ニンジン(人参)の育て方・栽培方法

ニンジンの育て方・栽培方法

1.ニンジンの特徴と栽培時期


ニンジンの育て方手順に沿って、畑やプランターでニンジンを栽培してみましょう!
ニンジンはプランターでも育てられるので、家庭菜園で栽培するのにオススメの野菜です。

ニンジンの栽培データ
■ニンジンの栽培難易度:★★★☆☆
■分類:セリ科ニンジン属
■原産地:中央アジア
■主な旬:春夏5月~7月、秋冬10月~12月
■栽培時期:春まき・夏まき
春の種まき:3月~5月、収穫時期:5月~7月
夏の種まき:7月~9月、収穫時期:10月~12月
■連作障害:あり(2~3年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:15~25℃
■生育適温:15~20℃

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特徴

ニンジンは、セリ科ニンジン属の植物で、原産地は中央アジアと言われています。
東西2つのルートに分かれて世界中に普及し、ヨーロッパに伝ったものは「西洋種」、中国に伝わったものは「東洋種」と呼ばれています。日本で一般的に流通しているのは、オレンジ色の短根性の西洋種です。

ニンジンは年2回栽培することができ、春と夏に種まきができます。
夏まきのほうが病害虫の発生も少なく、幼苗時は高温にも比較的強いので、家庭菜園では「夏まき」がおすすめです。

ニンジンは、炒め物や、天ぷら、お味噌汁の具など、お料理に大変重宝してくれる野菜です。

栄養素

ニンジンは、β-カロテンを多く含む緑黄色野菜で、β-カロテンは体内でビタミンAに変わり免疫力を高めたり、目や粘膜の健康を保ちます。老化の原因となる活性酸素を抑える働きがあるほか、ガンや生活習慣病の予防に効果があるとされています。ニンジンの葉にも、β-カロテンが多く含まれています。
このほか、ビタミンB2、ビタミンC、食物繊維なども多く含まれています。

主な品種

ニンジンの品種には、『ピッコロ』『ベーターリッチ』『グランプリ』『恋ごころ』『向陽二号』『Dr.カロテン5』『揚州五寸』『パワフルレッド』など様々な品種があります。
プランター栽培では、『ピッコロ』などのミニ品種が適しています。
春まきの場合は、とう立ちや病気が発生しやすいので、これらに強い品種を選ぶようにします。

栽培のポイント

・タネは好光性のため、覆土は薄くする。
・発芽するまで土を乾燥させない。
・土は深めに耕し、石などの障害物を除去する。
・雑草の勢いに負けないように除草を行う。

栽培時期

春まき栽培は、3月~5月に種をまいて、5月~7月に収穫します。
夏まき栽培は、7月~9月に種をまいて、10月~12月に収穫します。
発芽適温は、15~25℃、生育適温は15~20℃です。

連作障害

ニンジンは連作障害を起こしやすい野菜です。同じ科の植物を同じ場所で栽培すると、連作障害が起こります。セリ科の野菜を栽培した場所にニンジンを栽培する場合は、2~3年の期間を空けるようにします。

好適土壌pH

ニンジンの生育に適した土壌pHは、弱酸性の6.0~6.5です。ニンジンは酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。

2.ニンジンの栽培基本(畑・プランター)

肥料

畑での栽培方法

ニンジンの畑での栽培方法を見ていきましょう。

土づくり

種まきの2週間以上前までに、苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいて深く耕します。種まきの1週間前に化成肥料100~150g/㎡をまいてよく耕し、畝を立てます。畝は幅60㎝、高さ10~15㎝程度にします。
ニンジンの根は真っすぐ地中に伸びるので、深く耕して石などの障害物は除去しておきます。
また、種まきの直前に未熟な堆肥を施すと発芽不良や又根になりやすいので、堆肥は前作で施すか、完熟堆肥を1か月以上前に施すようにします。

種まき

ニンジンの種まきは、春まき(3月~4月)と、夏まき(7月~8月)ができます。
品種によって種まき時期は様々ですが、家庭菜園では病害虫被害が少ない「夏まき」がおすすめです。

地域や品種にもよりますが、夏まきの場合は7月中旬過ぎの種まきがおすすめです。
7月中旬に梅雨が明けますが、土が湿っている状態で種まきができるので、種がまきやすく発芽も揃いやすくなります。
種まき時期を早くすると収穫期も早まりますが、生育不良や病気の原因となるので、タネ袋の記載事項に沿って、タネをまくようにします。

