アボカドの育て方・栽培方法

アボカド

1.アボカドの特徴と栽培ポイント


アボカドの育て方手順に沿って、アボカドを栽培してみましょう!
アボカドは日当たりが良ければ育ちますので、家庭果樹初心者にもおすすめの果樹です。

アボカドの栽培データ
■アボカドの栽培難易度:★★★☆☆
■科名属名:クスノキ科ワニナシ属
■分類区分:常緑高木
■栽培適地:関東地方以西の暖地
■栽培方法:苗木(授粉樹が必要)
■植えつけ:4~5月
■収穫まで:庭植え3~4年、鉢植え2~3年

アボカドの苗が買えるお店

アボカドの苗を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!

アボカドの特徴

アボカドは、熱帯アメリカ原産で高さ20mにもなるクスノキ科の常緑高木です。熱帯果樹の中では比較的寒さに強いため、耐寒性品種を選べば関東以西の地域でも庭植えが可能です。収穫ができるまでの年数は、庭植えで3~4年、鉢植えで2~3年となります。早く結実させるためには、接ぎ木苗を購入するようにします。

アボカドの栄養価

アボカドは、体に良い脂質を多く含み、味わいも濃厚で栄養価も高く「森のバター」とも呼ばれています。アボカドには、不飽和脂肪酸(オレイン酸)が多く、コレステロールや中性脂肪値を下げる働きがあるため、動脈硬化や生活習慣病の予防に効果があるとされています。また、ビタミンAやビタミンEも豊富で、老化予防などにも効果があるとされています。

アボカドディップ

アボカドの主な品種

アボカドの品種は大きく分けて、果実の小さいメキシコ系、果実の大きいグアテマラ系、中間の西インド系の3系統があります。耐寒性のある品種は、『フェルテ』『ベーコン』『メキシコ―ラ』です。また、アボカドの栽培では熟期の合う受粉樹が必要ですが、1本でも結実する『ハス』も人気の品種です。日本の気候条件では、『フェルテ』や『ベーコン』が適しているとされています。
・フェルテ:メキシコ系×グアテマラ系。耐寒性が強く実の品質も高い。収穫期は11~1月。開花はBタイプ。
・ベーコン:メキシコ系×グアテマラ系。耐寒性が強く実を多く付ける。収穫期は11~12月。開花はBタイプ。
・メキシコ―ラ:メキシコ系。耐寒性が強くナッツの風味。収穫期は9~10月。開花はAタイプ。
・ハス:グアテマラ系。日本で売られている代表的品種。収穫期は12~2月。開花はAタイプ。

アボカドの栽培ポイント

・アボカドの生育温度は15℃~30℃のため、日当たりの良い暖かい環境で育てる。
・最初は鉢植えで栽培し、大きくなったら庭に植える。
・外の気温が5℃以下に冷え込むときは防寒を施すか鉢を室内に移動する。
・アボカドは雌雄異熟花(雌花と雄花とで開花時期が異なる)のため、開花型の異なる品種を一緒に植えるか人工授粉をする。

2.アボカドの栽培基本(庭植え・鉢植え)

肥料

アボカドの栽培は、種をポットまきして育苗してから畑に植え付ける方法と、市販の苗を購入して畑に植え付ける方法があります。家庭菜園初心者の場合は、市販の苗を購入して植え付けることをおすすめします。

庭植え

苗木を購入した場合は、すぐに植えないでポットに入れた状態で根が十分に張るまで育てます。アボカドは寒さに弱いので、最初は鉢植えで育てて、十分な大きさになったら庭に植え替えます。また、アボカドの成長に合わせて鉢のサイズを大きくしていきます。大きく成長したら4~5月に庭に植え替えます。植え替えの際には根鉢の土は落とさず、根に傷をつけないように注意します。
植え付け場所は、水はけと通気性がよく、日当たりがよい場所を選んで植えます。植え付けの際は、直径60㎝、深さ60㎝程度の穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥などを混ぜ込みます。苗木は、根鉢を崩さないで根を傷つけないようして植えます。植え付け後の苗木は、地際から50~60㎝程度の高さで切り戻します。苗木がしっかりするまでは支柱を立てて、風で倒れないようにひもで固定します。根付くまでは乾燥させないように水を与え、冬季は保温対策を施すようにします。

鉢植え

アボカドを鉢植えで栽培する場合は、4~5月に苗木を植えます。鉢底に鉢底石や軽石などを敷いてから培養土を入れます。用土は、市販の元肥入りの培養土を利用すると土づくりの手間が省けます。用土を自分で作る場合は、赤玉土6、腐葉土2、川砂2の割合にし、化成肥料を混合します。
アボカドは大きく育つので、植え付ける鉢は8号(口径24㎝)~10号サイズが適しています。用土を入れる際には鉢全部に入れず、ウォータースペースを4~5㎝取ります。
植え付け後の苗木は、地際から30~40㎝程度の高さで切り戻します。幼木の頃は枝が弱く折れやすいので、支柱を立ててひもで固定します。最後にたっぷりと水やりをします。鉢は、日当たりと風通しがよくて、雨が直接当たらない場所に置き、冬は室内に取り込むようにします。

