ナス(茄子・なす)の育て方・栽培方法

ナス(茄子)の育て方・栽培方法

1.ナスの特徴と栽培時期


ナスの育て方手順に沿って、畑やプランターでナスを栽培してみましょう!
ナスは秋まで育てられるので、秋ナスの収穫も楽しめます。

ナス(茄子・なす)の栽培データ
■ナスの栽培難易度:普通
■分類:ナス科ナス属
■原産地:インド
■主な旬:6月~10月
■栽培時期:春まき・春植え
春まき栽培:種まき3月~4月、植え付け4月~5月、収穫6月~10月
■連作障害:あり(4~5年あける)
■好適土壌pH:6.0~6.5
■発芽適温:25~30℃
■生育適温:20~30℃

ナスの種が買えるお店

ナスの種を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
すずなりになるナスや、葉、茎にトゲが発生しないナス、病気に強いナスなど色々な品種が購入できます。

ナスの特徴

ナスは、インドが原産地とされ、日本には中国から伝わり、奈良時代から食されていたとされています。
ナスの品種は、日本では70種類以上あると言われ、卵型の『千両二号』、長ナスの『飛天長』などのほか、丸ナス、小ナス、米ナスなどがあり、形や大きさなども様々です。

ナスは、漬け物のほか、煮物、炒め物、天ぷらなど和・洋・中を問わず、幅広くいろんな料理に使われています。
ナスは「紫紺色」を食べる野菜ともいわれ、抗酸化作用や抗がん作用のある「ナスニン」を多く含み、カリウムや食物繊維なども含まれています。

ナスは、日本の気候に適した野菜で、高温多湿の夏でも元気に育ちます。夏に株を更新剪定すると、「秋ナス」の収穫を楽しむこともできます。
家庭菜園では、ナスを種から育てるのは難しいので、苗を購入して植え付けます。
ナスの栽培は、住んでいる地域でよく作られている品種がおすすめで、プランターで栽培することもできます。

ナスの栄養素

ナスの栄養価はあまり高くありませんが、紫色の皮にはポリフェノールの一種のナスニンが多く含まれています。
がんや高血圧、動脈硬化などの予防効果があるとされています。

ナスの主な品種

ナスの品種はたくさんありますが、地域にあった品種を選んで栽培します。
『とげなし千両二号』『ごちそう』『黒福』『飛天長ナス』『庄屋大長』『味ナス』『小五郎』『うす皮味丸』『紫水』『みず茄』など。

ナスの栽培ポイント

・日当たりと水はけのよい場所で栽培する。
・ナス科野菜を4~5年間栽培していない場所を選ぶ。
・ナスの苗は低温に弱いので早植えをしない。
・収穫期間中は、水切れ、肥料切れに注意する。

ナスの育て方

ナスの栽培時期

ナスの栽培時期は、品種や地域により異なりますので、種袋やホームセンターなどで確認するようにします。

中間地(関東地域)
春まき栽培:種まき3月中旬~4月下旬、植え付け4月下旬~5月下旬、収穫6月中旬~10月中旬

ナスの連作障害

ナスは連作障害を起こすため、ナス科野菜の連作を避け、同じ場所で栽培する場合は4~5年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出てナスの生育に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
プランター栽培では、常に新しい用土を使うことをおすすめします。

ナスの好適土壌pH

ナスの好適土壌pHは、6.0~6.5です。
酸性土壌に弱いので、植え付けの2週間前までに苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。

2.ナスの栽培方法(畑・プランター)

プランター栽培

ナスの栽培は、種をまいて育てる方法と苗を購入して植え付ける方法があります。ナスは寒さに弱く、育苗に時間がかかるので、家庭菜園では苗の購入がおすすめです。苗を購入する場合は、本葉5~6枚で花芽があり、葉の色が濃くて節間が短く、茎が太くてがっしりとした苗を選びます。

