キャベツ(きゃべつ)の育て方・栽培方法

キャベツ畑

1.キャベツの特徴と栽培時期


キャベツの育て方手順に沿って、畑やプランターでキャベツを栽培してみましょう!
キャベツは結球野菜のため、栽培難易度がやや高くなります。家庭菜園初心者の場合は、秋に苗を植え付ける方法がオススメです。

キャベツの栽培データ
■キャベツの栽培難易度:普通
■分類: アブラナ科アブラナ属
■原産地:ヨーロッパ
■主な旬:4月~7月、11月~12月
■栽培時期:春まき・夏まき・秋まき(春植え・夏植え・秋植え)
春まき栽培:種まき2月~3月、植え付け3月~4月、収穫6~7月
夏まき栽培:種まき7月~8月、植え付け8月~9月、収穫11月~12月
秋まき栽培:種まき10月、植え付け11月、収穫4月~5月
■連作障害:あり(2~3年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:15~20℃
■生育適温:15~25℃

キャベツの種が買えるお店

キャベツの種を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
極早生のキャベツや、暑さに強いキャベツ、葉質が軟らかいキャベツなど、色々な品種のキャベツが購入できます。

キャベツの特徴

キャベツは、ヨーロッパ原産の野菜で、世界最古の野菜のひとつといわれています。日本では明治時代に試験栽培が行われ、現在は季節に合わせて多くの品種が出回っています。

キャベツは、もともと冷涼な気候を好む野菜ですが、品種改良によって春・夏・秋の3回収穫ができるようになりました。収穫時期によって、春キャベツ、夏キャベツ、冬キャベツとも呼ばれています。

キャベツは、ビタミンCやミネラル類を豊富に含み、キャベツから発見された「キャベジン」は胃腸薬としてよく知られています。
キャベツは生食のほか、いろんな料理に幅広く利用されていてダイエットにも最適な野菜です。ビタミン類を効率よくとるには、生で食べるのが一番です。

キャベツは、1年中栽培することができますが、家庭菜園初心者の場合は、夏まき栽培や秋まき栽培が適しています。
キャベツは、市販の苗を利用すると手軽に始めることができ、ミニ品種を利用すればプランターで栽培することもできます。

キャベツの栄養素

キャベツには、βカロテン、ビタミンC、ビタミンU、ビタミンK、カリウム、食物繊維などが多く含まれています。ビタミンCは、免疫力を高めて風邪の予防や疲労回復、美肌効果などがあるとされています。
ビタミンUは、「キャベジン」ともいわれる成分で、胃潰瘍の予防・改善に効果があることで知られています。
また、キャベツに含まれる「イソチオシアネート」という成分には、胃の病気の原因となるピロリ菌の殺菌効果や、がんの予防効果などがあると言われています。

キャベツの主な品種

キャベツの品種は、約60種類ほどあると言われています。栽培時期と地域にあったものを選ぶようにします。「YR」は萎黄病に強い品種です。
『春波』『YR春空』『金系201号』『新藍』『このみ姫』『ミニックス40』など。

ミニキャベツ

最近は、一般的なキャベツのおよそ半分の500~800gのミニキャベツが人気です。株間20~25㎝で栽培ができることや、植え付け後約40~50日で収穫できるため、ベランダ栽培に最適です。深さ30cm以上の大型プランターで、2株が目安です。
『このみ姫』『ミニボール』『ミニックス40』『甘乙女』など。

キャベツ

キャベツの栽培ポイント

キャベツは、春に植えると害虫の被害が多く、暑さにも弱いことから栽培難易度は高くなります。
初心者の場合は、秋に植え付けを行うことをおすすめします。

ポイント
・日当たりが良く、水はけのよい環境で栽培する。
・アブラナ科野菜を2~3年間栽培していない場所を選ぶ。
・地域と栽培時期に合った品種を選ぶ。
・早期に防虫ネットを張り、害虫被害を予防する。

