、ウリ科やナス科の土壌病害を軽減する効果があります。
ネギとキュウリ、ニラとトマト、ニンニクとイチゴなどの相性が良いとされています。

このように、コンパニオンプランツを利用することで、害虫や病気から野菜を守ることができます。特定の野菜とコンパニオンプランツの組み合わせを工夫することで、庭園や家庭菜園でより健康な植物を育てることが可能です。

④ 風味がよくなる効果

トマトにはバジルを混植すると風味が増すことが知られています。また、マメ類やニンジンにローズマリーを混植することも風味向上に効果的です。

タマネギには、カモマイルを、キャベツには、カモマイル、ミント、オレガノ、タイム、セージ、ローズマリーなどのハーブ類を混植すると、風味が増すことが知られています。

⑤土壌がよくなる効果

複数の野菜を混植しておくと、一つの野菜を育てているときよりも、微生物の種類が増えます。その結果、土壌の品質が向上するため、害虫の発生や病気がまん延するリスクを低減することができます。

⑥成長を助け合う効果

キュウリは風に弱く、強風で枝が折れてしまうこともあります。そのため、キュウリの畝の隣にトウモロコシの畝をつくって育てると、トウモロコシが風からキュウリを守ってくれます。

日向と日陰で育ちやすい野菜の組み合わせも、よく利用されるコンパニオンプランツです。日照を奪い合って競合しない点がポイントです。例えば、キュウリの株元でミツバを育てると、夏野菜であるキュウリは日光をたくさん浴びてよく育ち、キュウリの株元は半日陰のため、ミツバもよく育ちます。また、ミツバは地面を覆うため土が乾きにくく、水を欲しがるキュウリにとって好都合な環境になります。

肥料を必要とする野菜と、肥料をさほど必要としない野菜の組み合わせも、優れたコンパニオンプランツの例です。例えば、エダマメとナス、エダマメとピーマンの組み合わせが有名です。
エダマメは肥料分が多いと枝葉ばかりが茂り、実の付きが悪くなりますが、ナスやピーマンは肥料を必要とするため、定期的に追肥が必要です。
エダマメなどのマメ類は、チッソを固定して土を肥やす働きがあり、野菜の育ちを促します。

4.コンパニオンプランツの植え方

コンパニオンプランツ(マリーゴールドとジャガイモ)

コンパニオンプランツを効果的に活用するためには、植え方に注意が必要です。以下は、コンパニオンプランツを植える際のポイントです。

背丈の相性

コンパニオンプランツを植える際には、背の高い野菜と背の低い野菜を組み合わせることで、スペースを最大限に活用できます。これにより、枝葉がぶつからず、野菜の成長を妨げません。たとえば、トウモロコシとトマトは背が高くなるもの同士だと、日照を奪い合ってケンカしてしまうため、トウモロコシの株元でニンジンを育てる、トウモロコシの株間にカボチャのツルを這わせるなど、互いに競合しない組み合わせで育てましょう。

根の深さの相性

根が深い野菜と根が浅い野菜は一緒に植えても、根が地中で干渉しないため、相性が良いです。
例えば、深根のエダマメと浅根のキュウリや、深根のナスと浅根のショウガの混植はうまくいきます。

日当たりの相性

日当たりを好む野菜と半日陰を好む野菜を組み合わせることも効果的です。キュウリとミツバは、日当たりが必要な野菜として相性が良いです。ただし、大きく成長する野菜同士は、近づけすぎると枝葉が混み合って日当たりが悪くなることがあるため、植え付け時に株間を適切にとることが大切です。

植え付け時期の相性

コンパニオンプランツを成功させるためには、同じ時期に育つ野菜同士を組み合わせることが大切です。春夏野菜と秋冬野菜を一緒に植えないように注意しましょう。野菜ごとに適したまき時期や植え付け時期があるため、種袋の裏などを確認して、季節を合わせましょう。

このように、コンパニオンプランツを植える際には、植え方や相性に注意することで、家庭菜園で健康でおいしい野菜を育てることができます。

5.相性の悪いコンパニオンプランツ

コンパニオンプランツは基本的に、同じ科の野菜の混植は避けますが、科が異なっていても相性が悪い組み合わせが存在します。ジャガイモは、同じナス科やウリ科全般と相性が悪く、一部のアブラナ科とも相性が悪いです。例えば、キャベツやハクサイを近くで栽培すると、結球しなくなりますし、ジャガイモの生育も悪くなります。

また、キャベツとイチゴは相性が悪く、イチゴはさらにニラ、ミント、ローズマリー、タイムとも相性が悪いため、これらを近くに植えるのは避けたほうが良いでしょう。

ネギはコンパニオンプランツとして多く利用されますが、ダイコンとは相性が悪く、ネギ類を隣接して植えると、ダイコンの根が枝根になることがあります。また、ネギ類はエダマメやインゲンなどのマメ類とも相性が悪いため、これらを一緒に育てるのは避けましょう。

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