種まき用土・種まき方法

種まき方法の基本

1.種まきの基本

種まきの基本は、良い種を選び、適切な時期にまいて覆土と水やりをすることです。
発芽をよくするにはこれらをきちんと守る必要があります。

①良い種を使う

種まきをするには、まず良い種を手に入れます。
種はホームセンターや園芸店で購入することができます。
近くで購入できない場合や、欲しい品種の種がない場合はインターネットで購入すると便利です。

購入する際は、日当たりのよい場所に陳列されていたり、古いタネは避けましょう。
種子の寿命は1年ぐらいなので、種袋の裏にある種まき期限も確認しておきましょう。
また、発芽率、病気への抵抗性、薬剤処理の有無なども記載されているので、チェックしておきましょう。

②適温時期にまく

種にはそれぞれ発芽適温があり、種袋の裏に適温の記載があるので、野菜の栽培に合わせた時期に種をまきます。
適温ならば畑に直接まく直まきで栽培し、気温が低い場合はポットまきなどで育苗して育てます。
温度であればだいたい2~3日から1週間くらいで発芽します。

水分がなかなか吸収されない種は、そのまままくと発芽が遅いため、発芽しにくい種はあらかじめ一晩水につけておいたり、タネに傷をつけたりしてからまきます。

③適切な覆土の厚さにする

まいた種にかける土を覆土といいます。
種まき後の覆土の厚さは、基本的に種の大きさの2~5倍の厚さに土をかぶせますが、覆土は種が好光性か嫌光性かによってかわります。
覆土が厚すぎたり逆に薄すぎたらすると発芽しにくくなるため、覆土の厚さは、種子の性質に合った覆土の厚さにします。

土の底面は凸凹がないように平らにすることを心がけると、発芽がそろってよく育ちます。

ニンジン、セロリ、シソ、レタス、ミツバ、パセリ、シュンギク、ゴボウ、インゲンなどなど光を好む種は、好光性種子ですので覆土を薄くします。
薄く覆土するときは、周囲の土を少し寄せる程度にしたり、ふるいを使って軽く土をかけるようにします。
逆に、トマト、ナス、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー、ネギ、タマネギ、ニラ、スイカ、カボチャ、ウリ類のように光線をさえぎらないと発芽しないものは、嫌光性種子ですので覆土を厚くします。

豆類の種は、鳥に種を食べられてしまうことがあるので、市販の鳥害対策用のネットや寒冷紗をかけて、種を食べられないように対策を行います。

④きちんと水やりをする

種まき後は、きちんと水やりをして発芽を促します。
種をまいて、土をかぶせたら、地中の種に届くくらいたっぷりと水やりを行いましょう。

2.種まきの用土

プランターでの種まき

種まきの際に使用する用土は、一度使用した土や再生用土などは使わずに、新しい土を用います。

種まきの土は、種まき専用用土がおすすめです。
タネまき専用用土は、発芽しやすいブレンドになっており、微量の肥料が含まれているものもあります。

また、種まきの用土は、赤玉土、鹿沼土、バーミキュライトなどを使用したり、
独自ブレンドで作成した種まき専用用土を使用して育てても良いでしょう。

①タネまき専用用土

専用用土を使用すると、発芽しやすくなるため、育てやすいです。
タネまき専用用土は、発芽しやすいように微粒の各種用土がブレンドされており、どんなタネでもまきやすく使い勝手が良い用土です。

保水性・排水性・通気性に優れている為、多くの植物に対して生育を安定させてくれます。
また、微量要素もバランスよく含まれており、プラグトレー、ポリ鉢を使った、野菜・草花の播種・育苗に最適です。

②赤玉土

赤玉土は、専用用土にくらべると粒が大きいため、大きな粒の種をまく際に適します。
単用土のため、肥料分は含みません。

厳選された材料のみ使用した、硬質赤玉土の細粒で、種蒔き、挿し芽、ポットでの育苗等に利用できます。
硬質で水に溶けにくいので細粒でも排水性抜群で、乾燥しにくい用土作りにも向いています。

③鹿沼土

専用用土にくらべると粒が大きいですが、赤玉土より軽量で土壌酸度は弱酸性です。
単用土のため、肥料分は含みません。

種の粒が大きいものに適します。
地下埋蔵(下層土)のため、雑菌等の混入がなく衛生的なので、病気の発生も少なく安心して使えます。
鹿沼土は、通気性・透水性・保水性にも優れています。

④バーミキュライト

赤玉土、鹿沼土にくらべて軽量で、肥料成分は含みません。
種まき、さし木の覆土としても最適です。
バーミキュライトは、保水性が高いので水管理には注意します。

⑤ピートモス資材

ピートモスを圧縮させたもので、水でふくらむタネまきの土です。
発芽が良く、発根、生育ともに抜群です。

細かい粒の種まきに適しています。
初心者からプロまで使える種まきの必須アイテムです。

使い方は、ピートバンを専用トレーにセットして、吸水させふくらませて使用します。
余分な水を流してから、種を均一にまきます。

⑥独自ブレンド土用

単用用土をブレンドしてタネまき用土をつくる方法もあります。
ブレンドすることで、単用用土よりも保水性、排水性が改良されるので、種まきだけでなく、種まき後の管理も行いやすいのが特徴です。
ブレンドするには、赤玉土6:バーミキュライト3:ピートモス1で作ります。
肥料成分は含みません。

3.種まきの種類

水やり

種のまき方には、「条まき」「点まき」「ばらまき」「ポットまき」「セルトレイまき」の5通りの方法があります。
基本となる5つのまき方を覚えておくと便利です。栽培する野菜に適したまき方で種をまきましょう。
種は発芽したりしなかったり、うまく成長しない場合もあるので、気持ち多めにまき、間引きしながら栽培します。

