1.キュウリの特徴、栽培時期
キュウリの育て方手順に沿って、畑やプランターでキュウリを栽培してみましょう!
キュウリは栽培期間も短いので、家庭菜園で栽培するのにもオススメの野菜です。
■分類:ウリ科キュウリ属
■原産地:インド北部ヒマラヤ山脈
■主な旬:6月~8月
■栽培時期:春まき・春植え
春まき栽培:種まき3月~4月、植え付け4月~5月、収穫:6月~8月
■連作障害:あり(2~3年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:25~30℃
■生育適温:20~25℃
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キュウリの特徴
キュウリは、インド・ヒマラヤ山麓が原産地とされ、日本には10世紀頃に中国から伝わり、品種改良によって多くの品種が栽培されています。
キュウリは夏の季節に欠かせない野菜で、シャキッとした歯切れの良さとさわやかな香りが食欲を増進させてくれます。
キュウリは生育が非常に早く、種まきから収穫までの期間が約2か月と短いことが最大の特徴です。
また、時期をずらして種をまくと、長く収穫を楽しむことができます。
キュウリは寒さや病気に弱く、種から育てると育苗に1か月ほどかかるので、栽培初心者の場合は市販の苗を購入して植え付けると育苗の手間が省けます。
キュウリは栽培に少し手間がかかりますが、ミニサイズの品種を選んでプランターで栽培することもできます。
キュウリの栄養素
キュウリは、栄養価はあまり高くありませんが、利尿作用のあるカリウムを多く含み、β-カロテン、ビタミンC、食物繊維なども含まれています。
カリウムは、体内の余分な塩分を排出してくれるので、高血圧の予防効果もあるとされています。
キュウリの主な品種
キュウリには多くの品種があり、ミニサイズの品種も販売されています。
『フリーダム』『よしなり』『味さんご』『シャキット』『夏のめぐみ』『Vアーチ』『VR夏すずみ』『さつきみどり』『四川きゅうり』『ピノキオ』『ミニQ』など。
キュウリの栽培ポイント
・日当たりと水はけのよい場所で栽培する。
・ウリ科野菜を2~3年間栽培していない場所を選ぶ。
・摘葉や摘芯を行って風通しを良くする。
・水切れ、肥料切れ、病害虫に注意する。
キュウリの栽培時期
キュウリの栽培時期は、品種や地域により異なりますので、種袋やホームセンターなどで確認するようにします。
中間地(関東地域)
春まき栽培:種まき3月下旬~4月中旬、植え付け4月下旬~5月中旬、収穫6月上旬~8月上旬
キュウリの連作障害
キュウリは連作障害を起こすため、ウリ科野菜の連作を避け、同じ場所で栽培する場合は2~3年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出てキュウリの生育に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
プランター栽培では、常に新しい用土を使うことをおすすめします。
キュウリの好適土壌pH
キュウリの好適土壌pHは、6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、植え付けの2週間以上前までに苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。
2.キュウリの栽培基本(畑・プランター)
キュウリの栽培は、種をまいて育てる方法と苗を購入して植え付ける方法があります。栽培初心者の場合は、連作障害や病害虫に強い「接ぎ木苗」を購入して植え付ける方法がおすすめです。苗を購入する場合は、本葉3~4枚で節間が短くて茎が太く、葉に傷みや病気が無いものを選びます。
畑栽培の場合
畑栽培は、しっかりと土づくりを行い、畝(うね)を作って栽培します。
土づくり
日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付けの2週間前までに苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
1週間前に完熟堆肥3~4㎏/㎡、化成肥料100~150g/㎡を施してよく耕し、幅60㎝、高さ10~15㎝の畝を作り、黒色のマルチシートを張ります。
種まき
キュウリの種まきは、畑に直接種をまく方法(直まき)とポットに種をまいて育苗する方法(ポットまき)ができます。
種まきはポットまきがおすすめで、3月下旬~4月中旬に種をまいてビニールトンネルなどに入れて25℃前後で温度管理します。
ポットまきの場合は、3号ポット(直径9㎝)に培養土を入れ、指先で深さ1㎝ほどの窪みを2~3箇所作り、1粒ずつ種をまきます。
周りの土を薄く被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水をたっぷり与えます。
発芽したら2本に間引き、本葉1枚の頃に1本立ちにし、本葉3~4枚の頃に畑に植え付けます。
植え付け
