スダチ(すだち・酢橘)の育て方・栽培方法

すだち

1.スダチの特徴と栽培時期


スダチの育て方手順に沿って、お庭や鉢植えでスダチを栽培してみましょう!
スダチは簡単に育てられるので、初心者にもオススメの果樹です。

スダチの栽培データ
■スダチの栽培難易度:★★☆☆☆
■スダチの旬:8月~9月
■栽培適地:東北地方以南の暖地(暖地以外は鉢植え)
■栽培方法:庭植え、鉢植え
■植え付け時期:3月~4月
■収穫時期:8月~9月

スダチの苗が買えるお店

スダチの苗を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
こちらから購入すると、スダチの苗木を届けてくれるので便利です。

スダチの特徴

スダチは、徳島県の特産果樹で全国生産量の98%を占めていて、佐賀県、高知県、愛媛県などでも栽培されています。
スダチの仲間のカボスは、大分県の特産品で全国生産量の98%を占めています。
スダチは、古くから食酢として利用され、酢橘(すたちばな)と呼ばれたことから「スダチ」の名がついたと言われています。

スダチはミカン科の香酸かんきつ類で、温暖な地域での栽培に適していますが、比較的寒さに強いため、東北南部の地域でも栽培することができます。

果実は20~40gの小果で、果皮は硬くて濃い緑色をしていて、酸味が強いので生食はできません。果汁は、焼き魚、お刺身、鍋料理、松茸の土瓶蒸しなどの料理に添えられるほか、麺類の薬味などにも利用されています。果汁を絞って料理にかけると、爽やかな酸味と良い香りが広がり、食欲をそそります。
スダチは、果汁や香りを利用する香酸かんきつ類ですので、他の果樹よりも簡単に栽培することができます。

すだちとサンマ

スダチの栄養素

スダチには、ビタミンC、カリウムなどが含まれています。特にビタミンCが豊富で、免疫力の向上、風邪などの感染症予防、老化防止、美肌などに効果があるとされています。酸味の成分はクエン酸で、疲労回復や食欲増進の働きがあります。

スダチの品種

市販の苗木には品種の表示はありませんが、スダチはトゲなし・種ありの系統などが販売されています。育成品種には、徳島1号、本田系、徳島3X1号(ニューすだち)などがあります。

スダチの栽培時期

植え付け適期は3月下旬~4月で、収穫適期は8月中旬~9月になります。スダチは苗木を植え付けてから収穫が出来るようになるまでに、最低でも3~4年の期間が必要です。植え付けてから3年程度は樹形を整えるため収穫を控えますが、5月に白くて小さな花をつけるので、甘い香りを楽しむことができます。

スダチの栽培ポイント

スダチの栽培ポイントとしては、日当たりと風通しの良い場所に植え付けます。
東北地方南部でも庭植えができますが、寒冷地では冬の防寒対策が必要です。
冬場は-6℃を下回ると寒さで枯れてしまうので、鉢植えの場合は室内に取り込むか、暖かい場所に移動させます。
鉢植えは、夏場の乾燥には特に注意し、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。

2.スダチの栽培基本(庭植え・鉢植え)

すだちの花

スダチの植え付け

スダチの植え付け適期は、3月下旬~4月です。秋から春にかけて、1~2年生の接ぎ木苗がホームセンターや園芸店などで販売されます。苗木を早く入手した場合は、鉢などに仮植えをして、適期になったら植え付けをします。

庭植えの場合

日当たりと水はけがよく、強い風が当たらない場所を選びます。植え付ける際は、直径、深さとも50cm程度の植え穴を掘ります。
掘り上げた土に腐葉土や堆肥を混ぜ込み、半分ほど穴に埋め戻します。スダチの苗木は、接ぎ木部分が埋まらない程度の高さにして、根を広げて据え付けます。残りの土を埋め戻すときは、棒などでつついてすき間ができないようにしますが、根を傷つけないように注意します。棒苗(1年生苗)は高さ50cm程度でカットし、支柱を立てて苗木を麻ひもなどで固定します。植え付けが終わったら、水をたっぷりとあげます。