畑栽培の場合

畑栽培は、しっかりと土づくりを行い、畝(うね)を作って栽培します。

土づくり

日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付けの2週間前までに苦土石灰100~150g/㎡を全面にまいてよく耕します。
植え付けの1週間前になったら、畝を立てる場所の中央にクワを使って深さ20~30㎝、幅15㎝ほどの溝を掘ります。溝の中に、完熟堆肥3~4㎏/㎡、化成肥料100~200g /㎡を均等に施し、掘り上げた土を埋め戻してから、幅60~80㎝、高さ10~15㎝の畝を作ります。
ナスは、低温や土壌水分の不足によって生育不良を起こしやすいので、黒色のマルチを張っておきます。

種まき

ナスは種から育てると育苗に時間がかかるため、ポットまきがおすすめです。
3月中旬~4月下旬にポットに種をまいて、ビニールトンネルなどに入れて25℃前後で温度管理します。
ポットまきの場合は、3号ポット(直径9㎝)に培養土を入れ、指先で深さ1㎝ほどの窪みを3箇所作り、1粒ずつ種をまきます。
周りの土を薄く被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水をたっぷり与えます。
発芽したら本葉2~4枚の頃に1本に間引き、本葉5~6枚の頃に畑に植え付けます。

植え付け

ポット苗を植え付ける際は、本葉5~6枚の丈夫な苗を選びます。ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに地表面から少し出る程度の浅植えにします。株間は、60㎝程度にします。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と根鉢を密着させ、たっぷりと水をあげます。
植え付け後に仮支柱を立てて株を支えると株が安定し、倒伏防止ができます。
また、株元に敷きわらを施すと、雨による泥の跳ね返りと乾燥を防止できます。

プランター栽培の場合

プランターは、深さ30㎝以上の大型サイズや10号鉢で1株が栽培目安となります。

用土

ナスは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。排水性を良くするため、鉢底石を敷き詰めて野菜用培養土を8分目くらい入れます。

種まき

種から育てる場合は、ポットまきがおすすめです。
ポットまきの手順は、畑栽培と同じです。

植え付け

ポット苗を植え付ける際は、本葉5~6枚の丈夫な苗を選びます。ポリポットよりも少し大きめの植え穴を作り、根鉢を崩さずに地表面から少し出る程度の浅植えにします。
植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて土と根鉢を密着させ、たっぷりと水をあげます。仮支柱を立てて株を支えると、倒伏防止ができます。
プランターや鉢は、風の弱い日当たりのよい場所で管理します。

3.ナスの栽培手入れ

ナスの花

収穫までの主な作業は、水やり、支柱立て、整枝、わき芽かき、追肥などです。

水やり

畑栽培では、自然の降雨で足りるので基本的に水やりの必要はありません。
雨が数日間降らないときは、株元や畝の通路にたっぷりと水やりをします。水やりは、朝早くか夕方に行うようにします。夏場の暑い時期は、気温が下がってから水やりをします。
プランター栽培では、土の表面が乾いたら容器の底から水が流れ出るくらい株元にたっぷりと水やりをします。
ナスは、水分が不足すると良い果実が収穫できないので、水不足にならないように管理します。

支柱立て

ナスの苗を植え付けたら、風による倒伏を防ぐため仮支柱を立てます。
仮支柱を立てる場合は、短めの支柱を株元から5㎝ほど離れた場所に斜めに差し込み、茎にひもを8の字にかけて支柱側で結びます。
苗が大きくなったら本支柱に取り替えます。
最初から本支柱を立てる場合は、長さ1.5m程度の支柱を用意し、株元から10㎝ほど離れた場所に立てます。支柱を立てたら、茎にひもを8の字にかけて支柱側で結びます。

整枝・わき芽かき

ナスは、最初に咲いた花のすぐ下のわき芽(側枝)が強いという性質があります。一番花が咲いたら、主枝1本と花のすぐ下にある側枝2本を伸ばす「3本仕立て」にします。また、側枝2本についているわき芽は残して、それより下のわき芽はすべて摘み取ります。
わき芽かきの際は、ハサミから病気が移ることもあるので指でわき芽をかきとるようにします。

追肥

ナスの1回目の追肥は、苗を植え付けてから2~4週間後に株の周りに施します。その後は、株の様子を見ながら2週間に1回の頻度で畝の両わきやプランターの縁に施します。
畑栽培は、畝の肩口付近に化成肥料20~30g/㎡を施し、土と軽く混ぜ合わせます。
プランター栽培は、化成肥料10g程度をプランターの縁にまいて土と軽く混ぜ合わせます。根が地表に出ていたら、根が隠れる程度に培養土を入れて平らにならします。