ポット苗を植え付ける際は本葉3~4枚の丈夫な苗を選びます。ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに地表面から少し出る程度の浅植えにします。株間は、50㎝程度にします。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と密着させ、たっぷりと水をあげます。植え付け後に仮支柱を立てて株を支えると株が安定し、倒伏防止ができます。
また、株元に敷きわらを施すと、雨による泥はねと乾燥防止になります。
プランター栽培の場合
プランターは大型サイズ(深型)で2株、10号鉢(直径30㎝)で1株が栽培目安となります。
種から育てることができますが、市販の苗を利用すると育苗の手間が省けます。プランター栽培では、長さ10㎝程度のミニ品種がおすすめです。
用土
キュウリは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。
排水性を良くするため、鉢底石をプランターの底に敷き詰めて、野菜用培養土を8分目くらい入れます。
種まき
種から育てる場合は、ポットまきがおすすめです。
ポットまきの手順は、畑栽培と同じです。
植え付け
ポット苗を植え付ける際は本葉3~4枚の丈夫な苗を選びます。ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに地表面から少し出る程度の浅植えにします。株間は、40㎝程度にします。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と密着させ、たっぷりと水をあげます。仮支柱を立てて株を支えると、倒伏防止ができます。
プランターや鉢は、風の弱い日当たりのよい場所で管理します。
3.キュウリの栽培手入れ
収穫までの主な作業は、水やり、支柱立て、追肥、わき芽かき、摘葉などです。
水やり
畑栽培では、自然の降雨で足りるので基本的に水やりの必要はありません。
雨が降らず乾燥が続くときは、株元にたっぷりと水やりをします。
水やりは、朝早くか夕方に行うようにします。夏場の暑い時期は、気温が下がってから水やりをします。
プランター栽培では、土の表面が乾いたら容器の底から水が流れ出るくらい株元にたっぷりと水やりをします。
水のやりすぎや、夜間の水やりは「徒長」の原因になるので、水やりは朝の時間帯に行います。
支柱立て
つるが伸びてきたら支柱を立てて、茎が折れないように麻ヒモで8の字に支柱に固定します。
支柱の立て方は様々ですが、畑で多く栽培する場合は合掌型が適しています。合掌型は、長さ2mほどの支柱を上のほうで斜めに交差するように立てて上部をヒモで縛り、さらに支柱を横に1本渡してヒモで固定します。
また、支柱にネットを張ると、巻きひげが絡みやすくなります。
追肥
キュウリの追肥は、苗を植え付けて2週間後に株の周りに施します。その後は、株の様子を見ながら2週間に1回の頻度で畝の両わきやプランターの縁に施します。
畑栽培は、化成肥料20~30g/㎡を施し、土と軽く混ぜ合わせます。クワを使う場合は、キュウリの根は浅く広く張るので、根を傷めないように注意します。
プランター栽培は、1株当たり化成肥料5g程度を株の周りやプランターの縁にまいて土と軽く混ぜ合わせます。根が地表に出ていたら、根が隠れる程度に培養土を入れて平らにならします。
わき芽かき
キュウリの生長を促すために不要なわき芽を取り除くことを「わき芽かき」と言います。
植え付けから約1か月後に、株元から5節目以下のわき芽や雌花は全部摘み取ります。親づるに付いている葉と子葉(双葉)は残すようにします。
親づるが伸びて背丈を越えるようになったら、手の届く高さで親づるの先端を摘芯し成長を止めます。6節目より上の子づるは、葉を2枚残して先端を摘芯します。孫づるは放任しますが、込み合ってきたら摘葉します。
摘葉
キュウリは、株が生長してくると下の葉が古くなって枯れてきます。枯れた葉は病気の原因になるので早めに摘み取るようにします。また、重なり合っている葉や風通しを悪くしている葉も切り取ります。
日当たりや風通しをよくすることで株の生長を促し、病害虫の被害を予防します。一度に大量の葉を摘葉すると株を弱めてしまうため、1回の摘葉は1株当たり3枚を限度にします。
4.キュウリの収穫時期
キュウリの収穫時期は、6月上旬~8月上旬が適期で、開花後10日ぐらいで収穫ができます。
最初の2~3個の果実は株が小さな時期につきますが、株を疲れさせないために早採りします。それ以後は長さ15~20㎝(ミニサイズの品種は10㎝程度)になったら、ヘタの部分をハサミで切って順次収穫します。
一旦収穫が始まると雌花の開花スピードが上がり結実も早くなるので、収穫が遅れないように注意し、追肥も施すようにします。また、果実をつけたままにしておくと、皮が硬くなって味が悪くなり、株が疲れて実付きも悪くなるので早めに収穫します。
生育障害
キュウリは生育が早いので、水不足と肥料不足に注意し、水はけと日当たりを良くします。