鉢植えの場合

スダチの用土は、果樹・花木用の培養土を使用すると手軽です。用土を自分で作る場合は、赤玉土6、腐葉土3、川砂1などの割合で配合します。
鉢は7~8号鉢(直径21~24cm)を用意して、鉢底石を敷いてから用土を入れます。苗木を植え付ける際は、接ぎ木部分が土に埋もれないように注意し、根をよく広げて植え付けます。用土は容器の縁から3cm程度のところまで入れて、ウォータースペースを作ります。
棒苗は高さ30cm程度でカットし、支柱を側に立てて苗木を麻ひもなどで固定します。植え付けが終わったら、水をたっぷりとあげます。
冬場は-6℃以下になると枯れてしまうので、日当たりのよい室内に取り込みます。また、鉢植えは根詰まりを起こしやすいため、2年ごとに一回り大きな鉢に植え替えるようにします。

柑橘系を育てるのに適した土がありますので、スダチ栽培にはこちらもおすすめです。
保肥力の高い木炭が配合されているため、肥料効果が長続きし、植物を支える赤玉土も多く配合されています。

3.スダチの栽培手入れ

水やり

スダチの水やり

スダチを庭植えする場合は、水やりはほとんど不要ですが、夏場に乾燥が続いたときは水やりが必要です。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。

スダチの肥料

庭植え、鉢植えとも、3月に元肥として油粕などの有機質肥料を施し、6月と10月に速効性化成肥料を施します。
スダチの施肥には、『果樹用肥料』や『柑橘用肥料』を使うこともできます。

スダチの整枝・剪定

棒苗(1年生苗)を植え付ける場合は、庭植えは高さ50cm程度、鉢植えは高さ30cm程度でカットします。2~3年目の春に、主枝候補にする3~4本の強い枝を残し、最終的にバランスの良い主枝3本を選んで開心自然形に仕立てるようにします。
樹形が整った4年目以降は、3月に間引き剪定を行い、風通しを良くして内部に日光がよく当たるようにします。花芽は前年枝の先端付近に付くため、全部の枝を剪定しないように注意します。
花芽が分かりづらいときは、枯れた枝、病気の枝、内側に伸びた枝、下に垂れた枝、交差している枝、徒長枝などを優先して剪定します。なお、枯れ枝は病気を引き起こす原因となるため、いつ切り取ってかまいません。トゲで果実を傷つけてしまうことがあるため、トゲも切除するようにします。

スダチの摘果

良い果実を残して、不要な果実を摘み取ることを摘果と呼びます。摘果作業は、生理落果が落ちついた7月に2回に分けて行います。1回目は、実つきの多い箇所、キズのあるもの、小粒の果実などを摘果します。2回目は7月下旬に行い、収穫に備えます。収穫する果実は、庭植えの場合は葉5~10枚程度で1果、鉢植えの場合は1鉢に7~10果程度を目安にします。

スダチの人工授粉

スダチは、5月に開花して自家受粉で結実するので、人工授粉を行う必要はありません。

4.スダチの収穫時期

すだち

スダチの収穫適期

スダチの収穫適期は、8月中旬~9月です。10月過ぎまで果実を木に残しておくと果皮が黄色くなり、香りや酸味が減少するので適期に収穫します。収穫の際は、果皮が緑色の大きくなった果実をハサミで切って収穫します。切り取った果柄は、ほかの果実を傷つけないように二度切りにします。

スダチの保存方法

スダチは常温で保存できますが、保存できる期間としては1ヶ月程度です。たくさん収穫した場合は、冷蔵庫で保存します。
スダチをまるごと冷蔵保存する場合は、ビニール袋に5個ほど入れて空気を抜いてから保存します。劣化を防ぎたい場合は、光を通さない黒いビニール袋に入れて保存します。
料理用に加工した状態で冷凍保存することもできます。スダチを半分に切ってから、果汁を搾って保存したり、薄くスライスして冷凍保存することもできます。ジップロックに入れたり、ラップでくるんで保存します。余ったスダチの皮は薬味として使ったり、砂糖で煮てジャムとして使うこともできます。

