サツマイモの土づくり方法

サツマイモの土作りの基本

1.サツマイモの土づくり

サツマイモの栽培では、よい土づくりが基本になります。
サツマイモにとってよい土とは、排水性、通気性、保水性、保肥性がよく、微生物がたくさんいる土です。

排水性や通気性が良い土は、水と一緒に新しい酸素が供給され、土の中の二酸化炭素や有害物質を外に排出してくれます。
保水性や保肥性が良い土は、水分や養分を効率よく供給することができます。

サツマイモの栽培では、苗の植え付け前にきちんと土づくりをすることで、病害虫に強い丈夫なサツマイモを育てることができます。

サツマイモの栽培データ
■サツマイモの栽培難易度:簡単
■分類:分類:ヒルガオ科サツマイモ属
■栽培時期:中間地(関東地域)
植え付け:5月中旬~6月中旬、収穫:9月下旬~11月中旬
■連作障害:出にくい(1~2年あける)
■好適土壌pH:5.5~6.0
■使用肥料:完熟堆肥、化成肥料

2.畑の準備

畑

日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付けの1週間前までに土づくりを行います。

栽培場所を選ぶ

サツマイモは連作障害が出にくい野菜ですが、収量を増やすために1~2年の期間を空けるようにします。
プランター栽培では、新しい用土を使うことをおすすめします。

土を耕す

栽培する場所が決まったら除草を行い、クワや剣先スコップを使って、固い土を深さ30~40㎝ほど掘り起こします。
前作の茎や根、マルチフィルム、石などは丁寧に取り除き、土が柔らかくなるまでよく耕します。

3.土壌酸度と苦土石灰

畑の土作り

土づくりの際は、サツマイモが好む土壌酸度にする必要があります。

土壌酸度の測定

野菜に適した土壌酸度は、「好適土壌pH」と呼ばれています。
サツマイモの好適土壌pHは、5.5~6.0です。
家庭菜園で土壌pHを測定する場合は、土壌酸度計や土壌酸度測定薬などを使います。
『シンワ測定 土壌酸度計』などは、先端部を土壌に差し込むだけで簡単に土壌pHを測定することができます。

苦土石灰

サツマイモは酸性土壌に比較的強いので、土壌pHが6.0以上の場合は苦土石灰をまく必要はありません。
苦土石灰をまくときは、植え付けの2週間前までに済ませておきます。苦土石灰は、雨や土壌中の水分を吸収すると固まってしまうので、十分に耕して土となじませます。

4.完熟堆肥と化成肥料

畑の畝づくり

植え付けの1週間前になったら、完熟堆肥2~3㎏/㎡、化成肥料20~30g/㎡を施します。

完熟堆肥を施す

完熟堆肥は肥料の一種で、動物の糞やワラ、もみ殻、オガクズなどを完全に発酵させて作ったものです。臭いも少なく扱いやすい「完熟牛ふん堆肥」などがおすすめです。
完熟堆肥のほかに、腐葉土を使うこともできます。腐葉土は落ち葉などが腐ってできた土です。どちらの場合も土壌微生物の働きで、土をふかふかにしてくれます。
なお、未熟堆肥を使うと生育不良などが起こりやすく、分解過程でアンモニアガスなどの有害ガスが発生するので注意します。
また、サツマイモの栽培では、未熟な有機質を好むコガネムシが土の中に卵を産み付け、ふ化した幼虫が根を食害するため、完熟堆肥を使うようにします。

化成肥料を施す

サツマイモは多くの肥料を必要としませんが、生育するためには肥料が不可欠のため、土づくりの段階で肥料を入れます。
肥料には多くの種類がありますが、家庭菜園では「化成肥料8-8-8」のタイプがおすすめで、どんな野菜にも使うことができるので便利です。また、臭いも少なく、粒状で取り扱いやすいという利点があります。

土をクワなどで耕すのが大変な場合は、電動小型耕うん機などが便利です。
家庭菜園では、充電式のコンパクトな家庭用耕うん機も人気です。

5.畝づくりとマルチング

畝を作る

サツマイモの栽培は、元肥を施したタイミングで畝(うね)を作ります。畝を高く作ると水はけと通気性がよくなり、栽培場所と通路が分かれて管理も楽になります。
また、地温調整や乾燥防止などのため、必要に応じて畝にマルチを張ります。

畝づくり

サツマイモは排水を良くする必要があるため、畝づくりの際は、幅60㎝、高さ30㎝の高畝にします。畝の長さは、栽培するスペースに合わせて決めます。
畝幅に合わせて2本のロープなどを張り、ロープの外側の土を内側に入れて畝を作ります。盛り上げた土は、レーキなどを使って表面を平らに均しておきます。

マルチング

マルチング(マルチともいう)は、土の表面をポリフィルムなどで覆うことです。
マルチング資材には多くのタイプがあり、地温の調整、乾燥防止、肥料の流出防止、雑草防除、病害防除などの効果があります。
サツマイモの栽培では、黒色のマルチを張ると地温が上がります。

6.プランター栽培の用土

培養土

サツマイモは連作が出にくい野菜ですが、用土は新しいものを使うことをおすすめします。排水性を良くするため、鉢底石を敷き詰めて野菜用培養土を7~8分目ほど入れます。
野菜用培養土には『アイリスオーヤマ ゴールデン粒状培養土 野菜用』などがあり、保水性・通気性・排水性に優れています。

野菜用培養土

プランター栽培では、市販の野菜用培養土を使うと手軽に始めることができます。市販の野菜用培養土には、数種類の用土がブレンドされているので、すぐに使うことができます。
用土を自分で作る場合は、保水性の良い赤玉土を主体にして、腐葉土などの有機物を加え、化成肥料や苦土石灰を入れてブレンドします。
サツマイモはイモ類なので、赤玉土4、堆肥3、腐葉土2、バーミュキュライト1の割合で配合し、用土10ℓあたり苦土石灰10g、化成肥料20gを加えてブレンドします。

土のリサイクル

一度使用した土には、病原菌や前作の肥料分などが残っていますので、なるべく新しい土を使用します。
土を再利用する場合は、日光消毒などが必要です。土をビニール袋に入れて、直射日光が当たる場所に数日間置いておくと、土の温度が約80℃まで上がって多くの病原菌が死滅すると言われています。
サツマイモの栽培に古い土をすぐに使いたい場合は、古い土に混ぜるだけで再利用可能な『アイリスオーヤマ 再生材 古くなった土の再生材 20L』などがあります。

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