1.大豆の特徴と栽培時期
大豆の育て方手順に沿って、畑やプランターで大豆を栽培してみましょう!
大豆は比較的簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの作物です。
■分類:マメ科ダイズ属
■原産地:東アジア
■主な旬:10月~11月
■栽培時期:春まき、春植え
種まき:5月~6月、植え付け:6月~7月、収穫時期:10月~11月
■連作障害:あり(2~3年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:25~30℃
■生育適温:20~25℃
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大豆の特徴
大豆は、東アジアが原産地で、中国から日本に伝わり、広く栽培されるようになったと言われています。
大豆と枝豆は、同じマメ科ダイズ属の植物で、大豆は「穀物/豆類」、枝豆は「野菜/果菜類」に分類されています。
枝豆は大豆を未成熟な状態で収穫したもので、種まき後約80日~90日で収穫できます。大豆は、種まき後約110日~130日で収穫できます。
一般的な大豆は種子が黄色で「黄大豆」と呼ばれ、種子が黒色の「黒大豆」は、お正月の煮物に使われます。
大豆は、色んな料理に役立てることができます。大豆を使って豆腐を作ってみるのも良いですし、枝豆で収穫することもできます。
大豆は、家庭菜園初心者の方でも育てることができ、プランター栽培もできます。
大豆の栄養素
大豆は、「畑の肉」と呼ばれるほど栄養が豊富な食材で、たんぱく質、カルシウム、カリウム、ビタミンE、食物繊維などが多く含まれています。
大豆特有の成分である大豆サポニンやレシチンには、コレステロール値や中性脂肪値を下げる働きがあります。
ポリフェノールの一種である「大豆イソフラボン」は、骨粗鬆症や動脈硬化の予防、美肌作りに効果があるとされています。
大豆の主な品種
大豆は、国産のものだけでも300種類以上の品種があると言われています。
大豆と枝豆は同じマメ科の植物ですが、それぞれに適した品種があります。地域によって異なるので、育てる前に確認するようにします。
『ユキホマレ』『エンレイ』『サチユタカ』『フクユタカ』『青丸くん』『丹波黒大粒大豆』『鶴の子大豆』など。
大豆の栽培ポイント
・日当たりが良く、風通しの良い環境で育てる。
・気温が十分に上がってから、種まきや植え付けをする。
・種まき後に不織布などをかぶせて、鳥の食害を防ぐ。
・窒素肥料のやりすぎに注意する。
大豆の栽培時期
大豆の栽培時期は、種まきが5月~6月、植え付けが6月~7月、収穫が10月~11月となります。
品種や地域により異なりますので、種子袋やホームセンターなどで確認するようにします。
大豆の連作障害
大豆は、連作障害を起こしやすい野菜です。同じ科の植物を同じ場所で栽培すると、連作障害が起こります。
マメ科の野菜を栽培した場所では、2~3年の期間を空けるようにします。
大豆の好適土壌pH
大豆の生育に適した土壌pHは、弱酸性の6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。
2.大豆の栽培基本(畑・プランター)
大豆は、直接畑に種をまく方法(直まき)と、ポットで育てた苗を植え付ける方法があります。
栽培初心者の方は、園芸店やホームセンターなどで苗を購入して植え付けると手軽でおすすめです。
苗は、病害虫の被害がなく、茎が太く、色が濃くて葉が2枚程度付いているものを選びます。
畑栽培の場合
土づくり
種まき又は植え付けの2週間以上前までに、苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
1週間前に完熟堆肥2㎏/㎡、化成肥料50g/㎡を施してよく耕します。
マメ科の植物は根粒菌が働いて窒素を供給するので、窒素成分は少なめにします。
畝幅は60~80㎝、高さ10~15㎝にします。畝に黒マルチを張ると、地温効果を高めることができます。
種まき
畑に直まきする場合は、点まきにします。株間は、30㎝程度にします。
畝に深さ2~3㎝の穴を作り、1箇所に3~4粒ずつ等間隔にまきます。
土を2㎝ほど被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させます。