ニンジンは、「発芽させれば半分は成功」と言われていますので、種まきがとても大事です。
水はけの良い畑であれば、雨が降った翌日に種まきをするか、土が乾いていたら畝全体に水やりをして土を十分湿らせてから種をまきます。

ニンジンは移植すると根を痛めるため、畑に「直まき」にします。畝の表面を平らにしてから、条間20cmで棒などを使って深さ1cmのまき溝を作り、1cm間隔ですじまきにします。

タネは向光性(光が当たらないと発芽しない)のため、土を5㎜ほどかぶせます。
コーティング種子の場合は、やや深くまいた方がよく、覆土は1~1.5㎝ほどにします。
その後、手や板などで上からしっかり押さえて土と密着させ、タネが流れないようにやさしく水やりをします。

ニンジンのタネは、土が乾くとうまく発芽しないため、発芽までは土を乾燥させないように毎日水やりをします。通常は、7~10日で発芽します。
種まき後に、不織布や切りワラなどを被せておくと、土の乾燥を防いで発芽を促すことができます。

プランターでの栽培方法

ニンジンは直根性のため、土の中に真っすぐ根を伸ばします。このため、プランターや鉢は、深さ25cm以上あるものが適しています。

容器の底に鉢底石を敷き、市販の野菜用培養土(pH調整済み、元肥入り)を8分目まで入れます。
表面を平らにして、タネをまく前に水やりをして土を湿らせておきます。棒などを使って深さ1cmのまき溝を作り、1cm間隔でタネをまきます。
好光性種子なので土を5㎜ほどかぶせて、上から板や手で押さえて土と密着させます。
その後に水やりをしますが、タネが流れないようにやさしく水やりをします。

発芽までは7~10日かかりますが、土が乾燥すると発芽しないので、発芽するまでは水やりを続けます。
土の乾燥防止のため、容器の上に不織布や新聞紙などをかけておくのもおすすめです。

3.ニンジンの栽培手入れ

水やり

水やり

畑栽培では、発芽後は毎日の水やりは必要ありませんが、真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、土の表面が乾燥したら水やりをします。
乾燥が続くようなときは、朝夕水やりをしますが、暑い日中の水やりは避けて、涼しい時間帯に行うようにします。
ニンジンは生育後期に入ると過湿を嫌うため、生育後期は水やりの必要はほとんどありません。ただし、乾燥の日が続いたときは水やりをします。

プランター栽培では、発芽後は土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
水やりは、朝方の涼しい時間帯に行い、真夏には土の乾き具合を見ながら、必要なら朝夕2回水やりをします。

土の表面が軽く濡れただけでは水が浸透しないため、水不足になってしまいます。
プランターや鉢はたっぷりと水やりすることで、新鮮な水と空気を供給することができます。
一方、土の表面が常に湿っていると、窒息状態となって根が呼吸できなくなります。過湿状態になると根腐れの原因となるので、水のやりすぎにも注意します。

間引き・土寄せ・追肥

1回目の間引きは、本葉1~2枚の頃に、生育の良い株を残して株間1㎝くらいにします。
間引き後は、条間の土を軽くほぐして株元に土寄せをします。土寄せの際は、肩の部分まで土をかけますが、成長点(本葉が出る部分)まで埋めないように注意します。

2回目は、本葉3~4枚の頃に、葉と葉が重ならないように株間を3~4cmにして土寄せをします。
3回目は、本葉5~6枚の頃に、株間を10~12cmにして土寄せをします。
追肥は、2回目と3回目の間引き後に化成肥料30g/㎡を施し、周りの土とよく混ぜて株元に土寄せをします。

除草

ニンジンは、生育初期の生長がとても遅いため、雑草が生えるとニンジンの養分が奪われてしまい、生育不良になります。間引きの際に、雑草も一緒に取り除くようにします。

4.ニンジンの収穫時期

人参の収穫時期

収穫適期

ニンジンは、種まきを行ってから3カ月~4カ月で収穫適期となります。
株元を少し掘って根の太さを確認し、根径(肩の部分)が4~5㎝になったら収穫適期です。まだ早い場合は、掘った土を株元に戻し、肩の部分を露出させないようにします。
ミニニンジンの場合は、種まきの約70日後に、根径が2㎝ほどになったものから順次収穫します。
収穫する時は、葉のつけ根を持って真っ直ぐ引き抜くと上手く抜けます。