5.スダチに発生しやすい病気

すだち

スダチの主な病気には、かいよう病、そうか病、黒点病などがあります。

スダチの主な病気

かいよう病

かいよう病は、スダチの葉の気孔や果実の傷口から病原菌が侵入し、褐色の病斑を形成してコルク化する病気です。
病原菌は、台風などの風ずれ、ミカンハモグリガ(エカキムシ)の食害傷などから侵入し、雨風で飛散して枝や果実に感染します。
暴風対策、ミカンハモグリガの防除を行い、発病したスダチの枝は除去します。鉢植えは、雨の当たらない軒下などに置くようにします。

そうか病

そうか病は、スダチの葉や果実に発生する病気で、いぼ型の病斑ができます。前年に発病した病原菌が葉で越冬し、雨で周囲に飛散し、葉の傷口などから侵入します。感染すると花が落ちたり、幼果が落果して収量が減少します。
発病したスダチの葉や果実は早めに除去します。窒素肥料のやりすぎに注意し、整枝剪定を行って日当たりと風通しを良くします。

黒点病

黒点病は、スダチの葉や果実の表面に0.5㎜ほどの円形の黒い斑点ができる病気です。枯れ枝で越冬した病原菌が、雨風で飛び散って葉や果実に付着して感染します。枯れ枝を除去するほか、整枝剪定を行って日当たりを良くし、剪定後の枝や葉は放置しないで撤去します。鉢植えは、雨の当たらない場所に置くようにします。

6.スダチに発生しやすい害虫

スダチの主な害虫には、アオムシ(アゲハの幼虫)、アブラムシ、カイガラムシ、ミカンハモグリガ(エカキムシ)などが挙げられます。

スダチの主な害虫

アオムシ

アオムシはアゲハチョウの幼虫で、黒茶と白の斑模様をしていて、スダチの葉を縁取るように食害します。成長すると緑色のイモムシとなって食べる量が増えるため、葉の光合成が阻害されてしまいます。羽化した成虫が葉裏に産卵するため、ふ化した幼虫が再び葉を食害します。幼虫を見つけたら、手や割り箸などで捕獲して駆除します。薬剤を使用する場合は、発生初期にベニカ水溶剤などを散布します。

アブラムシ

アブラムシは、植物全般に寄生する体長2~4㎜の害虫です。スダチの葉や枝の先端に群生して樹液を吸汁し、分泌する排泄物によってすす病を引き起こすことあります。食害されると葉が縮んだり巻いたりするため、木の生育が悪くなります。見つけ次第捕殺するか、ブラシなどでこすり取ります。発生が多い場合は、ベニカベジフルスプレーなどの薬剤で駆除します。

カイガラムシ

カイガラムシは枝や葉などに集団で寄生し、スダチの樹液を吸汁して木を衰弱させる害虫です。
カイガラムシを見つけたら、ブラシなどでこすり落とします。風通しが悪いと発生しやすいため、剪定をして風通しを良くします。カイガラムシは越冬するため、冬期にマシン油乳剤を散布して防除します。
カイガラムシ、アブラムシなどの吸汁性害虫は、排泄物から甘露を分泌してすす病を誘発します。すす病にかかるとスダチの枝や葉が黒いすすで覆われ、葉の光合成が阻害されるため樹勢が衰えます。すす病対策としては、カイガラムシ、アブラムシなどの吸汁性害虫を駆除する方法が有効です。

ミカンハモグリガ(エカキムシ)

ミカンハモグリガは蛾の仲間で、通称エカキムシとも呼ばれています。
スダチの葉の中に潜った幼虫が、葉面に絵を描いたように白いスジを残して葉肉を食害します。
被害が進むと、葉が変形して生育が阻害されて葉を枯らしてしまうほか、かいよう病の病原菌が傷口から侵入します。
白いスジの先端部分に幼虫がいたら、潰して駆除します。被害にあったスダチの葉は、取り除いて処分します。
薬剤防除を行う場合は、ベニカ水溶剤、ベニカS乳剤、ベニカベジフルスプレーなどを散布します。

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