生育不良によって、曲がり果、尻細り果などができることがあります。
これらの不良果は、日照不足、株の老化などで発生するため、追肥と摘葉を適度に行い、樹勢を回復させるようにします。
曲がり果
水分不足のほか、肥料切れ、日照不足などで葉に病気が発生し、葉の機能が低下したり、株が老化したときに発生しやすくなります。極端な摘葉や摘芯を避け、肥料切れに注意し、早めの追肥を行って樹勢を維持するようにします。乾燥が続くようなら、たっぷりと水やりをします。
尻細り果
高温や乾燥状態が続いたり、一つの株に多くの果実が着果していると株の負担が大きくなり、栄養状態が低下して発生が多くなります。
5.キュウリに発生しやすい病気
キュウリは、うどんこ病、べと病、炭疽病などに注意します。
うどんこ病
うどんこ病は、葉の表面にうどん粉を振りかけたような白い斑点を生じ、症状が進むと葉全体が白くなります。白い粉の正体はカビで、湿度が低く乾燥ぎみの時に発生しやすくなります。
葉やつるが繁茂してきたら、摘葉や摘芯を行い、日当たりと風通しを良くして対処します。窒素肥料が多いと発病しやすいので、追肥にも気をつけます。
発病した葉は切り取って畑の外に持ち出して処分します。持ち出す際は、健全な葉に粉が飛散しないように注意します。
発生初期の薬剤には、『ベニカマイルドスプレー』『アーリーセーフ』『カリグリーン』『ベニカグリーンVスプレー』などがあります。
べと病
べと病はカビによる病気で、低温多湿の梅雨の時期に多く発生します。葉の表面に小さな淡黄色の斑点が現れ、角型になるのが特徴です。葉の裏側には、すす状のカビや白いカビが生えます。
長雨や水分が多い環境で伝染するため、水はけを良くし、摘葉や摘芯を行って日当たりと風通しを良くします。窒素肥料の過多、肥料切れにも注意します。また、株の上部からの水やりを避け、敷きワラを施して雨や水による泥はねを防止します。被害のあった葉や株は伝染源となるため、畑の外に持ち出して処分します。
発生初期の薬剤には、『サンボルドー』『ダコニール1000』などがあります。
炭疽病(たんそびょう)
炭疽病はカビによる病気で、葉、茎、果実に発生します。葉に黄褐色の円形の病斑ができ、葉の中央部が裂けて穴があきます。茎や果実には、黄褐色のへこんだ病斑ができます。気温がやや高い梅雨時に病気が拡大しやすくなります。
水はけ、風通しをよくし、窒素肥料の多用を避け、敷きワラを施して泥はねを防止します。被害にあった葉や株は、畑の外に持ち出して処分します。
発生初期の薬剤には、『ダコニール1000』などがあります。
つる割病
つる割病は、土壌中に生息している病原菌が根から侵入して導管(水の通る組織)を侵す病気です。
株全体にまん延するため、昼間はしおれて夜に回復することを繰り返し、ひどい場合は株が枯死します。夜に回復するため発見が遅れ、水や肥料のやりすぎと勘違いすることもあります。
連作を避け、苗を購入する際は「接ぎ木苗」を選びます。被害のあった株は抜き取り、畑の外に持ち出して処分します。
モザイク病
モザイク病は、キュウリの葉に黄単色の斑紋が現れ、モザイク状に広がっていくことからこの名がついています。モザイク病にかかった植物の汁を吸ったアブラムシがウイルスを媒介します。
モザイク病は、一度感染すると薬剤による治療ができないため、アブラムシの飛来を予防します。雑草防除や風通しを良くすることも大切です。
6.キュウリに発生しやすい害虫
キュウリは、アブラムシ、ウリハムシ、ハダニなどに注意します。
アブラムシ
アブラムシは体長1~4㎜ほどの害虫で、口針を刺しこんで葉や茎の汁を吸収し、モザイク病などのウイルスを媒介します。
アブラムシは、土壌中の窒素成分が多いと発生しやすいので、窒素肥料のやりすぎに注意します。アブラムシが通れないくらい目の細かい防虫ネットをかけて、飛来を防止します。繁殖力が非常に旺盛なため、発生したら早急に捕殺するか、『ベニカマイルドスプレー』『アーリーセーフ』『ベニカベジフルVスプレー』などの殺虫剤を株全体に散布して駆除します。
ウリハムシ
ウリハムシは体長8㎜ほどの甲虫で、株元の土中に卵を産み付けます。ふ化した幼虫は根を食害し、7月頃に新しい成虫となって現れます。
成虫は、体を回転させながら葉を食害するため、葉の表面に円形の食害痕が残るのが特徴です。日中は動きが活発なので、気温の低い午前中に成虫を見つけて捕殺します。発生初期の薬剤には、『マラソン乳剤』『ベニカベジフルスプレー』などがあります。
ハダニ
ハダニは体長0.5㎜ほどのクモの仲間で、葉の裏に生息して葉を吸汁します。吸汁された箇所にカスリ状の白い小斑点が現れ、多発すると無数の白い斑点ができて葉が枯れてしまいます。
ハダニは、梅雨明け以降に急激に繁殖するので、入梅前にポリマルチを敷きわらに取り替え、夏期は適度に水やりをします。また、摘葉、摘芯を適時に行い、風通しをよくします。
発生初期の薬剤には、『ベニカマイルドスプレー』『アーリーセーフ』などがあります。
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