摘葉・除草

ナスは、わき芽が伸びて新しい枝になります。葉の数が増えると、日当たりや風通しが悪くなり、病気も起こりやすくなります。7月後半~8月の高温多湿な季節に入ったら、風通しが良くなるように枯れた枝葉をこまめに取り除くようにします。
また、追肥を施すことによって通路に雑草が生えてきます。放置すると雑草に栄養分や水分を吸い取られてしまい、害虫も発生しやすいので定期的に除草するようにします。

4.ナスの収穫時期

ナスの収穫

ナスは、開花してから20~25日ほどで収穫できる大きさに生長します。
品種によって収穫時期が異なりますが、関東などの中間地では6月中旬~8月中旬頃まで収穫することができます。
ナスの収穫は、朝夕の涼しい時間帯が適しています。
中長系の品種は、果実の長さが10~12㎝くらいになったら、ヘタの上をハサミで切って収穫します。
ナスのヘタの部分はトゲがあるので、ハサミを使って収穫すると安全です。
実をたくさんならせると、株が疲れて収穫量が減ってしまうので、早めに収穫するようにします。

側枝の摘芯(切り戻し)

ナスは、側枝から多くのわき芽が伸びて実ができますが、実が多すぎると株が弱るので実の数を制限します。
側枝に花がついたら、すぐ上の葉を1枚残してその先を摘芯します。
残した葉の下にある花が実になったら収穫し、そこから下の葉を2枚残して切り戻します。その後は、切り戻した箇所の側枝に花がついたら、摘芯と収穫、切り戻しを繰り返します。

一番果の収穫

ナスの栽培では、株の生育を促すことが大切です。
一番果(一番花からできた実)ができる頃はまだ株が若いので、早いうちに収穫して株全体に栄養をまわすようにします。株の生育が遅いようであれば、二番果も早めに収穫します。

更新剪定

ナスの主枝と側枝を半分ほどの長さに切り詰めることを「更新剪定」といいます。
ナスは、更新剪定を行うことで株が若返り、10月中旬頃まで秋ナスを収穫することができます。
更新剪定は、ナスの生育が鈍ってきた7月下旬~8月上旬に行います。

更新剪定の際は、3本に仕立てた枝を半分ほどの長さに切り戻します。
1本の枝に葉を1~2枚残すようにして上の枝を切り詰め、枝についている花や実も落とします。
また、新しい根を伸ばすために、スコップや移植ごてを使って株の周りを根切りし、そこに追肥を施します。
約1か月後に、再び美味しいナスを収穫することができます。

ナスの生育障害

ナスの栽培では、水分と肥料不足に注意し、日当たりを良くして栽培します。株を丈夫に育てることによって、石ナスなどの不良果を減らすことができます。
石ナス
石ナスは、皮が硬い状態の実ですが、花の受精不良が原因で起こります。雌しべが雄しべより短くて花の状態が悪いときは、追肥と水やりを行って樹勢を回復させます。

つやなし果
つやなし果は、外皮に艶がない状態の実です。風味が悪いため、「ボケナス」と呼ばれることもあります。日照不足、水分不足、肥料不足が原因で起こります。混みあった枝葉を整枝して果実に日が当たるようにし、水やりと追肥を行います。

5.ナスに発生しやすい病気

ナスの葉モザイクウイルス病

ナスは、青枯病、うどんこ病、褐斑病、半身萎凋病などに注意します。

青枯病(あおがれびょう)
青枯病は土壌中の細菌による病気で、茎の導管内で増殖するため上部に栄養分が行かなくなります。病原菌は高温下で活発化するため、日中は葉が萎れて気温が低くなる夜間に回復します。これを2~3日繰り返し、やがて株が青いまま枯れてしまいます。
夏の高温期や雨が続く多湿で発生し、連作障害で株が弱っている時も発病します。連作を避け、水はけを良くします。発病した場合は株ごと抜き取って処分します。