キャベツの栽培時期

栽培時期は、品種や地域によって異なりますので、種袋やホームセンターなどで確認するようにします。
中間地(関東地域)
春まき栽培:種まき2月~3月、植え付け3月~4月、収穫6月~7月
夏まき栽培:種まき7月~8月、植え付け8月~9月、収穫11月~12月
秋まき栽培:種まき10月、植え付け11月、収穫4月~5月

キャベツの連作障害

キャベツは連作障害を起こすため、同じ場所で栽培する場合は2~3年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
毎年、同じ場所に同じ科の野菜を栽培することを「連作」と言いますが、連作すると生育障害や病害虫が発生します。
プランター栽培では、常に新しい土を使うことをおすすめします。

キャベツの好適土壌pH

キャベツの好適土壌pHは、6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。

2.キャベツの栽培方法(畑・プランター)

肥料

キャベツは、種から育てると温度管理が難しいので、栽培初心者の場合は、園芸店やホームセンターなどで苗を購入して植え付けると簡単です。
苗は、本葉5~6枚で茎が太く、節間が詰まった葉の緑色が濃いものを選び、病害虫の有無もチェックします。

畑栽培の場合

キャベツの栽培は、しっかりと土づくりを行うことが基本です。

土づくり

日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付けの2週間前までに苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
植え付けの1週間前になったら、畝を立てる場所の中央にクワを使って深さ20~30㎝、幅15㎝ほどの溝を掘ります。溝の中に、完熟堆肥2㎏/㎡、化成肥料100g /㎡を均等に施し、掘り上げた土を埋め戻してから、幅60㎝、高さ10~15㎝の畝を作ります。

種まき

種から育てる場合は、栽培時期にあう品種を選び、育苗ポットに種をまきます。
3号ポット(9㎝径)に培養土を入れ、指先で深さ1㎝ほどの窪みを3箇所作り、1粒ずつ種をまきます。
周りの土を薄く被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水をたっぷり与えます。
発芽するまでは、乾燥させないように管理します。
発芽したら本葉2枚の頃までに生育の弱いものや形の悪いものを間引き、1ポット1株にして育苗します。
本葉5~6枚になったら、畑に植え付けます。

植え付け

苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに根鉢の肩が土の表面と同じ高さになるように植え付けます。株間は、40~45㎝程度にします。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて株を安定させ、たっぷりと水をあげます。

プランター栽培の場合

プランターは大型サイズで2株、10号鉢(直径30㎝)で1株が栽培目安となります。
種から育てることができますが、栽培する株が少ないときは、市販の苗を利用すると簡単です。ミニサイズの品種は重さ600g前後で、植え付け後40日ほどで収穫できるのでおすすめです。

用土

キャベツは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。
排水性を良くするため、鉢底石をプランターの底に敷き詰めて、野菜用培養土を6~7分目ほど入れます。

種まき

種まきから始める場合は、育苗ポットに種をまきます。3号ポット(9㎝径)に培養土を入れ、指先で深さ1㎝ほどのくぼみを3箇所作り、1粒ずつ種をまきます。まわりの土を薄く被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水をたっぷり与えます。
発芽するまでは、乾燥させないように管理します。
発芽したら本葉2枚の頃までに生育の弱いものや形の悪いものを間引き、1ポット1株にして育苗します。
本葉5~6枚になったら、プランターに植え付けます。

植え付け

苗を植え付ける際は、ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに根鉢の肩が土の表面と同じ高さになるように植え付けます。植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて株を安定させ、たっぷりと水をあげます。
害虫の被害を少なくするため、防虫ネットは植え付け直後に速やかに掛けるようにします。
プランターや鉢は、日当たりと風通しの良い場所で管理します。

3.キャベツの栽培手入れ

水やり

キャベツを大きく育てるために、水やりと追肥が必要です。
収穫までの主な作業は、水やり、追肥、防虫ネットなどです。

キャベツの水やり

畑栽培は、苗が根付くまでの間は土の表面が乾かないように水やりをします。
活着してからは自然の降雨で足りるので、基本的に水やりの必要はありません。雨が降らないようであれば乾燥に注意し、水やりをします。
プランター栽培は、苗が根付くまでの約1週間はたっぷりと水を与えます。その後は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
頻繁に水をあげすぎると根が過湿状態になり生育不良を起こすので水のやりすぎに気を付けます。

