カボチャ(南瓜・かぼちゃ)の育て方・栽培方法

カボチャの育て方・栽培方法

1.カボチャの特徴と栽培時期


カボチャの育て方手順に沿って、畑やプランターでカボチャを栽培してみましょう!
カボチャは比較的簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。

カボチャの栽培データ
■カボチャの栽培難易度:普通
■分類:ウリ科カボチャ属
■原産地:南アメリカ
■主な旬:7月~8月
■栽培時期:春まき・春植え
種まき時期:3月~4月、植え付け時期:4月~5月、収穫時期:7月~8月
■連作障害:あり(1~2年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:25~28℃
■生育適温:20~28℃
カボチャの種が買えるお店
カボチャの種を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
西洋カボチャ、日本カボチャ、ペポカボチャなど、色々な品種が購入できます。

カボチャの特徴

カボチャは、南アメリカ原産のウリ科の野菜で、ポルトガル船がカンボジアから日本に持ち込んだことから、「カボチャ」の名前が定着したと言われています。

カボチャは、西洋カボチャ、日本カボチャ、ペポカボチャに分類されています。
西洋カボチャは、果肉が粉質でホクホクして甘みが強く、日本で栽培されているほとんどが西洋カボチャです。
日本カボチャは、水分が多く果肉が粘質でねっとりした風味があり、煮物や天ぷらに利用されています。
ペポカボチャは、果実の形が様々で、味、食感にも特徴があります。

カボチャは栄養価の高い緑黄色野菜で、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンEなどが豊富で、生活習慣病の予防・改善の効果があるとされています。
カボチャは冬至まで保存ができるので、冬場に不足がちなビタミン類を補給してくれるので、風邪の予防にも効果的です。

カボチャは、栽培が比較的簡単で、初心者にも栽培できる人気の野菜です。
ミニサイズの品種を選ぶと、プランターで栽培することもできます。

カボチャの栄養素

カボチャには、β-カロテンをはじめ、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。β-カロテンは、活性酸素を抑えてガンや生活習慣病の予防効果があり、目や粘膜の健康を保ちます。ビタミンCは風邪の予防や疲労回復、カリウムには高血圧の予防効果などがあるとされています。

カボチャの主な品種

カボチャには多くの品種がありますが、育て方はどれも同じです。
①西洋カボチャ:『みやこかぼちゃ』『えびすかぼちゃ』『坊ちゃん』『ロロン』『コリンキー』『雪化粧』『プッチィーニ』『メルヘン』『くり将軍』『ほっこり姫』など。
②日本カボチャ:『菊座かぼちゃ』『鹿ヶ谷』『日向14号』『バターナッツ』『小菊かぼちゃ』など。
③ペポカボチャ:『そうめんカボチャ』『ズッキーニ』など。
④ミニカボチャ:『プッチィーニ』『ほっこり姫』『坊ちゃん』『栗坊』など。

畑のカボチャ

カボチャの栽培ポイント

・遅霜の心配がなくなってから苗を植え付ける。
・つるがよく伸びるので、品種に合わせて整枝・摘芯をする。
・日本カボチャは、本葉5~6枚の頃に親づるを摘芯する。
・人工授粉を行って、確実に結実させる。

カボチャの栽培時期

カボチャは寒さに弱いので、気温が十分に上がってから植え付けをします。
中間地(関東地域)
種まき3月下旬~4月中旬、植え付け4月下旬~5月中旬、収穫7月上旬~8月下旬

カボチャの連作障害

カボチャは連作障害を起こすため、ウリ科野菜の連作を避け、同じ場所で栽培する場合は1~2年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出て生育に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
プランター栽培では、常に新しい用土を使うことをおすすめします。

カボチャの好適土壌pH

カボチャの好適土壌pHは、6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。

2.カボチャの栽培方法(畑・プランター)

肥料

カボチャの栽培は、ポットに種をまいて育苗する方法(ポットまき)と、市販の苗を利用する方法があります。
ポットまきは温度管理が必要となるため、家庭菜園初心者の場合は、市販の苗を購入すると育苗の手間が省けます。
ポット苗は、4月中旬頃に販売されます。本葉3~4枚程度で、茎が太く節間が詰まっていて子葉のついたがっしりとした苗を選ぶようにします。

