1.スイカ栽培の特徴と時期
スイカの育て方手順に沿って、畑やプランターでスイカを栽培してみましょう!
スイカは簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。
■スイカの旬:夏7月~8月
■連作障害:あり
■栽培時期:春植え
■植え付け:4月~5月
収穫時期:7月~8月
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スイカは年1回栽培することができる野菜で、スイカの旬は、夏の7月~8月です。
スイカの科目はウリ科の一年草で、つるを伸ばすつる性を有しています。
キュウリやカボチャなどと同じ科目で、他にズッキーニやゴーヤなどとも親戚です。
メロンとも同科目ですから、何かと比較されたり、名前が挙がることがあります。
スイカは野菜か果物か?と疑問を持たれる方も多いのですが、スイカは野菜であり果物でもある『果実的野菜』となっています。
スイカの栄養素としては、カリウム、βカロテン、シトルリン、リコピンなどの栄養素が含まれています。
スイカの品種としては、『縞王』『紅しずく』『紅こだま』『富士光』『甘泉』『祭ばやし』『ひとりじめ』『姫甘泉』『夏武輝』『夏爽赤』などの品種があります。
スイカの原産地は熱帯アフリカのサバンナ地方、あるいは砂漠地帯なので、そこが日本でも栽培のポイントとなります。
栽培可能な温度は10℃~40℃と幅広い範囲で、空気が乾燥しているほど育ちが良くなります。
特に良く育つのは20℃~30℃の間なので、この気温になる季節が最適な栽培時期です。
好適土壌pHは、5~6.5の間で、中性から弱酸性の土壌で良く育つ傾向です。
多少の誤差は許容されますが、最低でも好適土壌pHは中性か弱酸性と覚えることが大切です。
アルカリよりや酸性の土壌では育ちにくいので、必ずpHを測定して好適か否かを判断する必要があります。
これはトマトと同様の条件ですから、同じような条件下だと上手く育つ可能性が高まります。
連作障害はつる割病と共に注意事項で、5年~6年間は同じ場所に作付けしないのが失敗を避けるコツです。
スイカは極端に連作を嫌う性質があるので、安易に捉えずに期間を設けるのが栽培のポイントです。
万全を期すなら最低でも6年、長くて7年間は連作を行わないのが注意点です。
一般的にスイカの輪作年限は7年とされ、その間に同じ科目の野菜は植えない方が無難です。
連作障害を避けたい場合は、一度スイカを育てたらこの間はウリ科の植え付けを避けて、他の野菜の栽培に注力するのが良いです。
十分な年数を開けて栽培を始める際には、日当たりと排水の良い環境を用意して作付けします。
連作が必要な場合でも、接ぎ木苗を植えて連作障害を回避する方法はあります。
連作を行わないケースにおいても、接ぎ木苗の活用は土壌伝染病回避に有効です。
しかし手間とコストが大きくなるので、この方法で栽培されたスイカは高級品として流通します。
連作障害と同じ位に注意が必要なのは、スイカ果実汚斑細菌病という病気です。
元々ウリ科雑草が病原細菌を有しますが、アマチャヅルに関しては病原性がないのが特徴です。
それでも、病原細菌を有して発病してしまった苗は二次伝染源になるので、早めの発見と対処が求められます。
アレチウリやカラスウリを発見した場合は、抜き取りを行い、作付けするスイカから隔離することが必要です。
逆にこれらのウリ科雑草さえなければ、スイカは病気のリスクが軽減して健康的に育ちます。
つるぼけ防止の観点では、元肥を控えつつ追肥の調整で上手く育つようにするのが、栽培のポイントにおける要点です。
雌花に人工授粉をして、より確実な着果を目指すと、つるぼけを上手く防ぐことができます。
栽培時期は4月下旬頃からで、5月中旬までの間が苗を植える目安になります。
収穫時期は7月半ば~8月中旬までの約1ヶ月間です。
夏真っ盛りの時期ですから、スイカは夏の野菜で風物詩となっているのも納得です。
暖かくなり始めるタイミングが栽培時期の始まりで、真夏を収穫時期と覚えると簡単です。
スイカは成長が早く、受粉から35日程度で育ってくれる野菜です。
2.スイカの栽培基本(畑・プランター)
スイカの栽培には、畑とプランターの二種類があります。
畑の場合は、6年以上スイカを育てていない場所を選び、連作障害を避けることが基本です。
スイカは多くの肥料を好むと思われがちですが、これは誤解で元肥のあげ過ぎは厳禁です。
植え付けの前は、約2週間ほど前から苦土石灰を全体にまくのが準備となります。