種をまいたら、種が過湿で腐らないように軽く水やりをします。
種まき後に鳥の被害に遭わないように、防鳥ネットなどで覆っておくと安心です。
発芽するまでは、種が腐る原因となるので水やりは控えます。
ポットに種をまく場合は、3号ポット(直径9㎝)に用土を入れ、手の指で深さ2㎝の植穴を3箇所つくり、1粒ずつまきます。
土を2㎝ほど被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水やりをします。
発芽して初生葉(子葉の次に出る葉)が展開したら間引いて1ポット2本にし、本葉2~3枚の頃に植え付けます。
苗の植え付け
植え付けは、晩霜の心配がなくなった晴れた日の午前中に行います。
低温時に植え付けると寒さで弱るため、地温が十分に上がってから植え付けるようにします。
植え付ける際は、根鉢を崩さないようにして、根鉢の肩が地表面から少し出る程度の浅植えにします。
植え付け後は、株元にたっぷりと水やりをします。
プランター栽培の場合
種まきから育てることができますが、市販の苗を購入して植え付けると栽培の手間が省けます。
用土
プランターや鉢で栽培する場合は、深さ30㎝以上のものを用意します。
用土は、市販の野菜用培養土を利用すると便利です。鉢底石を敷き詰めて、土は7分目くらい入れます。
種まき
種まきは、畑の場合と同様に点まきにし、株間20~25㎝にします。
深さ2~3㎝で、1箇所に3~4粒ずつ等間隔にまきます。
土を2㎝ほど被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させます。
種をまいたら水やりをし、鳥の被害に遭わないように不織布などで覆っておくと安心です。
発芽するまでは、種が腐る原因となるので水やりは控えます。
発芽したら本葉2枚の頃に間引きを行い、1箇所2本にします。
間引き後は、苗が倒れないように、株元に土寄せをします。
植え付け
市販の苗や育苗した苗を植え付ける場合は、根鉢を崩さないで2本立ちのまま植え付けます。株間は、25cm程度にします。
植え付け後は、株元に2~3㎝の高さに土を寄せ、手で軽く押さえて、たっぷりと水やりをします。
プランターや鉢は、日当たりと風通しの良い場所で管理します。
鳥害対策
大豆の栽培では、鳥害対策が重要です。大豆は鳥の大好物なので、種や発芽直後の双葉を食べられてしまうことがあります。
鳥害対策には、不織布や防虫ネットなどで覆うと効果的です。
あらかじめ苗を育ててから、畑やプランターに植え付ける方法も鳥害対策の一つです。
3.大豆の栽培手入れ
大豆の水やり
畑で栽培する場合は、自然の降雨で足りるので、基本的に水やりの必要はありません。晴天が続いて降雨が無い場合は、朝の涼しい時間帯に株元にたっぷりと水やりをします。
大豆は、開花時期に乾燥させてしまうと、花が落ちたり、実つきが悪くなるので、注意が必要です。
葉が黄色くなって枯れてきたときも水分不足ですので、梅雨明け後の乾燥に特に注意します。
プランター栽培では、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
水やりの回数が多いと根腐れを起こすので、水のやりすぎにも注意します。
大豆の摘芯
本葉5~6枚の頃に、頂芽(頂上の芽)を摘み取り、わき芽を伸ばしてやります。
摘芯をすると、わき芽が伸びて収穫量を増やすことができます。
また、摘芯をすると草丈を抑えることができるので、倒伏を防ぐこともできます。
大豆の追肥
大豆などのマメ科植物は、根粒菌と共存しているため、肥料を多く与える必要はありません。
植物は、空気中の窒素を肥料として使うことはできませんが、根粒菌が空気中の窒素を植物が使えるように変換して供給してくれます。
窒素分が多いと葉が繁り過ぎて、実つきが悪くなってしまいます。
生育不良などで追肥が必要な場合も、窒素成分が少ない肥料を施すようにします。
大豆の土寄せ
大豆は、生育中に株元に土寄せを行うことで根に酸素を供給し、根張りを良くします。倒伏防止と、雑草防除にもなります。
畑栽培では、本葉3~4枚程度になったら1回目の土寄せを行います。通路や畝の部分を軽く耕して、子葉が隠れるくらいまで株元に土を寄せます。
2回目は、本葉6~8枚の頃で花が咲く前に土寄せ行います。
