1.インゲンの特徴と栽培時期
インゲンの育て方手順に沿って、畑やプランターでインゲンを栽培してみましょう!
インゲンは簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。
■分類:マメ科インゲンマメ属
■原産地:中央アメリカ
■主な旬:7月~9月
■栽培時期:春まき、春植え
種まき:4月~5月、植え付け:5月~6月、収穫時期:7月~9月
■連作障害:あり(2~3年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:20~23℃
■生育適温:15~25℃
インゲンの種が買えるお店
インゲンの種を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
インゲンの品種には、「つるなし」と「つるあり」があります。
インゲンの特徴
インゲンは、中央アメリカが原産地で、マメ科インゲン属の野菜です。
日本には、江戸時代に「隠元禅師」によって伝えられたとされています。明治時代に欧米から多くの品種が導入され、全国で栽培されるようになりました。
インゲンは、未熟のサヤを収穫して、サヤごと食べるものを「サヤインゲン」と呼んでいます。サヤと豆を一緒に食べるので、バランスよくビタミンなどの栄養をとることができます。
インゲンは、種まきから1~2か月ほどで収穫ができることも魅力の一つです。
品種には、つるが長く伸びる「つるあり種」と、つるがあまり伸びない「つるなし種」のタイプがあります。
どちらも栽培しやすいので、家庭菜園初心者の方にも人気の野菜となっています。
インゲンの栄養素
インゲンは、β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、食物繊維、カルシウム、鉄などを多く含む緑黄色野菜です。
疲労回復、夏バテ防止、皮膚や粘膜の保護、整腸作用などの効果があるとされています。
インゲンの主な品種
インゲンは、地域によって適応する品種が異なるので、栽培する前にチェックしましょう。
『つるなしいんげん』『美咲みどり』『さつきみどり2号』『恋みどり』『本金時』『つるなしモロッコ』『王湖』『モロッコ』『サクサク王子』『ケンタッキー』など。
インゲンの栽培ポイント
・日当たりが良く、風通しの良い環境で栽培する。
・霜に弱いので、気温が十分に上がってから種をまく。
・種まき後に不織布などをかぶせて、鳥の食害を防ぐ。
・窒素肥料のやりすぎに注意する。
インゲンの栽培時期
インゲンは、種まきが4月~5月、植え付けが5月~6月、収穫が7月~9月となります。
栽培する品種や地域により異なりますので、タネ袋やホームセンターなどで確認するようにします。
連作障害
インゲンは、連作障害を起こしやすい野菜です。同じ科の植物を同じ場所で栽培すると、連作障害が起こります。
マメ科の野菜を栽培した場所では、2~3年の期間を空けるようにします。
好適土壌pH
インゲンの生育に適した土壌pHは、弱酸性の6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。
2.インゲンの栽培方法(畑・プランター)

インゲンは、直接畑に種をまく方法(直まき)と、育苗ポットで苗を育てて畑などに植え付ける方法があります。
栽培初心者の方は、園芸店やホームセンターなどで苗を購入して植え付けると手軽でおすすめです。
畑栽培の場合
土づくり
種まき又は植え付けの2週間以上前に苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
1週間前に完熟堆肥2㎏/㎡、化成肥料50~100g/㎡を施してよく耕します。
マメ科の植物は根粒菌が働いて窒素を供給するので、窒素成分は少なめにします。
畝幅は60~80㎝、高さ10~15㎝にします。畝に黒マルチを張ると、地温効果を高めることができます。
種まき
畑に直まきする場合は、点まきにします。
深さ2~3㎝で、1箇所に3~4粒ずつ等間隔にまきます。
土を2㎝ほど被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させます。
種まき後は、種が過湿で腐らないように軽く水やりをします。
複数の株を栽培する場合は、株間を30㎝程度にします。
種まき後に鳥の被害に遭わないように、不織布や防虫ネットなどで覆っておくと安心です。
ポットに種をまく場合は、3号ポット(直径9㎝)に用土を入れ、手の指で深さ2㎝の植穴を3箇所つくり、1粒ずつまきます。土を2㎝ほど被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水やりをします。
ポット苗は、初生葉が展開したら間引いて1ポット2本立ちにし、本葉2枚の頃に植え付けます。
間引き
直まきの場合、本葉2枚になったら間引きを行い、元気な苗を残して1箇所2本にします。本葉4~5枚の頃に、1箇所1本にします。つるなし種は、1箇所2本のままでもかまいません。
間引き後は、苗が倒れないように株元に土寄せをします。
苗の植え付け
植え付けは、晩霜の心配がなくなった晴れた日の午前中に行います。
低温時に植え付けると寒さで弱るため、地温が十分に上がってから植え付けるようにします。
植え付ける際は、根鉢を崩さないようにして、根鉢の肩が地表面から少し出る程度の浅植えにします。
植え付け後は、株元にたっぷりと水やりをします。
プランター栽培の場合
種まきから育てることができますが、市販の苗を購入して植え付けると栽培の手間が省けます。
用土
プランターや鉢で栽培する場合は、深さ20㎝以上(つるあり種は30㎝以上)のものを用意します。
用土は、市販の野菜用培養土を利用すると便利です。鉢底石を敷き詰めて、土は7分目くらい入れます。
種まき
種まきは、畑の場合と同様に点まきにし、株間15~20㎝にします。深さ2~3㎝で、1箇所に3~4粒ずつ等間隔にまきます。
土を2㎝ほど被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させます。
種まき後は水やりをし、鳥の被害に遭わないように不織布などで覆っておくと安心です。
発芽したら本葉2枚の頃に間引きを行い、1箇所1~2本にします。
間引き後は、苗が倒れないように、株元に土寄せをします。
植え付け
苗を植え付ける場合は、株間20cm程度にして、根鉢を崩さないで2本立ちのまま植え付けます。
植え付け後は、株元に2~3㎝の高さに土を寄せ、手で軽く押さえて、たっぷりと水やりをします。
プランターや鉢は、日当たりと風通しの良い場所で管理します。
鳥害対策
インゲンの栽培では、鳥害対策が重要です。
インゲン豆は鳥の大好物なので、タネや発芽直後の双葉を食べられてしまうことがあります。
鳥害対策には、不織布や防虫ネットなどで覆うと効果的です。
育苗ポットで苗を育ててから、畑やプランターに植え付ける方法も鳥害対策の一つです。
3.インゲンの栽培手入れ

