1.トウガン栽培の特徴と時期
トウガンの育て方手順に沿って、畑やプランターでトウガンを栽培してみましょう!
トウガンは簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。
■分類:ウリ科冬瓜属
■原産地:インド
■トウガンの旬:夏7月~9月
■連作障害:あり
■栽培時期:春まき・春植え
■春の種まき:3月~4月
植え付け:4月~6月
収穫時期:7月~9月
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トウガンは、年1回栽培することができる野菜で、トウガンの旬は、夏の7月~9月です。
トウガンは、ウリ科・トウガン属に分類され、日本で古くから栽培されている野菜ですが、原産地は東南アジアのインド付近と言われています。
トウガンには「冬」の文字が入っていますが、冬に収穫されるという意味では無く、夏に収穫しても冷涼な場所に置いておくことで冬まで貯蔵できるということが名前の由来です。
トウガンの品種としては、耐暑性・耐病性が強い品種の『沖縄冬瓜』『沖縄小型冬瓜』、着果性が良くミニサイズの『姫とうがん』などがあります。
トウガンの果実はほとんどが水分であるため、低カロリーのダイエット野菜として注目され、中華料理の食材としても人気があります。
トウガンの栄養素としては、ビタミンC、カリウム、サポニン、食物繊維などが含まれています。
栽培のポイントは、暖かい環境を保ち、つるの摘芯をこまめに行うことです。トウガンは高温性で寒さに非常に弱いことから、気温が低い時はビニールフィルムなどを張って冷気を遮ることが大切です。
また、つるを摘芯することでつるが伸びやすく、花付きも良くなるので収穫量を増やすことができます。
栽培時期は、寒冷地の場合は5月下旬~6月上旬が植え付けに最適で、収穫時期は8月上旬~9月下旬となります。温暖な地域では4月上旬~5月上旬までを目途に植え付けを行い、7月上旬~9月下旬が収穫時期となります。
発芽には高温環境が必須で、25℃~30℃の状態を保ち続けることが必要です。
また、ウリ科の植物は連作障害を起こしやすいので注意が必要です。
連作するとつる割れ病や線虫による障害が発生しやすいので、一度トウガンを栽培した場所では、少なくとも3年は栽培しないようにすることが大切です。
なお、同じ植物でなければ障害は出にくいので、トウガンを栽培した翌年には同じウリ科でもキュウリやカボチャなどであれば、栽培しても問題はありません。
どうしても連作しなければならない場合は、種から育てるのでは無く、病害虫に強い接ぎ木苗を植え付けることで、連作障害のリスクを軽減することができます。
好適土壌pHは6.0~6.5で酸性には弱い性質があり、酸性土壌で育てる場合は必ず石灰を撒いてよく耕してから栽培することが大切です。
2.トウガンの栽培基本(畑・プランター)
トウガンの栽培は、育苗ポットに種まきをして育てた苗を、プランターや畑に植え付けるのが基本です。種まきは、寒冷地や温暖地に関わらず3月中旬~4月中旬くらいまでに行います。
トウガンの種は、皮が非常に固くて水をなかなか吸わないため、水を入れた容器に24時間ほど種を浸して、十分に吸水させておくことで発芽率が上がります。
具体的には、3号ポット(口径9㎝)に種まき用培養土を入れ、指先で1㎝ほどのくぼみを2ヵ所作り、それぞれのくぼみに種を1粒ずつ入れて1㎝ほど土を被せます。その後、ポットの下から水が流れ出るまでたっぷりと水やりを行います。
発芽には17℃~30℃の温度環境が必要なので、屋内でも日陰にならないような日の当たる場所に保管するようにします。屋内の温度が低くなるような場合は、周りにビニールフィルムなどを張って保温するようにします。
発芽して本葉が3枚程度まで成長したら、1ポット1株になるように間引きを行い、本葉が5枚前後になったら畑やプランターに植え付けます。
植え付けは、寒冷地なら6月上旬、温暖地なら5月上旬を目途に行います。畑の場合は、植え付け2週間前までに苦土石灰1㎡当たり100~150gを土に混ぜ込み、1週間前には1㎡当たり堆肥2kg、化成肥料100g、溶リン50gを混ぜ込んで土作りをしておきます。
植え付けの際は、畝を幅70㎝~80㎝、高さ15㎝程度で作り、80㎝間隔で苗を浅めに植えていき、植え付け後はたっぷりと水を与えるようにします。
朝晩の最低気温が15℃以下になる場合には、保温のためビニールのホットキャップやトンネルを作り、冷気に触れないようにしておきます。
本格的に温かい気温が安定するまでの期間は、畝全体にポリマルチを施しておくとよいでしょう。
プランター栽培の場合は、60㎝サイズで深めのプランターを用意して、土は市販の野菜用培養土を使用します。栽培数は、1つのプランターに2株とし、浅めに植えてたっぷりと水を与えます。気温が高ければ外に出したままでも問題ありませんが、急激に気温が下がるような場合は屋内に移動させてあげるようにしましょう。
苗を植え付ける場合は、畑の場合もプランターの場合も同様ですが、ポットから苗を取り出すときに根を切らないように気を付けて、根鉢ごと植えるようにすることがポイントです。
