1.トウモロコシの土づくり
トウモロコシの栽培では、よい土づくりが基本になります。
トウモロコシにとってよい土とは、排水性、保水性、通気性、保肥性がよく、微生物がたくさんいる土です。
水はけや通気性が良い土は、水と一緒に新しい酸素が供給され、土の中の二酸化炭素や有害物質を外に排出してくれます。
水もちや肥料もちが良い土は、水分や養分を効率よく供給することができます。
トウモロコシの栽培では、種まきや植え付け前にきちんと土づくりをすることで、病害虫に強い丈夫なトウモロコシを作ることができます。
■分類:イネ科トウモロコシ属
■栽培時期:中間地(関東地域)
種まき4月中旬~5月中旬、植え付け5月上旬~5月下旬、収穫7月中旬~8月中旬
■連作障害:少ない(1~2年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■使用肥料:苦土石灰、完熟堆肥、化成肥料
2.畑の準備
畑の準備について紹介します。
栽培場所を選ぶ
トウモロコシは連作障害が少ない野菜ですが、1~2年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
日当たりと風通しの良い場所を選び、種まきや植え付けの2週間以上前に土づくりを行います。
土を耕す
場所が決まったら除草を行い、クワや剣先スコップを使って、固い土を深さ30~40㎝ほど掘り起こします。
前作の茎や根、マルチフィルム、石などは丁寧に取り除き、土が柔らかくなるまでよく耕します。
3.土壌酸度と苦土石灰
土壌酸度の測定
土を耕したら、土壌酸度を測定します。測定機器や測定キットは、園芸店やインターネットで購入できます。
野菜に適した土壌酸度は、「好適土壌pH」と呼ばれています。
トウモロコシの好適土壌pHは、6.0~6.5です。酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。
苦土石灰
苦土石灰の散布は、種まきや植え付けの2週間以上前までに済ませておきます。
土壌が酸性の場合は、苦土石灰100g/㎡を全面にまいてよく耕します。
苦土石灰は放置すると、雨や土壌中の水分を吸収して固まってしまうので、十分に耕して土となじませます。
4.完熟堆肥と化成肥料
種まきや植え付けの1週間前になったら、完熟堆肥2㎏/㎡、化成肥料100g/㎡を施してよく耕します。
完熟堆肥を施す
完熟堆肥は肥料の一種で、動物の糞やワラ、もみ殻、オガクズなどを完全に発酵させて作ったものです。臭いも少なく扱いやすい「完熟牛ふん堆肥」などがおすすめです。
完熟堆肥のほかに、腐葉土を使うこともできます。腐葉土は落ち葉などが腐ってできた土です。
どちらの場合も土壌微生物の働きで、土をふかふかにしてくれます。
なお、未熟堆肥を使うと発芽不良などが起こりやすく、分解過程でアンモニアガスなどの有害ガスが発生するので注意します。
化成肥料を施す
トウモロコシの生育には肥料が不可欠のため、土づくりの段階で肥料を入れます。
肥料には多くの種類がありますが、家庭菜園では「化成肥料」が手軽でおすすめです。
化成肥料は「8-8-8」のタイプがおすすめで、どんな野菜にも使うことができるので便利です。また、臭いも少なく、粒状で取り扱いやすいという利点があります。
土をクワなどで耕すのが大変な場合は、電動小型耕うん機などが便利です。
家庭菜園では、充電式のコンパクトな家庭用耕うん機も人気です。
5.畝づくりとマルチング
トウモロコシの、畝づくりとマルチング方法について解説します。
畝づくり
トウモロコシの栽培は、元肥を入れて耕した後に畑の土を盛り上げて畝(うね)を作ります。畝を作ることで、水はけと通気性がよくなります。
トウモロコシは、受粉しやすいように2条植え(2列)にします。畝幅は80~100㎝、高さ10~15㎝にします。
畝幅に合わせて2本のロープなどを張り、ロープの外側の土を内側に入れて畝を高くします。盛り上げた土は、レーキなどを使って表面を平らに均しておきます。
マルチング
マルチング(マルチともいう)は、土の表面をポリフィルムなどで覆うことです。
マルチング資材には多くのタイプがあり、地温の調整、乾燥防止、肥料の流出防止、雑草防除、病害防除などの効果があります。
トウモロコシの栽培では、黒マルチがおすすめです。
6.プランター栽培の用土
トウモロコシは、同じ株の花粉では受粉しにくいので、複数の株を育てて人工授粉を行う必要があります。また、草丈が180㎝ほどまで伸びるので、プランター栽培は難易度が高くなります。プランターは大型・深型サイズで2~3株、10号鉢(直径30㎝)で1株が栽培目安となります。
トウモロコシは連作障害があるので、用土は新しいものを使うようにします。
野菜用培養土は、『花・野菜の培養土 ゴールデン粒状培養土配合』『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』などがおすすめで、保水性・通気性・排水性に優れています。
野菜用培養土
プランター栽培では、市販の野菜用培養土を使うと手軽に始めることができます。市販の野菜用培養土には、数種類の用土がブレンドされているので、すぐに使うことができます。
用土を自分で作る場合は、保水性の良い赤玉土を主体にして、腐葉土などの有機物を加え、化成肥料や苦土石灰を入れてブレンドします。
トウモロコシは実もの野菜なので、赤玉土6、腐葉土3、バーミュキュライト1の割合で配合し、用土10ℓあたり苦土石灰10g、化成肥料10~30gを加えてブレンドします。
土のリサイクル
一度使用した土には、病原菌や前作の肥料分などが残っていますので、なるべく新しい土を使用します。
土を再利用する場合は、日光消毒などが必要です。土をビニール袋に入れて、直射日光が当たる場所に数日間置いておくと、土の温度が約80℃まで上がって多くの病原菌が死滅すると言われています。
古い土をすぐに使いたい場合は、古い土に混ぜるだけで再利用可能なリサイクル材も市販されています。
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