キャベツの追肥・土寄せ

キャベツの栽培では、追肥や土寄せも重要です。追肥は、種袋の表記に沿って施すようにします。
畑栽培は、植え付けから約2~3週間後に化成肥料30g/㎡を株の周りにまき、土と肥料を軽く混ぜて株元に土寄せをします。
2回目は、結球が始まる頃に同量を株元から離して施し、土と肥料を軽く混ぜて株元に土寄せをします。
プランター栽培は、植え付けから約2~3週間後に化成肥料10g程度をプランターの縁にまき、軽く土と混ぜ合わせて株元に土寄せをします。
2回目は、結球が始まる頃に同量をプランターの縁にまき、軽く土と混ぜ合わせて株元に土寄せをします。
肥料を施すときは、広がった葉を持ち上げて肥料が葉にかからないように注意します。

防虫ネット

キャベツは、アブラナ科の害虫であるアブラムシやアオムシなどの被害を受けやすくなります。
害虫の被害を少なくするため、防虫ネットや寒冷紗を掛けて虫の飛来と産卵を防ぐことが重要です。
防虫ネットは、種まきや植え付け直後に速やかに掛けるようにします。苗に害虫が付いていないことを確認することも大切です。

4.キャベツの収穫時期

キャベツ

キャベツの収穫適期

キャベツは、種まきから約90~100日後に収穫することができます。
葉が重なり合って球状になることを「結球」と言いますが、結球部分を手で押してみて硬く締まっていたら収穫適期です。
収穫作業は、早朝~午前中に行います。球が小さくてもそれ以上は大きくならないので、硬く締まっていれば収穫します。

収穫の際は、外葉を広げて1~2枚残し、株元に包丁を入れて切り取ります。
収穫適期を過ぎると「裂球」したり、味が落ちてしまうので注意しましょう。

裂球(れっきゅう)

キャベツは、生育の途中で球が割れることがあります。キャベツは外側の葉から丸くなり、内側に新しい葉がどんどんと出来てきます。外側の形が追いつかない間に内部の葉が成長すると、外側の葉を突き破って球が割れてしまいます。これを「裂球」と言いますが、適期になったら早めに収穫するようにします。

とう立ち

秋まきの場合は、春にとう立ちしやすくなります。キャベツは低温にさらされることで花芽の形成が始まり、春に急成長してつぼみをつけるため茎が伸びてきます。これを「とう立ち」と言いますが、とう立ちすると味にえぐみが出てしまいます。
とう立ちを起こしにくい品種や地域にあった品種を選び、適期に種まきをします。

5.キャベツに発生しやすい病気

キャベツの病気

キャベツの病気は、降雨が多い年に発生しやすいので注意します。

菌核病(きんかくびょう)

菌核病は、結球期に発生することが多いので注意が必要です。発病すると茎や葉が水浸状に褐色してドロドロに腐敗します。軟腐病のような悪臭はありません。
菌核病を予防するためには、連作を避け、水はけの良い畝を作り、ワラなどを敷いて泥はねを防ぐことが大切です。
窒素肥料の過多にも注意し、発病したらすぐに株全体を抜き取り、病気の拡大を防ぐため畑の外に撤去処分します。

黒腐病(くろぐされびょう)

黒腐病は、土壌中の細菌によって起こる病気で、春と秋に比較的気温が低く、降雨が多い年に発生しやすくなります。
雨や泥はねによって、細菌が葉の傷口部分や害虫による食害痕などから侵入します。
発症すると、葉の先端部から中心に向かって黄色の病斑を生じ、やがて褐色となって葉が破れやすくなります。
アブラナ科作物の連作を避け、畝の排水をよくします。窒素過多にも注意し、害虫防除も徹底します。発病した株は、すぐに抜き取って撤去処分します。

