サヤエンドウ(絹さや)の育て方・栽培方法

サヤエンドウ

1.サヤエンドウの特徴と栽培時期


サヤエンドウの育て方手順に沿って、畑やプランターでサヤエンドウを栽培してみましょう!
サヤエンドウは簡単に育てられるので、初心者が栽培するのにもオススメの野菜です。

サヤエンドウの栽培データ
■サヤエンドウの栽培難易度:普通
■分類:マメ科エンドウ属
■原産地:中央アジア~中近東
■主な旬:4月~6月
■栽培時期:秋まき・秋植え
 種まき:10月~11月、植え付け:11月、収穫時期:翌年4月~6月
■連作障害:あり(4~5年あける)
■好適土壌pH:6.5~7.0
■発芽適温:18~20℃
■生育適温:15~20℃

サヤエンドウの種が買えるお店

サヤエンドウの種を買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!

サヤエンドウの特徴

サヤエンドウは、マメ科エンドウ属の仲間で、別名で「絹さやえんどう」「キヌサヤ」とも呼ばれています。
エンドウ類は、食べる部位によってサヤエンドウ、スナップエンドウ、実エンドウ、グリーンピースなどに分けられます。
栽培方法はどれも同じですが、収穫時期がそれぞれ異なります。

サヤエンドウは、種子が大きくならないうちに若いサヤを収穫します。
春から初夏にかけて旬を迎え、シャキッとした食感があり、卵とじや煮物の彩り、汁の実、炒め物などによく利用されています。
また、栄養豊富な緑黄色野菜でもあり、ビタミンCやミネラルも多く含まれているので健康野菜としても注目されています。

サヤエンドウの栽培は、秋に種をまいて冬越しをさせ、春に収穫する方法が一般的です。
サヤエンドウの小苗は、本葉2~3枚の頃に耐寒性が最も高いと言われ、冬の間にしっかりと根を張って、春先になると急激に伸びて花をつけるようになります。
サヤエンドウは、ポット苗も販売されるので比較的簡単に栽培することができ、家庭菜園初心者の方にもおすすめの野菜です。

サヤエンドウの栄養素

サヤエンドウは緑黄色野菜で、βカロテン、ビタミンC、食物繊維などを多く含んでいます。
がんや生活習慣病の予防、風邪の予防、免疫力アップなどに効果があるとされています。
サヤエンドウの豆にはビタミンB1やたんぱく質が含まれていて、疲労回復や美容効果もあります。

サヤエンドウの主な品種

サヤの大きさによって「絹さや」と「大さや」に分けられ、「つるあり」と「つるなし」の品種があります。
『サヤエンドウ』『莢エンドウ』『絹さやえんどう』『豊成』『成駒三十日』『大さやえんどう』『仏国大サヤ』『オランダ』など。

サヤエンドウの栽培ポイント

・日当たりと排水性が良く、強風の当たらない場所で栽培する。
・連作障害に弱いため、マメ科野菜を4~5年間栽培していない場所を選ぶ。
・土が酸性土壌の場合は、2週間以上前に苦土石灰をまいてよく耕す。
・秋まき栽培は、種まきや植え付け適期を守り、小苗で越冬させる。

サヤエンドウの栽培時期

種まきが早すぎると、苗が育ち過ぎて耐寒性が失われ寒さで枯れてしまいます。苗が小さすぎても春に大きく育たないので、栽培時期は種袋やホームセンターなどで確認するようにします。
中間地(関東地域)
秋まき栽培:種まき10月中旬~11月上旬、植え付け11月中旬~11月下旬、収穫4月下旬~6月上旬

サヤエンドウの連作障害

サヤエンドウは連作障害を起こすため、同じ場所で栽培する場合は4~5年の期間を空けるか、他の場所を選んで栽培します。
連作すると、土壌中の微生物に偏りが出てサヤエンドウの生育に悪影響を及ぼし、病害虫も発生しやすくなります。
プランター栽培では、常に新しい用土を使うことをおすすめします。

サヤエンドウの好適土壌pH

サヤエンドウの好適土壌pHは、6.5~7.0です。
酸性土壌に弱いので、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌酸度を調整します。

2.サヤエンドウの栽培方法(畑・プランター)

サヤエンドウの苗

栽培初心者の場合は、園芸店やホームセンターなどでポット苗を購入して植え付けると手軽でおすすめです。ポット苗は、11月頃になると販売されます。
苗を購入する場合は、草丈7~8㎝程度で茎が太く、節間がほどよく詰まっていて葉の緑色が濃いものを選びます。

