1.ナスの土づくり
ナスの栽培では、よい土づくりが基本になります。
ナスにとってよい土とは、排水性、保水性、通気性、保肥性がよく、微生物がたくさんいる土です。
水はけや通気性が良い土は、水と一緒に新しい酸素が供給され、土の中の二酸化炭素や有害物質を外に排出してくれます。
水もちや肥料もちが良い土は、水分や養分を効率よく供給することができます。
ナスの栽培では、苗の植え付け前にきちんと土づくりをすることで、病害虫に強い丈夫なナスを育てることができます。
■分類:ナス科ナス属
■栽培時期:中間地(関東地域)
春まき栽培:種まき3月中旬~4月下旬、植え付け4月下旬~5月下旬、収穫6月中旬~10月中旬
■連作障害:あり(4~5年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■使用肥料:苦土石灰、完熟堆肥、化成肥料
2.畑の準備
日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付けの2週間までに土づくりを行います。
栽培場所を選ぶ
ナスは連作障害を起こすため、ナス科野菜の連作を避け、同じ場所で栽培する場合は4~5年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出てナスの生育に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
土を耕す
場所が決まったら除草を行い、クワや剣先スコップを使って、固い土を深さ30~40㎝ほど掘り起こします。
前作の茎や根、マルチフィルム、石などは丁寧に取り除き、土が柔らかくなるまでよく耕します。
3.土壌酸度と苦土石灰
土づくりの際は、ナスが好む土壌酸度にする必要があります。多くの野菜は、pH6.0~6.5の弱酸性でよく育ちます。
土壌酸度の測定
野菜に適した土壌酸度は、「好適土壌pH」と呼ばれています。
ナスの好適土壌pHは、6.0~6.5です。酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。
家庭菜園で土壌pHを測定する場合は、土壌酸度計や土壌酸度測定薬などを使います。
『シンワ測定 土壌酸度計』などは、先端部を土壌に差し込むだけで簡単に土壌pHを測定することができます。
苦土石灰
土壌が酸性の場合は、苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
苦土石灰をまくときは、植え付けの2週間前までに済ませておきます。
苦土石灰は、雨や土壌中の水分を吸収すると固まってしまうので、十分に耕して土となじませます。
4.完熟堆肥と化成肥料
植え付けの1週間前になったら、畝を立てる場所の中央にクワを使って深さ20~30㎝、幅15㎝ほどの溝を掘ります。溝の中に、完熟堆肥3~4㎏/㎡、化成肥料100~200g /㎡を均等に施して掘り上げた土を埋め戻し、幅60~80㎝、高さ10~15㎝の畝を作ります。
完熟堆肥を施す
完熟堆肥は肥料の一種で、動物の糞やワラ、もみ殻、オガクズなどを完全に発酵させて作ったものです。臭いも少なく扱いやすい「完熟牛ふん堆肥」などがおすすめです。
完熟堆肥のほかに、腐葉土を使うこともできます。腐葉土は落ち葉などが腐ってできた土です。どちらの場合も土壌微生物の働きで、土をふかふかにしてくれます。
なお、未熟堆肥を使うと生育不良などが起こりやすく、分解過程でアンモニアガスなどの有害ガスが発生するので注意します。
化成肥料を施す
ナスの生育には肥料が不可欠のため、土づくりの段階で肥料を入れます。
肥料には多くの種類がありますが、家庭菜園では「化成肥料」が手軽でおすすめです。
化成肥料は「8-8-8」のタイプがおすすめで、どんな野菜にも使うことができるので便利です。また、臭いも少なく、粒状で取り扱いやすいという利点があります。
土をクワなどで耕すのが大変な場合は、電動小型耕うん機などが便利です。
家庭菜園では、充電式のコンパクトな家庭用耕うん機も人気です。
5.畝づくりとマルチング
ナスの栽培は、元肥を施したタイミングで畝(うね)を作ります。畝を作ると水はけと通気性がよくなり、栽培場所と通路が分かれて管理も楽になります。
また、地温調整や乾燥防止などのため、必要に応じて畝にマルチを張ります。
畝づくり
ナスの畝づくりは、畝幅60㎝、高さ10~15㎝にします。畝の長さは、栽培するスペースに合わせて決めます。
畝幅に合わせて2本のロープなどを張り、ロープの外側の土を内側に入れて畝を高くします。盛り上げた土は、レーキなどを使って表面を平らに均しておきます。
マルチング
マルチング(マルチともいう)は、土の表面をポリフィルムなどで覆うことです。
マルチング資材には多くのタイプがあり、地温の調整、乾燥防止、肥料の流出防止、雑草防除、病害防除などの効果があります。
ナスの栽培では、黒色のマルチを張ると地温が上がり、株元に敷きわらを施すと雨による泥はねや乾燥を防ぐことができます。
6.プランター栽培の用土
ナスは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。排水性を良くするため、鉢底石を敷き詰めて野菜用培養土を8分目くらい入れます。
『花・野菜の培養土 ゴールデン粒状培養土配合』『ハイポネックス野菜の培養土』などがおすすめで、保水性・通気性・排水性に優れています。
野菜用培養土
プランター栽培では、市販の野菜用培養土を使うと手軽に始めることができます。市販の野菜用培養土には、数種類の用土がブレンドされているので、すぐに使うことができます。
用土を自分で作る場合は、保水性の良い赤玉土を主体にして、腐葉土などの有機物を加え、化成肥料や苦土石灰を入れてブレンドします。
ナスは実もの野菜なので、赤玉土6、腐葉土3、バーミュキュライト1の割合で配合し、用土10ℓあたり苦土石灰10g、化成肥料10~30gを加えてブレンドします。
土のリサイクル
一度使用した土には、病原菌や前作の肥料分などが残っていますので、なるべく新しい土を使用します。
土を再利用する場合は、日光消毒などが必要です。土をビニール袋に入れて、直射日光が当たる場所に数日間置いておくと、土の温度が約80℃まで上がって多くの病原菌が死滅すると言われています。
ナス栽培に古い土をすぐに使いたい場合は、古い土に混ぜるだけで再利用可能な『アイリスオーヤマ 再生材 古くなった土の再生材 20L』などがあります。
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