1.菜の花の特徴と栽培時期
菜の花(菜花・ナバナ)の育て方手順に沿って、畑やプランターで菜の花を栽培してみましょう!菜の花は簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。
■分類:アブラナ科アブラナ属
■原産地:地中海沿岸など
■主な旬:1月~3月
■栽培時期:秋まき(中間地)
種まき:9月~10月、収穫時期:翌年1月~3月
■連作障害:あり(1~2年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:18~20℃
■生育適温:18~20℃
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菜の花の特徴
菜の花は、アブラナ科アブラナ属の黄色い花の総称で、地中海沿岸が原産地とされ、日本には弥生時代に中国から渡来し、日本各地に広がったと言われています。
菜の花は、古くから栽培され、食用のほか、ナタネ油の原料や観賞用として栽培されてきました。
現在は食用に品種改良されたものが、菜花(ナバナ)や花菜(ハナナ)の名称で多くの品種が流通しています。
食用菜の花は、とう立ちした若い茎葉や花蕾を摘み取っていろんな料理に使います。
特有の香りとほろ苦さがあり、おひたし、炒め物、ごま和えなどで美味しくいただくことができます。
菜の花は、栄養価がとても高く、ビタミンやミネラル類を多く含み、生活習慣病の予防にも効果があるとされています。
菜の花は寒さに強く、家庭菜園初心者でも栽培しやすい野菜の一つです。
菜の花の旬は1月~3月で、一足早く春の訪れの季節感を味わうこともできます。
菜の花の栄養素
菜の花は栄養価の高い緑黄色野菜で、βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄分、食物繊維などを豊富に含んでいます。
生活習慣病の改善や健康維持に欠かせない野菜の一つで、ガンの予防、高血圧の改善、貧血予防、免疫力アップのほか、疲労回復、ダイエット、美肌づくりなどにも効果があるとされています。
主な品種
食用菜の花には、多くの品種があります。品種名にCRの文字が入っているものは、根こぶ病に強いのでおすすめです。
『食用耐病菜の花 花娘』「ナバナ 食用菜の花」『ナバナ 秋華』『ナバナ 冬華』『極早生花菜 早陽一号』『ナバナ CR京の春』『花菜 CR華の舞』『ハナナ CR花まつり』『三陸つぼみ菜』など。
菜の花の栽培ポイント
・日当たりと水はけのよい環境で栽培する。
・種まき後に防虫ネットを掛けて、害虫の飛来と産卵を予防する。
・アブラナ科野菜の連作を避け、同じ場所で栽培する場合は1~2年の期間を空ける。
菜の花の栽培時期
中間地では、9月~10月が種まきの適期で、収穫時期は1月~3月です。
栽培時期は品種や地域によって大きく異なりますので、種袋の記載事項を確かめるようにします。
菜の花の連作障害
菜の花は連作障害を起こすため、アブラナ科野菜を栽培した土壌では1~2年の期間をあけます。
菜の花の好適土壌pH
菜の花の好適土壌pHは、6.0~6.5です。
酸性土壌では生育が悪くなるので、種まきの2週間以上前までに苦土石灰をまいて酸度を調整します。
2.菜の花の栽培方法(畑・プランター)
畑栽培の場合
土づくり
畑栽培では、日当たりと水はけの良い場所を選びます。
種まきの2週間以上前までに、苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
1週間前に、完熟堆肥2kg/㎡、化成肥料100g/㎡をまいてよく耕します。
畝立ては、幅60㎝、高さ10~20㎝程度にして、土の塊を取り除いて表面を平らにします。
菜の花の種まき
種まきは、すじまきや点まきのほか、ポットに種をまくこともできます。