うどんこ病
うどんこ病はカビによる病気で、葉にうどん粉を振りかけたような白い斑点が現れます。被害が進むと光合成が妨げられて生育が悪くなります。カビは空気が乾燥した環境を好むため、雨が少ない乾燥時は水を切らさないようにします。
株間を十分に取り、日当たりや風通しを良くし、窒素肥料の与え過ぎに注意します。発病した葉は切り取って処分します。
発生初期の薬剤には、『ベニカマイルドスプレー』『ベニカグリーンVスプレー』などがあります。

褐斑病(かっぱんびょう)
褐斑病はカビによる病気で、葉の表面に淡褐色の病斑が出て、徐々に大きくなって葉が枯れてしまいます。連作を避け、肥料切れに注意します。症状が現れた葉や株は、撤去処分します。

半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)
半身萎凋病はカビによる病気で、土壌中の病原菌が根から侵入して繁殖します。葉や枝の片側半分だけが枯れて、やがて株全体が萎凋して枯れてしまいます。ナス科作物の連作を避け、発症した株は抜き取って処分します。

褐色腐敗病(かっしょくふはいびょう)
褐色腐敗病は、主に果実に発症し、茶褐色で水が浸みたような病斑をつくり、果実の表面に白い粉状のカビが現れます。やがて果実全体が軟らかくなって腐敗してしまいます。密植とナス科野菜の連作を避け、水はけと風通しを良くします。雨による泥の跳ね返りにも注意します。発病した株は撤去処分します。

6.ナスに発生しやすい害虫

ナスに発生しやすい主な害虫は、以下のとおりです。

アブラムシ
アブラムシは体長1~4㎜ほどの害虫で、ナスの新芽や葉裏などに寄生し、汁液を吸って加害します。土壌中の窒素成分が多いと発生しやすいので、窒素肥料のやりすぎに注意します。
アブラムシの飛来を防ぐには、0.8㎜以下の目の細かい防虫ネットで覆うか、キラキラテープを張って飛来を防御します。
繁殖力が非常に旺盛なため、早急に発見して捕殺するか、自然派薬剤の『アーリーセーフ』などを株全体に散布して駆除します。

ハダニ
ハダニは体長0.5㎜ほどのクモの仲間で、葉の裏に生息して葉を吸汁します。吸汁された箇所にカスリ状の白い小斑点が現れ、多発すると無数の白い斑点ができて葉が枯れてしまいます。
ハダニは、梅雨明け以降に急激に繁殖するので、入梅前にポリマルチを敷きわらに取り替え、夏期は適度に水やりをします。また、適度にナスの摘葉、摘芯を行い、風通しをよくします。発生初期の薬剤には、『アーリーセーフ』などがあります。

チャノホコリダニ
チャノホコリダニはダニの仲間で、成虫の体長は0.2㎜で非常に小さく、肉眼で見えないので被害が出てから気づきます。高温乾燥で多発し、食害された葉や新芽は生育できずに萎縮や奇形症状が現れます。
夏期に被害が大きいので、ポリマルチを敷きわらに取り替え、除草を行って周囲からの侵入を防ぐことも効果があります。

テントウムシダマシ
テントウムシダマシはテントウムシの仲間で、成虫も幼虫もナス科の葉を好んで食害します。肥料分が多いと寄生しやすいので、肥料過多に注意します。
ジャガイモで育った幼虫が成虫となってナスに飛来して加害するため、ジャガイモの近くにナスを植えないようにします。寄生されると一気に繁殖してしまうので、幼虫や卵を見つけて捕殺します。

オンシツコナジラミ
オンシツコナジラミの成虫は体長2㎜ほどの白色で、成虫、幼虫ともナスの葉の裏に寄生して吸汁加害します。
雨の少ない乾燥時期に発生し、糖分を含む排泄物に黒いかびが発生してすす病を引き起こします。
苗の植え付け時に健全な苗を選び、マリーゴールドを近くに植えて天敵を増やします。

オオタバコガ
オオタバコガは蛾の仲間で、幼虫が果実の中に潜り込んで食害します。6月頃から発生し、果実を食べ尽くすと新しい果実に移動するので、幼虫を見つけて捕殺します。肥料が多すぎると発生しやすいので、肥料を控えめにします。また、防虫ネットで覆い、成虫の侵入と産卵を防止します。

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