まいては耕すを繰り返して土作りを行うのが、スイカ栽培における基本中の基本といえます。
1週間前には堆肥と化成肥料を、やや控えめにまいて良く混ぜ込みます。
畝を立てたら黒マルチシートを張って、これで土作りと畑の準備の完了です。
苗は葉に厚みがある物を選び、病気や害虫の付着がないかを確認します。
本葉が6枚程度付いていればなお良いですし、双葉が揃っていれば良質な苗です。
節間の短さや太い茎も選定のポイントとなっていて、美味しいスイカ作りに欠かせません。
苗を植える場所は90㎝幅が最適で、間隔は2m~2.5mほど開けます。
苗の植え付けは暖かい日が理想的で、実際に植え付ける前にポットにたっぷりと水を与えます。
一定間隔毎にマルチに穴を開けたら、ポットと同じ大きさの植え付け用穴を掘ります。
ポットから苗を取り出して、浅く浅くを心掛けて優しく植え付けます。
株を軽く押さえて固定を終えたら、更に水をまいて水分を与えてあげます。
接ぎ木苗は外に出す必要があるので、土に埋まらないように注意しましょう。
寒い日にはホットキャップで保温するのも良い考えで、上手く使いこなせば生育のスピードが速くなります。
キャップは株ごとに被せるのがコツで、つるが突き破りそうな程に伸びて、キャップ内に葉が生い茂った頃が取り外すタイミングです。
プランターでスイカを栽培する場合は、畑よりも早い3月~4月が種まきの時期です。
プランターに土を入れて直接まいても、小さなポットを用意して育苗するのもありです。
土は市販の培養土でも十分なので、土作りが必要な畑よりも手間や難易度が下がります。
土選びのポイントは水捌けで、これがスイカの育ちや質を左右することになります。
良い土が手間暇の努力を報わせますから、他の野菜と同様に最初が肝心です。
自分で土作りを行いたい場合は、赤玉土や腐葉土にバーミキュライトを混ぜて作ります。
赤玉土7に腐葉土2の割合で、残りをバーミキュライトで埋めます。
元肥として化成肥料を1リットルに1gの割合で加え、酸性度の調整目的で苦土石灰を1g追加します。
良く混ぜるのが土作りの基本で、種まきの2週間前から作って準備しておくことが重要です。
プランターであれば中心に3粒程度、1㎝間隔でまくのがスイカの上手な種まきです。
大玉スイカなら横幅60㎝以上のプランターを用意して、深めの物に1粒の割合で種まきを行いましょう。
スイカは根の成長も大切なポイントですから、広々としたプランターで伸び伸びと育てることが不可欠です。
種まきは植えたい部分の土を少し凹ませ、根を張る切っ掛けを与えてあげます。
つるはかなり高い所まで伸びるので、長めの棒で支柱を作っておくと後が楽です。
小玉スイカでもつるの長さは馬鹿にできないので、予め長さをシミュレーションして支柱を作るのが、後で焦らないようにする為の下準備となります。
肥料はリン酸成分が豊富な物が最適で、骨粉や魚粉を含むのが理想的です。
ただし初心者にとっては難易度が高いことから、スイカに対応した市販の万能肥料を使うのが得策です。
3.スイカの栽培手入れ
受粉はスイカも例外ではなく、苗に実を付ける為の切っ掛けとなります。
プランター栽培なら1つの果実に花粉が付けば良いので、必ずしも人工授粉が必要というわけではありません。
昆虫が飛び交う自然環境なら自然に受粉しますが、ところが都会やマンションなどでは確率が低めです。
そこで人工授粉をしてあげると、スイカが成長したり実を付けることができます。
受粉は雄花と雌花が開いて、昆虫が花粉を運ぶのが基本条件です。
人工授粉においては、これを人の手で人工的に行ってあげることになります。
受粉の成功率が上がる時間は、一般的に午前9時頃までとされているので、朝の早い時間帯に取り掛かります。
人工授粉はまず、雄花と雌花の見分けが必要ですが、ぱっと見ただけでは同じに見えます。見分けのポイントは膨らみで、蕾の根本が膨らんでいれば雌花です。
7節目~8節目あたりにできる雌花は、他の部分の雌花に比べると未熟で、受粉に失敗する確率が高めです。
成功率を考えると使えないので、勿体ないとは思っても摘芯して取り除くのが無難です。人工授粉に使う雌花の目安は、5節から6節ごとに付く雌花の内、2番目以降に咲いた物です。開花を見付けたら見逃さないで、直ぐにでも取り掛かって作業を済ませましょう。
受粉には綿棒や筆を使って、雄花に擦り付けてから雌花に擦り付けるのが簡単です。
力を入れ過ぎると潰れてしまうので、あくまでも優しく触れて花粉を移す程度の力加減に留めます。
より確実なのは、雄花を手にとって雌花に直接擦り付けるやり方です。