すじまきの場合は、畝に棒や板を押し付けて、深さ1㎝ほどのまき溝を作り、1㎝間隔で種が重ならないようにまきます。
種をまいたら、土を1㎝ほど被せてから、表面を軽く手で押さえて土と密着させます。種が水で流れないように注意し、たっぷりと水やりをします。
発芽するまでは、土が乾燥しないように水やりをします。
通常は、3~5日程度で発芽します。
点まきの場合は、深さ1㎝、直径3~4㎝のまき穴を作り、1つの穴に等間隔に4~5粒まきます。周囲の土を寄せて1㎝ほど被せてから、手で上から押さえて土と種を密着させ、たっぷりと水やりをします。株間は30~40㎝にします。
菜の花の間引き・追肥
すじまきの場合は、3回に分けて間引きを行います。
1回目の間引きは、双葉が完全に開いた頃に3~4㎝間隔にします。生育の良すぎるものや悪いものを手で引き抜くか、株元をハサミで切り取ります。間引き後は、周囲の土を軽くほぐして株元に土寄せをします。
2回目は、本葉2~3枚の頃に5~6㎝間隔にします。
3回目は、本葉5~6枚の頃に15~20㎝間隔にします。
追肥は、2回目と3回目の間引きのあとに、化成肥料30g/㎡を施し、表面の土と肥料を軽く混ぜて土寄せをします。
その後は株の生育状態を見ながら、1か月に1回、同量を施します。
点まきの場合は、本葉2~3枚の頃に1箇所2本に間引き、本葉4~5枚の頃に生育の良いものを残して1本立ちにします。
プランターでの栽培方法
土づくり
プランターは、幅65cm、深さ20㎝以上のものを用意します。
用土は市販の野菜用培養土を利用すると便利です。鉢底石を敷き詰めて、土は8分目くらい入れます。
種まき
種まきは、すじまきや点まきのほか、ポットに種をまくこともできます。
すじまきの場合は、棒や板を土に押し付けて、深さ1㎝程度のまき溝を作り、1㎝間隔で種が重ならないようにまきます。
土を1㎝ほど被せてから、表面を軽く手で押さえて土と密着させます。
種が水で流れないように注意し、たっぷりと水やりをします。
発芽するまでは、土の表面が乾燥しないように水やりをします。
発芽後は、土の表面が乾いたら、プランターの底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。
プランターは、日当たりの良い場所で管理します。
点まきの場合は、20~30㎝の間隔でまき穴を作り、1つの穴に4~5粒の種を等間隔にまきます。周囲の土を寄せて1㎝ほど被せてから、手で上から押さえて土と種を密着させ、たっぷりと水やりをします。
本葉2~3枚の頃に1箇所3本に間引き、本葉4~5枚の頃に生育の良いものを残して1本立ちにします。
間引き・追肥
すじまきの場合は、数回に分けて間引きを行います。
生育の良すぎるものや悪いものを手で引き抜くか、株元をハサミで切り取ります。間引き後は、周囲の土を軽くほぐして株元に土寄せをします。
本葉5~6枚の頃までに株間を20~30㎝にし、一つのプランターで2~3株を目安に栽培します。
追肥は、生育の状態を見ながら月に1回程度、化成肥料10gをプランター全体に施し、表面の土と肥料を軽く混ぜて株元に土寄せをします。
用土が減っていたら、生長点を埋めないようにして増し土をします。
3.菜の花の栽培手入れ
水やり
畑栽培では、発芽するまでは土が乾燥しないように水やりをします。
その後は自然の降雨で足りるので、基本的に水やりの必要はありません。
土がひどく乾いているときは、午前中に水やりをします。
プランター栽培では、発芽するまでは土の表面が乾燥しないように水やりをします。
その後は、土の表面が乾いたら容器の底から水が流れ出すくらいたっぷりと水やりをします。
防虫ネット
菜の花は、発芽するとアブラナ科の害虫が飛来するので、種をまいたらすぐに防虫ネットや不織布などをかけて害虫の飛来や産卵を予防します。
10月上旬頃までは害虫が発生しやすいため、特に注意が必要です。