条まき

畝に細いまき溝をつけて、種が重ならないように1列に種をまく方法です。
発芽が一直線にそろうので、間引き、追肥、土寄せなどの作業がしやすいという特徴があります。
株と株がくっつき気味でも育つ、ラディッシュ、ニンジン、ホウレンソウ、コマツナ、カブ、ネギなどにおすすめです。
条まきの手順は、以下の通りです。

①条まき:まき溝を作る

畝の表面を平らにし、幅1cm、深さ1cm程度の溝をつける。
支柱などの細い棒や、板などを利用すると、まっすぐで均等な深さのまき溝ができます。

②条まき:種をまく

まき溝に1~2cmの間隔をあけて、1粒ずつ種をまく。

③条まき:土をかける

まき終えたら、まき溝の両側の土をつまむようにして均等に土をかけかけ、
板切れや手のひらで表面を軽く押さえて種と土を密着させ、土を平らにする。
好光性種子は種が見え隠れする程度に、ふるいを使って軽く土をかけるようにします。

④条まき:水やり

種まき後、ジョウロでたっぷりと水やりをする。

点まき

あらかじめ一定の間隔をあけて、1ヵ所に数粒ずつ種をまく方法です。
ダイコン、カボチャなどの生育初期から株間が必要な野菜や、トウモロコシ、ハクサイ、インゲンなどの種の大きな野菜におすすめです。
点まきの手順は、以下の通りです。

①点まき:まき溝を作る

畝に一定の間隔で、空き缶や空き瓶の底などを押し付けて、深さ1~2cmのまき穴を作る。

②点まき:種をまく

くぼみの中に、種が重ならないように数粒の種を間隔をそろえてまく。

③点まき:土をかける

まき終えたら、くぼみの周囲の土を寄せるようにかぶせ、手のひらで表面を軽く押さえて種と土を密着させ、土を平らにする。

④点まき:水やり

種まき後、ジョウロでたっぷりと水やりをする。

ばらまき

ばらまきは、溝やくぼみをつけずに、畝全体に種をばらまく方法です。
間引きなどの管理に手間はかかりますが、収穫量は多くなります。
ベビーリーフなど、小さな苗のうちから間引きながら栽培する葉野菜や、密生して育てた方が効率のよい、ラディッシュ、ミツバ、タマネギなどにおすすめです。
また、生育期間が短い野菜に向いています。
ばらまきの手順は、以下の通りです。

①ばらまき:種をまく

畝の表面を平らにして、畝全体にまんべんなく種をばらまきます。

②ばらまき:土をかける

まき終わったら、ふるいを使い、細かい土を種が見えなくなる程度に上から均等にかけます。
土をかけた後に鍬や板切れなどで軽く押さえ、種と土を密着させる。

③ばらまき:水やり

種まき後、ジョウロでたっぷりと水やりをする。

ポットまき

ポットまきは、発芽や発芽直後の管理がしにくい野菜に適しています。
ポットまきの手順は、以下の通りです。

①ポットまき:まき溝を作る

ポットに培養土を入れ、土を平らにならした後に、指先で浅いくぼみをつける。

②ポットまき:種をまく

それぞれのくぼみの中に、一粒ずつ種をまく。

③ポットまき:土をかける

周囲の土を寄せるようにしてくぼみを埋めて、軽く手で押さえて種と土を密着させる。

④ポットまき:水やり

種まき後、ジョウロでたっぷりと水やりをする。
必要なら保温・加温をしながら管理して栽培します。

セルトレイまき

セルトレイはしっかりとした根鉢が育ち、植えつけ時の植え傷みが少ないのが特徴です。
セルトレイまきの手順は、以下の通りです。

①セルトレイまき:まき溝を作る

セルトレイに培養土を入れ、土を平らにならした後に、指先で浅いくぼみをつける。

②セルトレイまき:種をまく

それぞれのくぼみの中に、1~3粒ずつ種をまく。

③セルトレイまき:土をかける

ふるいを使い、薄く種がかくれる程度に土をかけて、軽く手で押さえて種と土を密着させる。

④セルトレイまき:水やり

種まき後、ジョウロでたっぷりと水やりをする。
必要なら保温・加温をしながら管理して栽培します。

4.種の保存方法

種まきを行った後に、種を使いきれない場合は、種を保存しておきましょう。
きちんと保存しておけば、種まき期限にもよりますが、だいだい1年~3年ぐらい持ちます。

袋入りで購入した種は、袋の口を数回折り曲げてテープで密封します。

採取した種の保存法は、余った種を紙の上に載せて日に当て、よく乾かしておきます。
黒色の種は直射日光を避けて乾かします。

種を缶などに入れて保存する場合は、種を乾燥剤(シリカゲル)と一緒に入れて、缶に蓋をした後にテープを巻いて密封します。
密閉容器に入れたら、夏は涼しいところで保管します。
冷蔵庫に入れて保存しておいても良いでしょう。

5.種まきのまとめ

種まきを行う際は、良い種を使い、適期にまき、覆土の厚さを守り、きちんと水やりをすることが大切です。
種まきの用土は、「タネまき専用用土」が発芽しやすいように微粒の各種用土がブレンドされているのでおすすめです。

種まきの種類は、「条まき」「点まき」「ばらまき」「ポットまき」「セルトレイまき」の5通りの方法がありますので、栽培する野菜に適した方法でまきましょう。
余った種は、乾燥剤(シリカゲル)と一緒に缶に入れて密閉して涼しいところで保管しておけば、まだ使えますので、保存しておきましょう。

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