花粉がある限り複数の雌花に受粉できるので、効率的かつ成功しやすい人工授粉です。
スイカは子づるや孫づるに雌花が多く付くので、本葉が6枚程度になったら親つるの先を取ります。これを摘芯といって、育てたいつるに栄養を与えて成長を促す方法です。
こうすると親づるの成長が止まり、子づるを発生させたり発育を促進する結果に繋がります。
摘心のコツは子づるの長さを見比べて、長いものを数本残して後を全部切ることです。
子づるは根本から切ってしまうのが親づるとの違いで、スイカの栽培に必ず欠かせない手入れとなります。
以降は子づるから孫づるが生えますが、孫づるに摘芯は不要で放置しても大丈夫です。
手入れにおいては肥料の与え方も肝心で、闇雲にあげ過ぎると実が付かなくなるので要注意です。
仮に実が上手く付いたとしても、薄味になったり甘みが抜けることもあります。
原因は多肥にあるので、追肥のペースやタイミングに気を付けましょう。
植え付けて暫くの間は、元肥の栄養で十分に成長することができます。
追肥で肥料を与える最初のタイミングは、植え付けを行った以降の3週間後です。
それが元肥以外で肥料をあげる、多肥を避けられるベストな時期です。
肥料は規定量通りの液体タイプか、少しずつ栄養が行き渡る緩効性の化成肥料を少量です。
2回目以降は3週間毎に緩効性の化成肥料を与えるか、1週間毎に液体肥料を与えるペースです。
スイカ栽培の手入れでは、摘果という保護方法も忘れてはいけない項目です。プランター栽培だと養分が分散してしまうので、最後は1鉢で1個の実を育てるのが理想となります。途中で複数の実が付くことも珍しくありませんが、ここで親つると子づるがそれぞれ1個の実を付けるようにします。
その他の果実を切り取り、養分を必要な部分に行き渡るようにする、これが摘果でスイカ栽培の成功率を引き上げます。
摘果して残った実が大きく成長したら、収穫用のネットなどで保護して支柱に固定します。
4.スイカの収穫時期について
収穫時期は7月中旬~の1ヶ月間で、受粉日からおおよそのタイミングを計算することもできます。
見た目的には一般に、着果節位の巻いている部分が枯れた時とされます。
この部位が十分に成長したと判断できたら、ハサミで優しく実がなっている根本を切ります。
取り方に難しさはありませんが、実が大きく重たい場合は一人が支えて、もう一人が切り取り作業をすると安心です。
実を回してねじ切るような取り方は禁物なので、小さい子供などには正しい取り方を教えることが必要です。
実は厚い代わりに割れやすいので、落としたりぶつけたりしないように気を付けましょう。
具体的な収穫の判断は、着果節位の巻いている部分の内、3分の1程度が茶色くなる頃が収穫の目安となります。
着果節位とは着果した箇所と節位にあるひげ状のことです。
着果節位が茶色くなるのは、養分が実に行き渡り収穫時期が近付いている証拠です。
ただし変色した直後の収穫は早過ぎで、生育不良となる恐れがあります。
ここは焦らずにじっくりと変色を見極めて、着果節位全体の3分の1が茶色くなるタイミングで判断します。
茶色くなる変化は、あくまでも収穫時期を判断する一つの目安なので、絶対に食べ頃とはいえないのが難しいところです。
最終的には収穫して中身を見なければ分かりませんが、有力な判断材料となっているのは確かです。
収穫時期に差し掛かっても、実が小さかったり茶色くなる気配がないスイカは、生育不良が疑われます。
早くから着果節位が茶色くなるのは明らかに生育不良で、枯れてしまっている可能性があります。
反対に7月~8月まで順調に大きくなったスイカは、生育に成功している確率が高いといえるでしょう。
収穫時期を判断するヒントは他にもあって、例えば実を軽く手の甲で叩くなどが挙げられます。
甲高い音はまだ若過ぎで、音が低くなれば食べ頃とされます。
鈍く響く場合は熟れ過ぎの恐れが強く、収穫のベストな時期を過ぎていると考えられます。
収穫時期を逃さない為には、早めの段階から着果節位の色を確認したり、軽く叩いて音の響きに耳を澄ませる方法が役立ちます。
受粉日が分かる場合は、その日を基準に35日後~40日後が収穫時期の目安となります。
スイカの生育のペースはほぼ一定なので、この範囲内で食べ頃となる確率が高くあります。
更にスイカはツヤで見分けるやり方もあって、ツヤ消しが軽いツヤありになれば食べ頃です。
これらのどの部分を見ても当てはまらない時は、生理障害が発生して生育不良になっている恐れが強めです。
カリウム欠乏は葉の周りが黒く枯れる症状で、カルシウム欠乏では成長点が同様に枯れてしまいます。