冬の時期に入ると害虫もいなくなりますので、冬になったら防虫ネットを外して育てていきます。
除草
菜の花の生育期間中は、除草を行うようにします。
雑草に養分を奪われてしまうと肥料切れになり、生育が悪くなり、病害虫の発生につながります。
除草作業は適度に行うのが無難で、数日おきに行えば手間もさほどかかりません。
4.菜の花の収穫時期
菜の花の収穫適期
菜の花は、地域や品種によって収穫時期が異なりますが、中間地では1月~3月頃まで収穫することができます。
トウ(花茎)が立って主茎の蕾が膨らんできたら、先端から15~20㎝ほどの部分をハサミなどで切り取るか、手でポキッと折れる箇所で摘み取ります。
その後は、葉の根元から順次伸びてくるわき芽を同様に摘み取って収穫します。
花が咲くと茎葉が硬くなり風味が落ちてしまうので、花が咲く前に収穫するようにします。
収穫が始まったら、月に1回程度、化成肥料を追肥します。
菜の花の種の取り方
花が咲き終わるとやがて種ができます。枝ごと切り取って乾燥させてから、バケツなどの容器の中で、サヤを手でもみながら種を取り出します。良く乾燥させてから茶封筒などに入れて保存します。
5.菜の花に発生しやすい病気
菜の花の病気では、根こぶ病や白さび病に注意します。
根こぶ病
根こぶ病は、アブラナ科の作物だけに感染する病気です。病原菌が根から侵入し、根にコブができます。コブが導管を圧迫するため水の吸収が阻害され、地上部の茎葉が栄養を吸収できなくなり生育不良になります。
アブラナ科野菜の連作を避け、水はけの良い環境で栽培します。発病した株は早めに撤去処分します。
白さび病
白さび病はカビによる病気で、葉の裏側にやや盛り上がった乳白色の病斑が現れます。
雨の多い時期に多発しやすくなります。アブラナ科野菜の連作を避け、畝を高くして水はけを良くします。泥はねによって感染することもあるので注意します。発病した場合は、病気の拡大を防ぐため早めに撤去処分します。
6.菜の花に発生しやすい害虫
菜の花の栽培では、アブラナ科の害虫に注意します。
アオムシ
アオムシはモンシロチョウの幼虫で、アブラナ科の野菜を好んで食害します。
窒素分が豊富な株に産卵されやすいので、肥料の与えすぎに注意します。
防虫ネットなどで覆って成虫の産卵を防ぎ、葉の裏をこまめに観察して卵や幼虫を捕殺します。
アブラムシ
アブラムシは、体長1~5㎜ほどの小さな虫で、成虫が飛来して葉に産卵します。アブラムシはウイルス病を媒介するため、健康な株にも病気が拡大します。繁殖力が強く、集団で食害するため被害が大きくなります。
寄生される前に防虫ネットで覆い、成虫の飛来を予防します。窒素分の多い肥料を与え過ぎないように注意します。
キスジノミハムシ
キスジノミハムシは、体長2~3㎜の小さな虫で、黒い体に黄色い2本のスジがあり、手を近づけると跳ねて逃げます。成虫が葉を食害し、葉に直径1~2㎜の小さな穴をたくさんあけます。幼虫は、根を食害します。
アブラナ科野菜の連作を避け、種をまいた直後に0.8㎜目以下の防虫ネットを掛けて成虫の飛来を防ぎます。
株元の地中に産卵しますので、すき間から侵入されないように注意します。
コナガ
コナガは蛾の仲間で、緑色の幼虫が葉の表皮だけを残して葉肉を食害します。窒素分の多い株に産卵されやすく、幼虫は成長が早いので放置すると被害が大きくなります。防虫ネットなどで覆って、成虫の侵入や産卵を防ぎます。被覆後も葉をこまめに観察して、卵や幼虫を捕殺します。
ハダニ
ハダニは、草花、野菜、果樹など多くの植物に寄生します。体長が0.3~0.5㎜でとても小さく、肉眼では見つけにくい虫です。成虫は葉の裏に卵を産み、幼虫は葉の組織から養分を吸いとります。
ハダニは、蜘蛛のように吐き伸ばした糸を風に乗せて飛来するので、防虫ネットを設置して予防します。
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