畑栽培の場合

畑栽培は、しっかりと土づくりを行い、畝(うね)を作って栽培します。

土づくり

日当たりと水はけの良い場所を選び、種まきや植え付けの2週間以上前に苦土石灰150~200g/㎡を全面にまいてよく耕します。
1週間前に完熟堆肥2㎏/㎡、化成肥料50g/㎡を施してよく耕し、幅60㎝、高さ10~15㎝の畝を作ります。
サヤエンドウは過湿に弱いため、土壌水分の多いところでは畝の高さを15~20㎝ほどにして水はけを良くします。

種まき

サヤエンドウの種まきは、10月中旬~11月上旬に行います。種を早くまいてしまうと、苗が大きくなりすぎて耐寒性が弱くなります。遅すぎるとつるが伸びず、サヤがたくさんつかないので、適期を守るようにします。
種まきは、直接畑にまく方法(直まき)と、育苗ポットに種をまいて苗を育ててから植え付ける方法(ポットまき)があります。

直まきの場合は、点まきにします。ビンの底などを使って、畝に直径10㎝、深さ3㎝ほどの穴を作り、1箇所に3~4粒ずつ等間隔に種をまきます。
周りの土を被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水をたっぷり与えます。
発芽するまでは、鳥害に遭わないように不織布などを掛けておくことをおすすめします。
発芽したら本葉2~3枚の頃までに間引きを行い、1箇所1~2本にします。間引き後は、苗が倒れないように株元に土寄せをします。

ポットまきの場合は、3号ポット(直径9㎝)に培養土を入れ、指先で深さ2㎝ほどの窪みを3~4箇所作り、1粒ずつ種をまきます。
周りの土を被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させてたっぷりと水やりをします。
本葉が展開したら間引いて1ポット1~2本にし、本葉2~3枚の頃に植え付けます。

植え付け

苗の植え付け時期は、11月中旬~11月下旬となります。
苗を植え付ける際は、ポリポットの大きさと同じくらいの植え穴を作り、根鉢を崩さずに植え付けます。株間は、つるあり種は30㎝、つるなし種は20㎝程度にします。植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて安定させ、たっぷりと水をあげます。

プランター栽培の場合

プランターは標準サイズで2株、10号鉢(直径30㎝)で1株が栽培目安となります。
サヤエンドウは種から育てることができますが、市販の苗を購入して植え付けると栽培の手間が省けます。

用土

サヤエンドウは連作を嫌うので、用土は新しいものを使うことをおすすめします。ホームセンターなどで野菜用培養土を購入すると、土づくりの手間が省けます。野菜用培養土は、プランターの上部から3㎝下のところまで入れます。

種まき

直まきの場合は、点まきにします。ビンの底などを使って、直径10㎝、深さ3㎝ほどの穴を作り、1箇所に3~4粒ずつ等間隔に種をまきます。周りの土を被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させて水をたっぷり与えます。
発芽するまでは、鳥害に遭わないように不織布などを掛けておきます。
発芽したら本葉2~3枚の頃までに間引きを行い、1箇所1~2本にします。

ポットまきの場合は、3号ポット(直径9㎝)に培養土を入れ、指先で深さ2㎝ほどの窪みを3~4箇所作り、1粒ずつ種をまきます。
周りの土を被せて手で軽く押さえ、土と種を密着させてたっぷりと水やりをします。
本葉が展開したら間引いて1ポット1~2本にし、本葉2~3枚の頃に植え付けます。

植え付け

ポット苗を植え付ける際は、ポリポットの大きさと同じくらいの植え穴を作り、根鉢を崩さずに植え付けます。植え付け後は、株元に土を寄せて手で軽く押さえて安定させ、たっぷりと水をあげます。
苗が根付くまで1週間ほどかかるので、この間に水切れにならないように注意します。
プランターや鉢は、日当たりと風通しの良い場所で管理します。

3.サヤエンドウの栽培手入れ

水やり

収穫までの主な作業は、水やり、追肥、防寒対策、支柱立てなどです。

水やり

畑栽培では、自然の降雨で足りるので基本的に水やりの必要はありません。
プランター栽培では、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
頻繁に水をあげすぎると根が過湿状態になり、根腐れを起こすので水のやりすぎに気を付けます。
サヤが出来てきたら、水を少し多めに与えるようにします。

追肥

サヤエンドウの追肥は、支柱立てを行う3月中旬頃と花が咲き始めた頃に1回ずつ施します。
畑栽培は、化成肥料30g/㎡を株の周りにまき、土の表面をほぐしながら土と肥料をよく混ぜて株元に土寄せをします。
プランター栽培は、1株当たり化成肥料3~5g程度を株の周りにまき、土と混ぜながら株元に土寄せをします。
追肥を施す場合は、窒素の量に注意します。窒素が多すぎるとつるボケになり、葉が伸び過ぎて収穫量が減ってしまいます。