マルチを張ってある場合は、マルチを外して土寄せを行い、土寄せ後にマルチを元に戻しておきます。
プランター栽培では、増し土を行って株元に土寄せをします。
大豆の支柱立て
支柱立てが必要になるのは、風の強い地域に限られます。通常の地域では、株元に土寄せをしっかり行えば支柱は不要です。
プランター栽培で、底が浅くて倒伏が心配であれば、支柱を立てます。
4.大豆の収穫時期
収穫適期
大豆の収穫適期は、10月~11月です。
葉が落ちて株全体が茶色くなり、サヤを左右に振ってみて、中の豆がカラカラと鳴ったら収穫の目安です。
収穫方法は、株を手で引き抜くか、株元で切り取ります。収穫が遅れると、サヤがはじけて豆が落ちてしまいます。
収穫したら、風通しのよい場所に株を吊るし、2週間ほど乾燥させます。
乾燥中もサヤがはじけるので、ネットなどで覆っておきます。
乾燥させたら、ビニールシートを敷いて、棒やビール瓶などでサヤごと叩いて豆を落とします。
乾燥不足でサヤから落ちなかった豆は、再度天日干しを行い、自然にはじける頃に豆を取り出します。虫食いや生育不良の豆は取り除きます。
収穫した大豆は、通気性の良い紙袋に入れて常温で保存します。
5.大豆に発生しやすい病気
大豆に発生しやすい病害虫について、代表的なものをご紹介します。
株間を十分にあけて密植を避け、窒素肥料の与え過ぎに注意します。
白絹病(しらきぬびょう)
白絹病は、糸状菌(カビ)などによって起こる病気で、夏に発生しやすく30℃を超えると菌が増殖します。
発病すると、株元や土の表面に白い絹糸のようなものが現れます。やがて茎が腐り、葉が黄色くなって枯れてしまいます。連作で発生するため、マメ科の植物を植えた後は、2~3年ほど期間を空けます。
また、水はけと風通しの良い環境で育てます。発病した株は、撤去処分をして感染を防ぎます。
苗立枯病(なえたちがれびょう)
苗立枯病は、苗の病気でほとんどの植物に発生します。土壌中に棲むカビが根や地際部から侵入し、やがて茎が腐敗して苗が枯れてしまいます。
湿度の高い環境で発生しますので、育苗するときは過湿に注意します。
直まきの場合も、土づくりの段階で水はけをよくしておきます。
マメ科の連作を避け、窒素肥料を与えすぎないようにします。発病した株は、すみやかに撤去処分します。
べと病
べと病は、カビによる病気で低温多湿の梅雨の時期に多発します。
カビが葉に寄生して繁殖し、淡黄色の病斑が出ます。
水はけを良くし、密植を避けて風通しを良くします。窒素肥料の過多にも気をつけます。被害のあった茎や葉は、早めに撤去処分します。
モザイク病
ウイルスによる病気でいちばん多いのがモザイク病です。
ウイルスを持ったアブラムシが葉を吸汁することで、健康な葉も感染してしまいます。葉脈が透けるようになり、モザイク状の病斑が葉に現われます。
生育不良になり、収穫量も減ってしまうので、発症した葉や株はすぐに撤去処分します。
6.大豆に発生しやすい害虫
アブラムシ
アブラムシは、体長1~4㎜ほどの害虫で、茎や葉に集団で寄生します。
新芽や葉、茎などを吸汁して生育を阻害します。
窒素肥料のやりすぎに注意し、目の細かい防虫ネットで覆ってアブラムシの飛来を予防します。
繁殖力が非常に旺盛なため、大量発生した場合は殺虫剤で駆除します。
カメムシ
カメムシは、マメ科、アブラナ科、ナス科などの植物に寄生します。
カメムシは、サヤがつき始める頃に成虫が飛来し、サヤの上から吸汁加害します。
被害を受けるとサヤが落下したり、不良な豆が出来てしまいます。
防虫ネットで覆い、飛来や産卵を予防します。
シロイチモジマダラメイガ
シロイチモジマダラメイガは蛾の仲間で、サヤに卵を産み付けます。
孵化した幼虫がサヤに潜り込み、豆を食べ尽くしてしまいます。
被害にあったサヤを見つけたら、すぐに取り除いて防除します。
ハスモンヨトウ
ハスモンヨトウは、ヨトウ蛾の幼虫で、成虫は葉に数百個の卵を産み付けます。
幼虫は葉の裏側から表皮だけ残して食べるので、被害部分は白く透けて見えます。
苗の植え付け時に防虫ネットで覆い、産卵の被害を抑えます。
葉の裏をこまめに観察して、卵や幼虫を見つけたら葉ごと切り取って潰します。
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