マルチ(マルチング)

マルチ

「マルチ」とは、畑の畝をプラスチックフィルムや稲わらなどで覆うことで、英語の「マルチング」を略した言い方です。

野菜栽培において、マルチングは極めて重要な役割を果たします。マルチングは、畝を覆うことで地温の調節や乾燥防止、雑草の抑制、病気の予防、肥料の流出を防ぐことができます。特に、畝の表面にマルチを敷くことで、日中の強い日差しによって地温が上昇するのを抑え、夜間になっても土壌温度が保たれるため、作物の生育に適した環境を作ることができます。

マルチングに使われる資材は、プラスチック系と有機物系の2つがあります。プラスチック系のマルチング資材には、ビニールシートやポリエチレンフィルムがあります。黒色のプラスチックマルチが最も一般的で、日光を吸収するため地温が上昇し、乾燥防止や雑草抑制の効果があります。白色やシルバーマルチもあり、反射光を嫌うアブラムシやアザミウマなどの害虫の飛来を防止する効果があります。ただし、日光を反射してしまうため、土壌温度が上昇せず、夜間になっても地温が下がりやすくなります。

有機物系のマルチング資材には、稲わらやもみ殻、雑草、麻くずなどがあります。有機物系のマルチング資材は、土壌を保湿することができ、乾燥防止や雑草抑制の効果があります。また、これらのマルチング資材は、土壌を微生物や有機物で栄養分を供給し、土壌改良効果をもたらします。特に、稲わらは、雨が降った後の土のはね上がり(泥はね)を抑えて病気を予防する効果があります。

マルチング資材を使う際には、育てる野菜の時期や栽培方法によって使い分ける必要があります。春に播種する場合は、地温が低いため、黒色のプラスチックマルチが多く使われます。黒色のマルチは太陽光を吸収し、土壌を暖めることができます。このため、春には発芽を促進することができます。一方、夏に栽培する場合は、地温が高くなるため、白色のプラスチックマルチがよく使われます。白色のマルチは太陽光を反射し、土壌を冷やす効果があるため、夏の高温多湿な気候下で野菜が健康に成長することができます。

このように、マルチング資材を使うことで野菜の栽培が効率的に行える上、野菜の品質や収穫量を向上させることができます。しかし、マルチング資材を使う際には、野菜の種類や栽培方法、時期などに応じて使い分けることが大切です。


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