種から育てる場合

アボカドは種から育てることもできますが、収穫するためには接ぎ木苗を購入して植え付けます。接ぎ木苗を利用すると3~4年で結実します。観賞用として育てるのであれば、5~7月の期間に果実から種を取り出し、水でよく洗ってから植え付けます。種を乾燥させてしまうと発芽しないので種はすぐに植え付けるようにします。ポット栽培する場合は、ポットに園芸用の培養土を入れ、種のとがっている方を上にして種の半分くらいを土に埋めます。土の表面が乾いたらたっぷりと水をやり、種を乾燥させないようにします。日当たりのよい場所に置き、温度は15℃~20℃程度に保つようにします。水耕栽培する場合も同じように、種のとがっているほうを上にして、種の3分の1程度を水に浸るように爪楊枝を刺して容器に固定させるようにします。

3.アボカドの栽培手入れ(水やり・施肥・整枝・剪定)

水やり

水やり

アボカドは枝葉の伸びが旺盛なので、土が乾燥したタイミングで水をあげることが大切です。特に乾燥しやすい夏場は、朝と夕方に鉢底から水が流れ出るくらい多めにあげるようにします。冬はあまり水を必要としないので、水をあげ過ぎて根を腐らせないように注意します。

温度管理

アボカドの生育温度は15~30℃ですので、春から秋の生育期は日光が当たる場所に鉢をおきます。冬期は、鉢を室内に移動して越冬させます。庭植えの場合は、敷き藁などで乾燥を防ぎ、十分な防寒対策を施し、風で枝が折れないように支柱に固定します。

施肥

肥料は、3月と9月に緩効性の化成肥料を施します。アボカドは生育旺盛のため、肥料は控えめにします。十分に育っているようであれば、追肥も必要ありません。

仕立て方

(庭植えの仕立て方)
アボカドは、最初の3年間は樹形作りに専念し、枝をバランスよく配置して樹を充実させます。アボカドは主幹を真っすぐに伸ばすと大きくなりすぎるため、「開心自然型」などに仕立てて樹高を低く抑えるようにします。開心自然型仕立ては、主幹を短く切り戻して主枝を3~4本にしながら育てていく方法で、花芽がつきやすい仕立て方です。主幹部は、地上部から50~60㎝の高さで切り戻します。主幹部を切り戻すことによって主枝が発生しますので、主枝を3~4本伸ばして樹形作りをしていきます。
(鉢植えの仕立て方)
鉢植えの場合は、地際から30~40㎝の高さで主幹部を切り戻して側枝(主枝)を増やします。成木になるまでは、主枝を3本程度伸ばして切り戻し剪定をして樹形作りをします。成木になったら、間引き剪定に変更して果実を収穫します。

整枝・剪定

果実をつけるための樹形づくりを「整枝」といい、そのための枝を切る作業を「剪定」といいます。アボカドは寒さに弱いので、切り戻し剪定は3~4月に行います。樹形作りが完成したあとは、主枝が繁茂しやすいので混み合った部分を間引く程度に剪定します。全体を切り戻すと花芽も切ってしまうため、間引き剪定をするようにします。剪定を行うことによって実つきがよくなり、日当たりと風通しもよくなって病害虫の発生も少なくなります。

人工授粉

アボカドは1本の木に雌花と雄花が咲きますが、雌雄異熟花のため開花時間帯が異なり、雌しべが先に成熟します。このため、自然受粉が難しいので近くにもう1本植えておくか、雄花の花粉を採取保存して人工授粉をします。人工授粉をする場合は、雄花の花粉を摘み取って冷蔵庫で保存し、雌花が開花したら綿棒などを使って受粉してやります。
アボカドの開花パターンはA、Bの2種類あり、両者を混植すると結実しやすくなります。
Aタイプ:午前中に雌しべが開花し、午後に閉じる。雄しべは翌日の午後に開花する。
Bタイプ:午後に雌しべが開花し、夕方に閉じる。雄しべは翌日の午前中に開花する。

枝先の実は早めに摘果します。

4.アボカドの収穫時期

半分に切ったアボカド

収穫適期

アボカドの収穫時期は、11月~3月頃ですが、品種によって異なります。メキシコ系とグアテマラ系の交配品種『フェルテ』は11~1月、同じ品種の『ベーコン』は11~12月です。アボカドの収穫期の見極めは難しいですが、メキシコ系やグアテマラ系の品種は自然落下しません。樹上では柔らかくならないので、固い果実を収穫して室温25℃程度で1~2週間追熟させます。リンゴなどエチレンガスがでる果実と一緒に袋に入れておくと追熟期間が早まります。ハス種は、果皮が黒っぽく変化して柔らかくなった頃が食べ頃です。ベーコン種は完熟しても緑色のままです。

5.アボカドに発生しやすい病気と害虫

アボカドの病気

アボカドに発生しやすい病気は「炭疽病」で、枝葉が密集して風通しが悪いと発症します。特徴は葉に生じる病斑で、黒っぽく変色が表れることから見た目で判断できます。炭疽病は治療が難しく、対応できないケースもあるので気をつけます。病斑が表れた葉は枝ごと切り落とし、伝染を防ぐことが被害拡大の防止となります。アボカドは、剪定を行って良好な状態を保つのが基本です。
「根腐病」は、冬の低温時に水を与えすぎると発症します。葉が黄色になって枯死しますので、水のやりすぎに注意します。

アボカドに発生する害虫は「ハダニ」で、枝葉の密集部分に発生します。
枝を適度に剪定して、日当たりと風通しをよくして予防します。

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