防寒対策

サヤエンドウは寒さに強い野菜ですが、冬越しさせるために防寒対策を施します。12月下旬~2月にかけては、寒さが一段と厳しくなります。
畝全体に不織布などをかけるか、株元に敷きワラやもみ殻を施します。風が吹く北側にササ竹を立てる方法も有効です。

支柱立て

2月下旬になるとつるが伸びてきますので、支柱立てを行います。放任すると雨風で茎葉が折れたり、つるが四方八方に伸びてしまい、病害虫も発生しやすくなります。つるあり種は2mほどの高さに成長するので必ず支柱を立てるようにします。
ちなみに、ネットを張るとつるがたくさん絡むので収穫後の片付けが面倒というデメリットがあります。ネット代わりに麻ひもを支柱にくくりつけ、畝の周りを囲うという方法もできます。

4.サヤエンドウの収穫時期

サヤエンドウ

サヤエンドウの収穫時期は、4月下旬~6月上旬です。品種にもよりますが、開花してから15日前後で収穫することができます。
サヤエンドウは、未熟な柔らかなうちに収穫します。収穫が遅れると、サヤが膨らんできてすぐに固くなってしまいます。
収穫する際は、ヘタの部分から手で摘み取るか、ハサミで切り取ります。

5.サヤエンドウに発生しやすい病気

サヤエンドウ

サヤエンドウに多い病気には、うどんこ病や立枯病などが挙げられます。連作や窒素肥料の与え過ぎなどに注意します。

うどんこ病
うどんこ病は、葉や茎にうどん粉を振りかけたような白い斑点が現れます。白い粉の正体はカビで、被害が進むと株全体に広がり、最終的に枯れてしまいます。
窒素過多になると株が軟弱に育つため、窒素肥料を少なめにし、日当たりと風通しをよくします。
発病した場合は、白い斑点が出た葉を切り取って撤去処分します。白い粉が他の葉に飛んで病気が広がることもありますので、注意します。
適用薬剤には、食品成分の『ベニカマイルドスプレー』などがあります。

立枯病(たちがれびょう)
立枯病は、土の中に生息するカビによる病気で、根が侵されて生育が悪くなり、葉が黄色くなって株が立ったまま枯れてしまいます。
立枯病の原因は、連作や水はけが悪いことが主な原因です。同じ場所で栽培する場合は、4~5年の期間をあけ、水はけを良くします。
発病した場合は、株ごと抜き取って撤去処分します。

褐斑病(かっぱんびょう)
褐斑病は、カビによる病気で、葉や茎、サヤなどに発生します。葉の表面に褐色の斑点ができ、徐々に大きくなっていきます。
連作を避け、水はけを良くします。症状が現れた葉や株は撤去処分し、蔓延を防ぐため早めに薬剤で処理します。

モザイク病
モザイク病は、ウイルスによる病気でほとんどの野菜に発生します。
葉に緑と淡黄色の斑紋が現れ、モザイク状に広がることからこの名がついています。アブラムシが他の作物からウイルスを取り込み、健康な野菜にウイルスを媒介します。モザイク病は薬剤治療ができないので、アブラムシの飛来を予防します。発病した葉や株は早めに撤去して、感染拡大を防ぐようにします。

6.サヤエンドウに発生しやすい害虫

サヤエンドウは、アブラムシやナモグリバエなどに注意します。

アブラムシ
アブラムシは、春先に発生する1~4㎜ほどの害虫で、口針を刺しこんでサヤエンドウの葉や茎の汁を吸収し、モザイク病などのウイルスを媒介します。
枝葉が繁茂状態になるとアブラムシが発生しやすいので、混み合った枝葉を摘み取って風通しを良くし、日光が良く当たるようにします。
繁殖力が非常に旺盛なため、発生したら早急に捕殺するか、殺虫剤を株全体に散布して駆除します。光るテープを張る方法なども効果があります。

ナモグリバエ
ナモグリバエはハエの仲間で通称エカキムシと呼ばれ、幼虫がサヤエンドウの葉肉を食害します。春に発生が多く、多発すると葉に筋状の白い模様ができ、生育が遅れてサヤの数が少なくなってしまいます。幼虫は、葉の上から指で押し潰します。効果的な方法は殺虫剤の使用で、葉に白い筋が現れた頃に『マラソン乳剤』などを散布します。

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