収穫目安の日数になったら、生育がやや悪くても収穫するようにします。栽培期間が長期化すると、味も品質も悪くなってしまいます。また、収穫が遅れると根が割れてしまうので、とり遅れないように早めに収穫します。

生理障害

ニンジンは、温度ストレス、土壌水分の過湿、肥料過多などの要因で生育不良を起こし、「裂根」「又根」が発生することがあります。

裂根(れっこん)

ニンジンの根が割れるのは、「裂根」といわれる生理障害です。
ニンジンの根が太り始める頃に、急な雨で土の水分が増え、大量に水を吸ったときに発生します。日照りが続いた後に、大雨が降ると発生しやすいので、極端な乾燥と過湿状態にならないように水やりをします。
収穫期に乾燥させてしまい、その後にたっぷりと水を与えてしまった場合や、収穫適期を過ぎた場合も根が割れることがあるので注意します。

また、間引くときに株間をいきなり広くすると根が早く肥大してしまい、裂根の原因となります。間引きは3回に分けて行い、段階的に株間を広くします。

又根(またね)

ニンジンの根が、二股などに分かれものを「又根」とよびます。
根の先端部が、土中の小石や土の塊などの障害物にあたると発生しますので、畝を深く耕し、障害物は除去しておきます。

5.ニンジンに発生しやすい病気

人参に発生しやすい病気と害虫

畑栽培では、乾燥や多湿状態になると病害虫が発生しやすくなります。
プランターや鉢などは、雨が当たらない場所に移動して病害虫の発生を予防します。

黒葉枯病(くろはがれびょう)

カビによる病気で、葉や葉柄などに黒褐色の斑点が発生し、やがて斑点が大きくなって葉先から枯れてしまいます。高温、乾燥期に発病が多く、晴天と曇雨天の日が交互に続いたり、日照りが続いたときに多発します。
畑の排水を良くし、連作、肥料切れに注意し、タネは消毒済みの無病のものを使用します。発病した葉は、切り取って畑の外に撤去処分します。

うどんこ病

カビによる病気で、外側の葉や葉柄に白い粉をまぶしたようなカビが斑点状に発生します。病気が進行すると葉がカビで覆われ、光合成ができなくなって葉が枯れてしまいます。空梅雨の年、雨が少ない乾燥した年に多発します。
窒素過多になると株が軟弱に育つため、窒素肥料を少なめにし、日当たりと風通しをよくします。発病した葉は、切り取って畑の外に撤去処分します。

軟腐病

細菌(バクテリア)が原因の病気で、葉、茎、根などの傷口から病原菌が侵入し、葉は萎れ、根の部分が軟化・腐敗して独特の悪臭を放ちます。高温多湿で発生し、特に梅雨期~初夏、または秋季に病気が増加します。
畑の排水を良くし、連作に注意し、害虫防除に努めます。発病した株は、抜き取って畑の外に撤去処分します。

6.ニンジンに発生しやすい害虫

キアゲハ、ネコブセンチュウ、アブラムシなどの被害が発生します。
早期発見を心がけて、見つけたらすぐに駆除することが大切です。薬剤には、即効性のある化学薬品のほか、環境や人体に優しい自然派薬品も市販されています。

キアゲハ

蝶の幼虫で、ニンジン、ミツバ、パセリなどのセリ科植物の葉を食害します。葉の食害が進むと生育不良になり、ニンジンの根部が肥大しなくなります。
成熟幼虫は、緑と黒の縞模様が目立つので、葉の食害に気付いたら幼虫を見つけて捕殺します。

ネコブセンチュウ

土の中にいる体長1㎜以下の細長い糸クズのような虫で、肉眼では見ることができません。根の先端部から侵入し、ひげ根にコブを作ったり、又根を引き起こします。
輪作を避け、完熟堆肥をすき込んでネコブセンチュウの天敵を増やします。

アブラムシ

アブラムシは、体長1~4㎜ほどの害虫で、茎や葉に集団で寄生し、口針を刺しこんで植物の汁を吸収します。モザイク病やウイルス病に感染した植物を吸汁した際に体内にウイルスを取り込み、健康な植物にウイルスを媒介します。
アブラムシの飛来を防ぐには、0.8㎜以下の目の細かい防虫ネットで覆うか、キラキラテープを張って飛来を防御する方法も効果があります。
繁殖力が非常に旺盛なため、見つけたら早急に捕殺するか、殺虫剤を株全体に散布して駆除します。

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