畑栽培の場合

土づくり

カボチャの栽培は、日当たりと水はけの良い場所を選び、「くらつき」と呼ばれる高さ20㎝ほどの台形状の小山(畝)を作り、そこに苗を1株植え付けます。
植え付けの2週間以上前に、苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいて深く耕します。
1週間前に直径30~40㎝、深さ30㎝ほどの穴を掘って完熟堆肥2kgを入れ、掘り上げた土に化成肥料30g程度をかきまぜて穴に埋め戻します。その後、周りの土を集めて「くらつき」の畝を作ります。このとき、マルチを施して地温を上げておくこともおすすめです。

種まき

カボチャは、直まきすることもできますが、ポットで育苗してから植え付ける方法(ポットまき)がおすすめです。

ポットまきは、3号ポット(直径9㎝)に種まき用土を入れ、指先で1㎝ほどの窪みを2~3箇所作り、種の尖った方を下向きにして1粒ずつ種をまきます。土を1㎝ほど被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させてたっぷりと水やりをします。
発芽するまでは25℃前後で管理し、土の表面が乾いたら水やりをします。
発芽したら本葉2~3枚の頃に生育の弱いものや形の悪いものをハサミで切り取って1ポット1本にします。
苗は、本葉4~5枚の頃が植え付け適期で、遅霜の心配が無くなったら植え付けます。

植え付け

苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに根鉢の肩が土の表面と同じ高さになるように植え付けます。株元に土を寄せて手で軽く押さえて株を安定させ、たっぷりと水やりをします。
植え付け後は、倒伏防止のために仮支柱を立てておくこともおすすめです。

畑栽培では、梅雨に入る前に株元に敷きわらを施し、その後はつるが伸びている方向に合わせて敷きわらを広げていきます。敷きわらを施すと乾燥防止のほか、泥はねによる病害虫の予防や雑草対策になります。

プランター栽培の場合

プランター栽培では、実の重さが600g前後のミニカボチャがおすすめです。
野菜用大型プランター(深さ30㎝以上)や10号鉢(直径30㎝)以上を用意し、1つのプランターに1株を植え付けます。

用土

カボチャは連作障害を起こすので、新しい用土を使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。
排水性を良くするため、プランターの底に鉢底石を敷き詰めて、上部から3㎝下のところまで培養土を入れます。

種まき

種まきから始める場合は、ポットまきがおすすめです。
ポットまきの手順は、畑栽培と同じように行います。

植え付け

苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに根鉢の肩が土の表面と同じ高さになるように植え付けます。株元に土を寄せて手で軽く押さえて株を安定させ、たっぷりと水やりをします。
プランターや鉢は、日当たりと風通しの良い場所で管理します。

プランター栽培では、つるが伸びてきたら支柱を立てて誘引します。
あんどん仕立てがおすすめで、長さ1mほどの支柱3~4本とひもを用意し、つるが折れないように支柱へ誘引してひもで固定します。

3.カボチャの栽培手入れ

水やり

収穫までの主な作業は、水やり、追肥、整枝、人工授粉などです。

水やり

畑栽培は、苗を植え付けてから根付くまでの間は、土が乾燥しないように水やりをします。その後は自然の降雨で足りるので、基本的に水やりの必要はありません。雨が何日も降らないようであれば、土の状況を確認して水やりをします。

プランター栽培は、苗が根付くまでの間はしっかりと水を与えます。
その後は、土の表面が乾いたら容器の底から水が流れ出るまでたっぷりと水やりをします。

追肥

カボチャは、一番果(最初につく果実)が大きくなりはじめた頃に追肥をします。以後は、2週間ごとに同量を追肥します。
肥料のやりすぎは禁物ですので、葉の色が濃い場合や、つるの生育が旺盛なときは追肥を控えて様子を見ます。
畑栽培は、株元から少し離れた場所やつるの先端周辺に化成肥料30g/㎡を施し、土と肥料を軽く混ぜ合わせます。
プランター栽培は、プランターの縁に化成肥料10g程度をまき、土と肥料を軽く混ぜ合わせます。

整枝・摘芯

カボチャはつるを放任すると葉が茂ってしまい、実つきが悪くなるので不要なつるを摘芯します。栽培する品種によって実の付き方が異なるので、種袋の記載事項を確認します。
プランター栽培は、親づる1本を伸ばして栽培すると管理が楽になります。