軟腐病(なんぷびょう)

台風などの泥はねによって、土壌中の細菌が葉の傷口から侵入します。病気が拡大すると地際部などがドロドロに腐敗し、独特の悪臭を放ちます。
高温多湿の時期に多発するため、高畝にして排水性をよくし、ワラなどを敷いて泥はねを防ぎます
アブラナ科作物の連作を避け、窒素肥料の過多にも注意します。発病株は早期に抜き取り、撤去処分します。

萎黄病(いおうびょう)

土壌中の病原菌が、根の傷口などから侵入して道管部で繁殖します。病気が進行すると、葉の生育が停止して黄色くなり、やがて葉が枯れてしまいます。
アブラナ科作物の連作を避けます。発病した株は、早期に抜き取り撤去処分します。

根こぶ病

根こぶ病は、根に大小のこぶができる病気です。晴天の日中は葉が萎れて、夕方に回復することを繰り返し、やがて株全体が枯れてしまいます
土壌水分の多い畑で多発するため、畝作りの段階で排水性を良くします。
アブラナ科野菜の連作を避け、酸性土壌の場合は、植え付けの2週間以上前に苦土石灰を施します。発病した株は、早めに抜き取って撤去処分します。

6.キャベツに発生しやすい害虫

キャベツはアブラナ科の野菜のため、害虫被害に特に注意します。

アオムシ

アオムシは、モンシロチョウの幼虫で、アブラナ科の野菜を好んで食害します。モンシロチョウは1年で5~6回産卵し、孵化したアオムシは食欲旺盛で、キャベツの葉をレース状に食べ尽くしてしまいます。葉の光合成ができないため成長が止まり、結球できなくなります。窒素肥料が多い株に産卵されやすいので、窒素肥料の与え過ぎに注意します。
苗の植え付け直後に、防虫ネットや寒冷紗で覆うことが重要です。ネットに隙間がないかどうかもよく確認し、アオムシを見つけたら捕殺します。
コンパニオンプランツとして、レタスやシュンギクを混植することも効果があります。

アブラムシ

アブラムシは、体長1~4㎜ほどの害虫で、茎や葉に集団で寄生し、口針を刺しこんで植物の汁を吸収します。モザイク病やウイルス病に感染した植物を吸汁した際に体内にウイルスを取り込み、健康な植物にウイルスを媒介します。窒素肥料のやりすぎに注意します。
アブラムシの飛来を防ぐには、0.8㎜以下の目の細かい防虫ネットで覆うか、キラキラテープを張って飛来を防御する方法も効果があります。
繁殖力が非常に旺盛なため、見つけたら早急に捕殺するか、殺虫剤を株全体に散布して駆除します。

コナガ

コナガは、蛾の仲間で、幼虫が葉の内部に潜り込んでキャベツの葉肉を食害します。繁殖力が強く、農薬にも強いため、放置すると多発して野菜を食い尽くしてしまいます。窒素肥料が多い株に産卵されやすいので、窒素肥料の与え過ぎに注意します。
防虫ネットで産卵を防げますが、葉が被覆資材に触れていると外側から産み付けられてしまうので、こまめにチェックします。
アブラナ科の雑草にも飛来するので、除草もしっかり行います。

ヨトウムシ

ヨトウムシは、ヨトウ蛾の幼虫です。成虫は夜間に産卵し、数百個の卵を葉に産み付けます。
幼虫は集団で行動し、一晩で野菜を食い尽くしてしまう害虫です。苗の植え付け時に、防虫ネットで覆うと産卵の被害を抑えることができます。雑草防除も効果がありますので、しっかりと行います。
葉の裏をこまめに観察して、卵や幼虫を見つけたら潰して駆除します。大きくなった幼虫は、日中は株元の地面に潜って隠れているので発見が困難ですが、株元を割りばしで掘ってみて捕殺する方法もあります。

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