1.ピーマン栽培の特徴と時期
ピーマンの育て方手順に沿って、畑やプランターでピーマンを栽培してみましょう!
ピーマンはベランダでも育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。
■分類:ナス科トウガラシ属
■原産地:熱帯アメリカ
■主な旬:6月~10月
■栽培時期:春まき、春植え
種まき:3月~4月、植え付け:5月、収穫:6月~10月
■連作障害:あり(3~4年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:25~30℃
■生育適温:25~30℃
ピーマンの種や苗が買えるお店
ピーマンの種や苗を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
肉厚なピーマンや、多収穫のピーマン、耐暑性があるピーマンなど色々な品種が購入できます。
ピーマンの特徴
ピーマンは、熱帯アメリカが原産地で、唐辛子やパプリカと同じナス科の植物です。
唐辛子を品種改良して辛みを除いたものが、ピーマンやパプリカとなります。
ピーマンは、緑色から赤色まで様々な色を持ち、熟すほど甘味が増します。
スーパーなどで販売されている緑色のピーマンは未熟な状態で収穫され、完熟すると赤くなります。カラーピーマンには赤、黄、オレンジなどのバリエーションがあり、パプリカもその中に含まれます。
ピーマンは緑黄色野菜の一種で栄養価が高く、生食や調理に幅広く使用されます。また、他の具材と組み合わせて詰め物としても利用されます。
ピーマンに含まれるビタミンCは加熱にも比較的強く、壊れにくい特徴があります。また、ピーマンに含まれるピラジンという香り成分は、血液をサラサラにする効果があり、脳血栓や心筋梗塞を予防するとされています。
ピーマンは暑さに強く、病害虫にも比較的強いため、家庭菜園でも人気があり、様々な品種を育てることができます。
ピーマンの栄養素
ピーマンには、βカロテンのほか、ビタミンC、ビタミンE、カリウムなどが多く含まれています。香りのもととなるピラジンは、血液をサラサラにして脳梗塞や心筋梗塞の予防効果があり、カリウムは塩分の排泄を促す働きがあります。
ピーマンの主な品種
ピーマンには、多くの種類があります。
緑色のピーマン:『京みどり』『翠玉2号』『京ひかり』『京ゆたか』『京波』『京鈴』『あきの』『ニューエース』など。
カラーピーマン:『レッドホルン』『イエローホルン』『フルーピーイエロー』『フルーピーレッド』『ワンダーベル』など。
ピーマンの栽培ポイント
・日当たりと水はけのよい場所で栽培する。
・ナス科野菜を3~4年間栽培していない場所を選ぶ。
・低温に弱いので、気温が十分に上がってから苗を植え付ける。
・栽培期間が長いので、肥料切れに注意する。
ピーマンの栽培時期
ピーマンの栽培時期は、品種や地域により異なりますので、種袋やホームセンターなどで確認するようにします。
中間地(関東地域)
種まき:3月上旬~4月下旬、植え付け:5月上旬~5月下旬、収穫:6月中旬~10月中旬
ピーマンの連作障害
ピーマンは連作障害を起こすため、ナス科野菜の連作を避け、同じ場所で栽培する場合は3~4年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出てピーマンの生育に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
プランター栽培では、常に新しい用土を使うことをおすすめします。
ピーマンの好適土壌pH
ピーマンの好適土壌pHは、6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、植え付けの2週間前までに苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。
2.ピーマンの栽培方法(畑・プランター)
ピーマンの栽培は、種をまいて育てる方法と苗を購入して植え付ける方法があります。ピーマンは、育苗に時間がかかるので、家庭菜園では苗の購入がおすすめです。
苗を購入する場合は、病害虫の被害がなく、本葉7~8枚で、蕾か一番花がついているものがよく、葉の緑が濃くて節間が短く、茎が太くてがっしりとした苗を選びます。
畑栽培の場合
畑栽培は、しっかりと土づくりを行い、畝(うね)を作って栽培します。
土づくり
日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付けの2週間前までに苦土石灰100g/㎡を全面にまいてよく耕します。
1週間前に完熟堆肥2~3㎏/㎡、化成肥料100g/㎡を施してよく耕し、幅60~80㎝、高さ10~15㎝の畝を作ります。
畝に黒マルチを張ると、地温効果を高めることができます。
種まき
ピーマンを種から育てる場合は、育苗箱や育苗ポットに種をまき、発芽するまでは25~30℃を維持し、その後もしっかりと温度管理を行うことが重要です。
ポットまきの場合は、3号ポット(直径9㎝)に培養土を入れ、指先で深さ1㎝ほどの窪みを3箇所作り、1粒ずつ種をまきます。周りの土を被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水をたっぷり与えます。
発芽したら本葉3~5枚の頃に1本に間引き、本葉8~10枚の頃に植え付けます。
植え付け
ピーマンの植え付けは、気温が十分に上がり、遅霜の心配がなくなったら晴れた日の午前中に行います。
ポット苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに深植えにならないように植え付けます。株間は50㎝程度にします。植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と根鉢を密着させ、たっぷりと水をあげます。
プランター栽培の場合
プランターは、深さ30㎝以上の大型サイズや10号鉢で1株が栽培目安となります。
用土