日本カボチャは、本葉5~6枚の頃に親づるの先端を摘芯し、勢いのある子づるを2~3本伸ばします。子づるに実ができたら、実の先の葉を2枚残して先端部を摘芯します。それ以外の余分なつるやわき芽は、全部取り除きます。
西洋カボチャは、親づると子づるに実を付けるので、親づる1本と子づる1本を伸ばします。それ以外の余分なつるやわき芽は、全部取り除きます。

人工授粉

カボチャは自然にまかせると結実しにくいので、人工授粉によって確実に結実させます。カボチャは、同じ株に雌花と雄花が咲きますが、雌花は花弁の下に小さな丸い実が付いています。
人工受粉は、その日に咲いた雄しべを使い、雌しべに軽く押し付けます。気温が上がってくると花粉の受粉能力が下がるので、花がしぼまない午前9時頃までに行います。
また、受粉した日付をラベルに書いて雌花に付けておくと収穫日の目安になります。

4.カボチャの収穫時期

カボチャの収穫

カボチャの収穫時期は、7月上旬~8月下旬です。
西洋カボチャは受粉してから40日~45日、日本カボチャは受粉してから25日~30日経過したら収穫ができます。皮の表面が硬くなり、ヘタの部分が細かく割れてコルク状になってきたら収穫適期です。
収穫の際は剪定用のハサミを使い、ヘタの部分から切り取ります。ヘタは硬いのでケガをしないように注意します。

収穫したカボチャは、風通しの良い日陰の場所で2~3週間ほど置いて乾燥させます。
乾燥によって切り口から腐るのを防ぐとともに、デンプンが蓄積されて甘みも増してきます。

5.カボチャに発生しやすい病気

カボチャの葉のモザイクウイルス病

カボチャは、「うどんこ病」や「べと病」などが発生しやすいので注意します。

うどんこ病

うどんこ病はカビによる病気で、葉にうどん粉を振りかけたような白い斑点が現れます。病気が進行すると、光合成ができなくなって葉が枯れてしまいます。
カビは空気が乾燥した環境を好むため、空梅雨や雨が少ない年に多発します。
株が軟弱に育つと発生しやすいので、窒素過多にも気をつけます。
株間を十分に取り、日当たりや風通しを良くし、発病した葉は切り取って畑の外に撤去処分します。

べと病

ベと病はカビによる病気で、葉に黄色い斑点ができて、やがて下の方から枯れてしまいます。梅雨の時期など、水分が多くて蒸れやすいと発生しやすくなります。水はけを良くし、多湿にならないようにします。胞子が飛び散って伝染するため、発病した場合は畑の外に搬出して処分します。

モザイク病

モザイク病は、野菜や草花など多くの植物に発生します。葉に濃淡のある緑や黄色などモザイク状の模様が出て、葉が縮む病気です。アブラムシ類の媒介により伝染します。モザイク病は、主にアブラムシがウイルスを運ぶのでアブラムシの防除を行います。

疫病(えきびょう)

疫病は、土壌中に生息するカビによる病気で、降雨などの泥はねによって葉や茎、果実に発生します。葉には、水が浸みたような暗褐色の病斑ができます。果実は、白⾊のかびが表面を覆い、やがて軟化して腐敗します。
長雨が続いたときや水はけが悪い畑で発生しやすいので、水はけを良くし、敷きわらなどで泥はねを抑えます。

6.カボチャに発生しやすい害虫

カボチャは、「アブラムシ」や「ウリハムシ」などが発生しやすいので注意します。

アブラムシ

アブラムシは、ほとんどの野菜に発生する体長2~4㎜ほどの害虫で、葉の裏や芽の先に寄生して汁液を吸収し、ウイルス病を媒介します。アブラムシは、回復手立てのないウイルス病を媒介するので、見つけ次第ガムテープなどで捕殺します。

ウリハムシ

ウリハムシは、体長7㎜ほどの小さな虫で、カボチャ、キュウリ、スイカなどウリ科の野菜の葉を食害します。葉を円弧状に食害して穴をあけてしまうので、多発すると成長が悪くなり、株が枯れてしまうこともあります。苗の植え付け直後から寄ってくるので、動きが鈍い午前中に見つけて捕殺します。

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