また、トウガンは、乾燥を極度に嫌う性質があるため、水やりのタイミングに気を付けて、水切れにならないように注意することが大切です。プランター栽培では、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにします。畑の場合は保水能力があるので頻繁に水やりをする必要はありませんが、乾燥が続くようなら水を与えるようにします。
なお、気温が高くなったらポリマルチは取り除きますが、ワラなどを苗の周辺に敷き詰めておくと土の乾燥を防ぐことができます。
3.トウガンの栽培手入れ
追肥は、植え付けから2週間ほど経過して本葉が6枚以上になったら、化成肥料を苗の根元に1㎡当たり30g程度与えます。また、苗からつるが伸びてきたら、太めの支柱を立てて立体栽培にします。
支柱を立てない地這い栽培にする場合は、ワラを用意しておき、つるの伸びに合わせてワラを敷いていきます。ワラを敷くことによって、泥はねや土の乾燥を防ぎ、病害虫の予防にも繋がります。
トウガンは、成長し始めるとつるがよく伸びるため、茎葉が混み合って実つきが悪くなることがあるので摘芯をします。親づるは5節(本葉5枚)あたりのところで摘芯し、伸びの良好な子づるは4本程度残して他は間引きします。
トウガンは、子づるの先に花が咲いて実を付けますが、同時に孫づるがどんどん生えてきますので、実よりも下の位置に生えている孫づるは全て摘み取ります。
実よりも先の位置に生えている孫づるは、放任しておいて問題ありません。子づるは10節くらいまでに第1雌花を付け、その後4~5節おきに雌花を付ける性質があります。
第1雌花は結実しても形が悪いことや、苗自体の成長を妨げてしまいますので摘み取ってしまい、17節前後の雌花から結実させるようにします。
トウガンは人工授粉をしなくても結実しやすい作物ですが、苗の周りを飛び交う虫が少ない場合や気温が低い場合は人工授粉するとよいでしょう。
雄花と雌花の見分け方は、雄花は花の下に膨らみが無く、雌花は花の付け根に小さな実が付いています。間違えないように雄花を摘み取り、雄花の花びらを丁寧に取り外してから、雄しべを雌花の先端にこすりつけて受粉させます。
人工授粉は、遅くても朝9時頃までを目途に、当日の朝に咲いた雄花を摘み取って行うようにします。受粉に成功すると果実が肥大してきますので、ピンポン玉程度の大きさまで成長したら追肥をします。その後の育ち具合によっては、半月後を目途にもう一度追肥をすると果実の成長が良くなります。
4.トウガンの収穫時期について
梅雨が明ける頃には果実も大きくなりますが、果実の表面に産毛が生えている状態の時は、まだ収穫時期ではありません。
産毛が少なくなり、ブルームと呼ばれる白っぽい粉が付きだしたら収穫時期ですが、果実が熟するにつれて産毛が少なくなり、完熟すると果実全体がブルームで真っ白になります。
ブルームは、果実から分泌される天然物質で、果実の水分蒸発や病気などから実を守る働きがあり、人体には影響はありません。収穫後にブルームをふき取ると、きれいな緑色の果皮が現れます。
果実が20㎝~30㎝前後になったらどんどん収穫し、形の良いものだけを大きくするとよいでしょう。
なお、畑で地這い栽培にしている場合は、果実がソフトボール程度の大きさになったら、害虫の予防や地面との接触面からの腐敗を守るために、トレイなどを下に敷いておくようにしましょう。
トウガンが結実する頃は、長雨が続く梅雨の時期です。多湿が続くと収穫量が少なくなったり、カビによる病気が発生しやすくなります。
葉の表面に小さな白色の斑点が現れる「うどん粉病」や、葉に黄色の斑点が現れ、葉の裏側に白いカビが生える「べと病」などが主な病気ですが、何れも薬剤による治療が可能です。
病気の葉を見つけたら早急に除去し、周辺の雑草なども取り除いて、土の跳ね返りによるカビの付着を防ぐことが大切です。
5.トウガンに発生しやすい病気と害虫
トウガンは、比較的病害虫に強い傾向があります。
ただし、梅雨時期の蒸れによるうどん粉病やべと病、長雨による炭そ病のほか、アブラムシ、ウリハムシの被害を受けることがあります。
うどん粉病やべと病になる原因は、風などによってカビの胞子が運ばれることです。予防法としては肥料を余分に与えないことや、葉が茂り過ぎないように風通しを良くすることが大切です。
炭そ病は、気温と湿度が高いと発生しやすく、風や雨によって感染が広がっていきます。
特に窒素分の多い肥料を与えているときに発生しやすいため、注意が必要です。予防法は、風通しを良くして、水を与える時は葉に水がかからないように根元から与えることが大切です。
病気は市販の薬剤で治療することができますが、蔓延してしまうと薬剤の効果が出にくいため、病気を早期に発見することが重要です。
アブラムシは、ウイルス病を媒介するため寄生すると被害が大きく、場合によっては枯れてしまうこともあります。肥料の窒素が多いと、葉で合成されるアミノ酸が増え、アミノ酸を好むアブラムシが集まってきます。数が少ない場合は、粘着力の弱いテープなどに貼り付けて駆除しますが、大量に発生した場合は木酢液などを使用するとよいでしょう。
ウリハムシは、ウリ科に発生しやすい害虫で、葉を食べて穴だらけにしてしまいます。トウガンが大きく成長した状態ならそれほど問題もありませんが、幼苗期は生育に大きな影響を及ぼします。成虫は8㎜前後の大きさなので直接駆除したり、反射光を嫌う性質があるので銀色の光反射テープを株の周辺に張って予防します。
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