ピーマンは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。排水性を良くするため、鉢底石を敷き詰めて野菜用培養土を8分目くらい入れます。
種まき
種から育てる場合は、ポットまきがおすすめです。
ポットまきの手順は、畑栽培と同じです。
植え付け
ポット苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに深植えにならないように植え付けます。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と根鉢を密着させ、たっぷりと水をあげます。
プランターや鉢は、風の弱い日当たりのよい場所で管理します。
3.ピーマンの栽培手入れ
収穫までの主な作業は、水やり、支柱立て、わき芽かき、追肥などです。
水やり
畑栽培では、自然の降雨で足りるので基本的に水やりの必要はありません。
雨が数日間降らないときは、株元や畝の通路にたっぷりと水やりをします。水やりは、朝早くか夕方に行うようにします。夏場の暑い時期は、気温が下がってから水やりをします。
プランター栽培では、土の表面が乾いたら容器の底から水が流れ出るくらい株元にたっぷりと水やりをします。
ピーマンは、根が浅いので水切れを起こしやすくなります。夏場は土の状態を確認して、朝と夕方の2回水やりをするようにします。
支柱立て
ピーマンの苗を植え付けたら、風による倒伏を防ぐため仮支柱を立てます。
仮支柱を立てる場合は、短めの支柱を株元から5㎝ほど離れた場所に斜めに差し込み、茎にひもを8の字にかけて支柱側で結びます。
苗が大きくなったら本支柱に取り替えます。
最初から本支柱を立てる場合は、長さ1.5m程度の支柱を1本用意し、株元から4~5㎝離して垂直に立てます。支柱を立てたら、茎にひもを8の字にかけて支柱側で結びます。ピーマンの成長に伴って実の重みで枝が折れてしまうことがあるので、側枝にも支柱を用意します。
わき芽かき
ピーマンの栽培では、主枝1本と一番花(1番最初に咲く花)のすぐ下にある側枝2本を伸ばす「3本仕立て」が一般的です。
わき芽とは、茎と葉のつけ根から伸びてくる芽のことをいいます。
一番花が咲いたら、一番花のすぐ下の側枝2本を残し、それより下のわき芽はすべて摘み取ります。摘み取った後からもわき芽が出てきますが、これも摘み取ってしまいます。わき芽の摘み取りは、天気の良い日の午前中に行います。
一番果の収穫
ピーマンの一番果(最初につく実)は、株の成長を促すために小さくても早めに収穫します。一番果を残していると、株に負担がかかってしまうので必ず収穫するようにします。
ピーマンの追肥
ピーマンの追肥は、苗を植え付けてから約1か月後に施します。その後は、株の様子を見ながら1か月に1~2回施します。
畑栽培は、株元か畝の肩口付近に化成肥料20~30g/㎡を施し、土と軽く混ぜ合わせます。
プランター栽培は、化成肥料10g程度をプランターの縁にまいて土と軽く混ぜ合わせます。
4.ピーマンの収穫時期
ピーマンの収穫適期
ピーマンは、品種によって収穫時期が異なりますが、開花してから2~3週間後から収穫できます。実の長さが6~7㎝ほどの大きさになったら収穫します。実らせたままにすると株が弱ってきますので、早めに収穫しましょう。ピーマンの枝は折れやすいので、ハサミを使って収穫します。
ピーマンの生育不良
ピーマンは低温に弱いため、種から育てる場合は温度管理をしっかりと行います。
乾燥状態が続くとカルシウム不足になり、実が黒ずんでくることがあります。これは病気ではなく「尻腐れ」という生理障害ですので、株元に水をたっぷりと与えて様子をみます。
病害虫の発生を予防するためには、ナス科の連作を避けて、乾燥や窒素肥料の過多に注意し、日当たりや風通しを良くします。
5.ピーマンに発生しやすい病気
ピーマンは、青枯病、疫病、モザイク病などに注意します。
青枯病(あおがれびょう)
青枯病は、土壌中の細菌による病気で、ピーマンの導管内で増殖するため上部に栄養分が行かなくなります。病原菌は高温下で活発化するため、日中は葉が萎れて気温が低くなる夜間に回復します。これを2~3日繰り返し、やがて株が青いまま枯れてしまいます。
夏の高温期や雨が続く多湿で発生し、連作障害で株が弱っている時も発病します。連作を避け、水はけを良くします。発病した場合は株ごと抜き取って処分します。
疫病(えきびょう)
疫病は、土壌中に生息するカビ(糸状菌)による伝染性の病気で、雨の多い梅雨時に発生しやすく、病原菌がピーマンの体内に侵入して暗褐色の病斑ができ、やがて腐敗して株全体が枯れてしまいます。連作を避け、水はけを良くし、窒素肥料の与え過ぎに注意します。発病した葉や茎は取り除いて、畑の外で処分します。
モザイク病
モザイク病は、ピーマンの葉に緑と黄色の濃淡のある斑紋が現れ、モザイク状に広がっていきます。ウイルスが原因で、主にアブラムシがウイルスを媒介します。モザイク病は薬剤による防除ができないので、アブラムシの飛来を予防し、発病した葉や株は早めに撤去します。
6.ピーマンに発生しやすい害虫
ピーマンは、アブラムシ、オオタバコガなどに注意します。
アブラムシ
アブラムシは体長1~4㎜ほどの害虫で、ピーマンの新芽や葉裏などに寄生し、汁液を吸って加害します。土壌中の窒素成分が多いと発生しやすいので、窒素肥料のやりすぎに注意します。アブラムシは光るものを嫌うので、シルバーマルチを敷くと成虫の飛来を軽減できます。
アブラムシは繁殖力が非常に旺盛なため、早急に発見して捕殺するか、薬剤で駆除します。自然派薬剤には、『ベニカマイルドスプレー』『アーリーセーフ』などがあります。
オオタバコガ
オオタバコガは蛾の仲間で、幼虫がピーマンの果実の中に潜り込んで食害します。6月頃から発生し、果実を食べ尽くすと新しい果実に移動するので、幼虫を見つけて捕殺します。果実内部の幼虫には薬剤が効かないので、防虫ネットで成虫の侵入と産卵を防止します。自然派薬剤には、『ゼンターリ顆粒水和剤』などがあります。
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