水やり
畑栽培では、自然の降雨で足りるので、基本的に水やりの必要はありません。晴天が続いて降雨が無い場合は、朝の涼しい時間帯に株元にたっぷりと水やりをします。
プランター栽培では、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。過湿状態になると株の生育が悪くなるので、水のやりすぎに気を付けます。
支柱立て
つるあり種は、つるが伸びる前に長さ2mほどの支柱を合掌式に立てて、つるを支柱に誘導します。つるが支柱の高さまで伸びたら、つるの先端部を摘芯します。
つるなし種の場合は、支柱がなくても育てられます。
追肥
畑の場合は、花が咲き始めた頃に、株元から少し離れた場所に化成肥料30g/㎡程度をまき、土と混ぜながら軽く土寄せします。
その後は、株の様子を見ながら1か月に1~2回追肥します。
プランター栽培では、1株当たり化成肥料3g程度を株の周りにまき、土と混ぜながら軽く土寄せします。
インゲンは、窒素肥料を多く与えると葉が繁り過ぎて実つきが悪くなってしまうので注意します。
つるなし種は成長が早く、栽培期間も短いので、追肥は不要です。
4.インゲンの収穫時期

収穫適期
インゲンは、開花してから10~15日で収穫適期になります。
収穫できる期間は、つるなし種で1カ月、つるあり種で2カ月くらいです。
サヤの長さが10~15㎝前後で、ふくらみかけた若いサヤをハサミで切り取って収穫します。
サヤの大きさは品種によって異なるので、タネ袋で確認します。
収穫が遅れると皮が硬くなり、株も弱ってしまうので早めに収穫するようにします。
インゲンは、高温が続くと落花が多くなるので、敷きわらを施して乾燥を防止します。
梅雨時の時期や高温乾燥期は根が傷みやすく、病気が発生することがあります。
窒素肥料が多いと葉が過繁茂になり、日光不足で実つきが悪くなるので注意します。
5.インゲンに発生しやすい病気

苗立枯病(なえたちがれびょう)
苗立枯病は、土壌中のカビによる病気で、苗の地際部が菌に侵されて腐敗し、細くくびれて苗が倒れてしまいます。梅雨時の低温多湿の環境で発生しやすいので、育苗時の多湿に注意します。
マメ科野菜の連作を避け、土づくりの段階で水はけをよくしておきます。
発病した株は、すみやかに撤去処分します。
さび病
さび病はカビによる病気で、葉に淡褐色の小さな病斑が現れ、表皮が破れてさび色の胞子を飛散します。
夏の低温多湿期や秋雨の時期に発生が多くなります。
連作を避けて、水はけを良くします。株が弱くなると発病しやすいため、肥料の与え過ぎと肥料切れに注意します。発病した葉は切り取って、早めに撤去処分します。
モザイク病
モザイク病は、ウイルスによる病気でほとんどの野菜に発生します。
アブラムシが他の作物からウイルスを取り込み、健康な野菜にウイルスを媒介します。
モザイク病は薬剤治療ができないので、アブラムシの飛来を予防します。
病気にかかった葉や株は早めに撤去して、感染拡大を防ぐようにします。
6.インゲンに発生しやすい害虫
アブラムシ
アブラムシは、体長1~4㎜ほどの害虫で、集団で寄生して新芽や葉などを吸収します。
他の作物からモザイク病のウイルスを体内に取り込み、健康な作物にウイルスを媒介するやっかいな害虫です。
葉が繁茂状態になるとアブラムシが発生しやすいので、混み合った枝葉を摘み取って風通しを良くし、日光が良く当たるようにします。
窒素肥料のやりすぎに注意し、目の細かい防虫ネットで覆うか、キラキラテープを張ってアブラムシの飛来を予防します。
ハダニ
ハダニはクモの仲間で、体長0.3~0.5㎜でとても小さく、肉眼では見つけにくい害虫です。
成虫は葉の裏に卵を産み、幼虫は葉の組織から養分を吸いとります。
葉に小さな白い斑点などの症状が現れたら、葉の裏をよく観察するようにします。
気温が高く、乾燥している時期に発生するので、梅雨明け頃から多発します。
黒マルチを外して敷きわらに替えたり、大量に発生した場合は殺虫剤を散布して対応します。
ハダニは水に弱いので、葉の裏に霧吹きで水をかけることも有効です。
ハスモンヨトウ
ハスモンヨトウはヨトウガの幼虫で、成虫は葉に数百個の卵を産みつけます。幼虫は集団で葉を食害し、サヤも食べる害虫です。
苗の植え付け時に防虫ネットで覆い、産卵の被害を抑えます。葉の裏をこまめに観察し、卵や幼虫を見つけたら葉ごと切り取って潰します。
マメハモグリバエ
成虫は体長約2㎜と小さく、発見しにくい害虫です。葉に卵を産み付けます。ふ化した幼虫は葉肉をトンネル状に食害し、白い絵を描いたような模様ができます。
土の表面の乾燥を防ぐとともに、マルチを敷きワラに替える方法も有効です。
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