他にもマグネシウム欠乏や鉄欠乏など、ミネラル成分の不足で発生する生理障害が多くあります。
もし葉などに変色や変形している部分があれば、生理障害を疑うことができます。
変色などはないのに実が割れてしまうなら、他の原因がそうさせている可能性が大です。
一つは急激に増えた水分で、水分過多になると実が耐え切れずに割れることになります。着果後に水分を多く与え過ぎたり、雨が降って吸収してしまった場合も、実が割れる水分過多を引き起こします。
元々乾燥地帯で育つスイカなので、収穫時期までの間は水分量に気を付けることが大切です。低温環境下や直射日光などでも、実が割れる生育不良が発生します。
皮が固くなり柔軟性を損ねるのが原因ですから、まだ未熟な時は低温や日光に気を付けましょう。
5.スイカに発生しやすい病気と害虫
スイカで発生しやすい病気は、葉や実に穴が開く炭そ病です。
円形やそれに近い暗褐色の変色が生じて、そこが凹んだり穴が開きます。
症状が酷い場合は破裂するほどで、伝染源となることから確実な防除が重要です。
胞子は雨で飛散しますから、被害拡大を防ぐ為に早めの対処が求められます。
連作をすると発症リスクが上がるので、連作しないように心掛けることが基本事項です。
つる割病は炭そ病と同じく、スイカに発生しやすい病気です。
生育が遅れ気味になるのが特徴で、株全体に元気がないように見えます。
暑い日の日中には葉が萎れてしまい、朝夕の涼しい日が数日続いた後に枯れます。
病原菌は最低でも5年は地中に潜むので、やはり連作は避けて作付けを行うのが、病気を避ける為のポイントです。
つる枯病は葉と茎に発生する病気で、暗緑色で円形に似た斑を葉に生じます。
葉は非常に割れやすく、茎は灰褐色の病斑を生じて表面が乾いたりザラザラします。
果実においては円形の病斑が発生して、中心部分がヒビ割れてしまうのが特徴とされます。
雨の日が多く続くと発症しやすいことから、天気予報に注意して必要に応じた対策をとりましょう。
スイカではうどんこ病も有名で、ハウス栽培を行った場合に発病することがあります。
葉や葉柄に白い斑点が生じるので、見た目に分かりやすく発見が容易です。
大きな被害にはなりにくいものの、対処が遅れると防除が難しくなるので、こちらも早めの対処が不可欠となります。
加えてモザイク病は、害虫とウィルス感染が合わさった症状です。
モザイク病には2種類あって、キュウリモザイクウィルスとスイカモザイクウィルスに分かれます。
どちらもアブラムシが運んできますから、アブラムシの駆除が病気の予防になります。
モザイク病を発病してしまったスイカは、残念ながら回復する方法はないのが実情です。
周りに感染してしまう恐れがあるので、発見したら速やかに取り除いて処分しましょう。
スイカモザイクウィルスの場合は、触った手や農機具から他のスイカに感染します。
種にも感染してしまいますから、新たにまく時にも注意する心構えが肝心です。
スイカは様々な虫に好まれるので、害虫が多いのも特徴といえます。
ウリハムシは食害系の害虫で、成虫は葉を食べてしまい、幼虫は根を食害します。
葉に穴や線が入ったりするので、これでウリハムシがいるかどうかが分かります。
ウリキンウワバは蛾の仲間ですが、成虫は特に害を及ぼしません。
問題は幼虫の方で、葉の裏側から食害を始めて、成長すると付け根を狙うようになります。
葉が何枚も枯れてしまう場合は、ウリキンウワバの幼虫が潜んでいると疑えます。
ウリノメイガも名前の通り蛾の仲間で、幼虫が葉を食べてしまいます。
年に4回も繁殖時期が存在しており、スイカの栽培時期と重なる期間があります。
8月~9月に掛けて被害が拡大するので、収穫まで気を抜かないチェックの重要性が高めです。
ワタアブラムシは別の植物に卵のまま越冬して、孵化する春になるとスイカの元にやってきます。
たった数匹でも繁殖力が強く、株の養分を吸ってスイカの成長を邪魔します。
1匹が小さくても大群だと驚異なので、数匹だからと放置しない対処が欠かせません。
ハダニは非常に小さく、肉眼では見付けることの難しい虫です。
葉の表面に糸を張るような変化があるので、葉の変化で確認するのが有効な手段です。
オンシツコナジラミは春から秋頃までと、まるでスイカに合わせたかのように発生します。
放置すると枯れてしまいますし、排泄物が他の菌を呼んでしまうので、決して油断することのできない害虫です。
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